怪獣彼氏とこの街で (最終回)
リゲルギウスとの戦闘から数か月がたった。
「エイジ、おまえ、肉ばっかとりすぎだろ」
きょうの晩ごはんは、すき焼き。
エイジのお肉盛り盛り茶碗をモル兄がお箸でさした。
「あしたは試合なんだから、肉たべて力をつけとかないとな。そうだ、姉ちゃん。あしたの試合、おれ、ぜったい勝つから晩メシは目玉焼きハンバーグにしてくれよ」
「はいはい」
そのとき、ダイニングにカイトとドローンのベルがやってきた。
「サキ、パソコンの修理おわったよ」
「ごめんね、晩ごはんのときに修理たのんじゃって」
「気にしないで。おれだってケイゴさんとのオンライン家族ミーティング、たのしみにしてるんだから」
「おばちゃんもケイゴはんと話すのたのしみやわ。ケイゴはん、おばちゃん好みのゴリラ系イケオジやからなぁ。は~、はよ会って、頭ナデナデされたいわ~」
ベルがたのしそうにからだ(?)をゆらした。
どうしてカイトとベルが家にいるかって?
じつはちょっとまえに、この家にワープ装置をつけて、基地から直接ここへワープできるようにしたの。
だからカイトは毎日わたしたちと一緒にごはんを食べるし、きょうだいそろって勉強はベルに教えてもらっている。
「いただきます」
カイトが手をあわせたとき、
ビイィィィ ビイィィィ
スマホから怪獣警報が鳴った。
テレビをつけると、魚によく似た怪獣がD区の港であばれていた。
「みんな、行ってくる」
家の外へ飛びだそうとするカイト。
その背中に、わたしはきょうも声をかける。
「カイト。ぜったい、もどってきてね」
「うん。かならずもどってくるよ」
ニコッと笑って約束すると、カイトは外へ飛びだしていった。
★ ★ ★ ★ ★ ★
この街は平和じゃない。
毎日のように怪獣があらわれ、建物をこわし、みんなから大切なものをうばってゆく。
けど、うばわれないものだってある。
どんなに強くて恐ろしい怪獣でも、この街から希望はうばえない。
強くて、やさしくて、カッコいい、わたしの自慢の怪獣彼氏がいるかぎり、この街から、ぜったいに希望は消えたりしない。
大好きな人と過ごす、平和じゃないけど大切な日々。
それがきょうも、そしてこれからも、ずっとずっとつづいてゆく。
(完)
『わたしの彼氏は火を吐きます ~怪獣と彼氏とこの街で~』は今回のエピソードで完結となります。
おそらくお気づきでしょうが、筆者は特撮作品(特にウルトラマンシリーズ!)が大好きです。
読者の中にも「あ、このシーン、あの作品のオマージュだ」とか「この台詞、あの作品の○話で○○隊長が言った台詞のオマージュだな」など、お気づきになった方も多いのではないでしょうか。
娘の彼氏がゴジラ(あ、言っちゃった!)だったら……というアイデアから生まれた、この作品。こうして最後まで完走できたのは、ひとえに作品を愛してくれる人がいてくれたからです。20日にわたって物語を追ってくださった読者の皆様、本当にありがとうございました。
ちなみに明日から、べつの作品を投稿する予定です。
タイトルは『トイ☆ウォーズ ~小さな守護者たち~』。
からだをフィギュアに変えられた5人の子どもと〈惑星侵略系〉動画配信者との対決を描いたSF(?)アクションストーリーです。




