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立派  作者: 月蜜慈雨


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11/11

海で君を想う




 会社を辞めてしばらくしてから、俺は海に向かった。

 車から降りたら、風が冷たかった。まだ2月だ。それに時刻は夕暮れに差し掛かっていた。これから潮風が一段と冷えるだろう。

 それでも、ここに来たかった。




 砂浜を踏抜くと、ザクザク音がした。少し、靴の中に砂が入ることを気にした。

 水平線の向こうに太陽が見える。もう半分しか見えなかった。

 波打ち際の三歩前で腰を下ろした。体育座りして、じっと海見つめた。海は太陽の最後の光を受けながらキラキラ輝いている。

 おもむろにズボンのポケットからペンダントを取り出した。冷にもらった奴だ。




 目の前でかざしてユラユラ揺らす。これは儀式だ。もう会えない人への最後の手向け。

 夕暮れの海を背景に、ペンダントをスマホで撮った。

 ペンダントをポケットにしまう。




 そのままじっと、海を見つめていた。

 太陽が地平線から身を隠すまで。

 風は一段と冷たくなった。

 家に帰れば、明日が来てしまう。帰らなければならないのに、身体が中々動かなかった。




 重い脚撮りで車へ向かう。その時、一陣の風が額をさらった。

 上を見上げると、ポツリポツリと星が見えた。

 街よりも星がよく見える。

 そう言いたい人はもういない、けど。

 しんどいことも、辛いことも、楽しいことも、おかしなことも、全部全部背負って。

 立派じゃなくても、人間じゃなくても。

 ノロノロ歩いていく。

 やがて来る終わりの先で、出来ればまた君と、出会う為に。



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