声をとどけて 2
そのあと、わたしは3日ぶりに、さくら公園にむかった。
さくら公園はカイトとの思い出が一番つまっている公園。
いままでは意識して行かないようにしていたけど、そこへ行こうと思えたのはカイトが生きていることを信じるモル兄やエイジの言葉のおかげだった。
さくら公園にはだれもいなかった。
だれもいない公園で、わたしはひとりでブランコをこいだ。
こうしてブランコをこいでいると、カイトが「ただいま」って、もどってきてくれるような気がしたからだ。
ふいに頭上でブーンって音がした。
顔をあげると、白いドローンが、わたしのまわりをグルグルまわっていた。
「え、え、え、なにこれ?」
最初、わたしはだれかが公園の外でドローンを飛ばしているんだと思った。
けど、あたりに操縦者らしき人は見当たらない。
ドローンはわたしの顔のまえでとまると、
「顔認証および音声認証完了。基地内データと99・6パーセント合致。あなたを神楽谷サキとみとめます」
女の人の声でしゃべった。
「はじめまして、サキさま。わたしの名前はBEL2。宝条カイトをマスターに持つサポートAIです」
「サポートAI?」
「はい。サポートAIはあらゆる分野でマスターを支援するために開発された人工知能のことです」
あ、そういえば、まえにみんなで基地に入ったとき、サポートAIを導入するって、カイトがいってたような気がする。
「ええと、あなたはいつから基地にいるの?」
「マスターが、わたしを導入したのは104時間まえです。ちなみにマスターはわたしのことをベルと呼びます。よければ、サキさまも今後おなじようにお呼びください」
「あ、はい。わかりました」
「サキさまにお見せしたいものがあります。基地へ案内するので、ついてきてください」
ベルがむかったのは、長いすべり台だった。
さくら公園のワープ装置はすべり台の支柱についている。
小さな×印のまえにくるとベルは、
「ルギラ・ギルレギラ」
ランプから緑色の光を照射して、パスワードを暗唱。
青白い光につつまれて、わたしたちは地下の基地へワープした。
(つづく)
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