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第7話 獣の牙に試されて

アランの無鉄砲な感じかけたかなぁ?

読んでみてください!

日差しがやわらかく草原を照らす中、アランは鼻歌まじりにヒールリーフを袋へと詰めていた。

「お、あそこにもありそうだな!」


隣でレオンが目を細める。

「……待て!そこは斜面だ。足を滑らせるぞ、慎重に――」


その忠告が終わるより早く、アランは駆け出していた。

「へっちゃらだって! ほら、見ろよ!ヒールリーフが――」


がさり、と草が揺れた。

同時に、色とりどりの羽を持つ鳥のようなモンスターが、茂みの中から飛び出してくる。


「なんだ!!? モンスターか――!」


鮮やかな羽根を持つその生き物――フェザーラは、警戒の鳴き声をあげてアランに飛びかかる。小柄ながらその跳躍は素早く、鋭い爪が陽光に閃いた。


「ちっ……!」


 剣で受け止めようとしたアランの反応は一瞬遅れ、フェザーラはぴょんと身をひねって背後に回り込む。鋭いくちばしが脇腹を狙う――


「下がれ、アホ! 〈微細振動、凝結せよ――《零域式魔術・貫穿針》」!」


レオンの詠唱とともに、鋭利な氷の針が空を裂いて飛ぶ。草原の空気が一瞬冷えた。

そのうちの一本がフェザーラの翼を貫いた。小さな体がもんどり打って地に落ち、動かなくなる。

「……っふー、間一髪だな」

(こいつ本当に危なっかしい)

「さすが、レオン!」


しかし、その静寂は長く続かなかった。


フェザーラが最後に放った甲高い鳴き声が、草原に響き渡る。

それに呼応するように、近くの茂みから、さらに四体のフェザーラが姿を現した。


「…くっ、やっぱり群れか。」

「囲まれるぞ、構えろ!」


二人は背中合わせに立ち、四方から迫る敵に備えた。


「俺が前を引きつける! 後ろは任せた!」

「了解。……無茶はするなよ、脳筋剣士」


アランが勢いよく飛び出し、剣を振るう。その一閃で一体のフェザーラを斬り伏せるが、残る三体が跳ねるように回り込んでくる。


「〈影の奥より、我が意を伸ばせ――《零域式魔術・幽手招来》!」


レオンの低い声とともに、地面に黒い影の手が蠢き、一体のフェザーラの脚を掴む。動きを鈍らせたところに、アランの斬撃が追いつく。


「うおおおっ!」


さらにもう一体が舞い上がるが、残る二体は警戒心を見せて距離を取り、そのまま草むらの奥へと逃げていった。


「くぅーっ、逃げ足の早い奴らだな!」

「深追いは不要。目的は薬草だ。無駄な怪我はしたくない。」


アランが息を整えつつ剣を収めた、その時だった。

風の向こうから、重く湿った気配が近づいてくる。

それは茂みを押しのけ、威圧感と共に現れた。

「……なんだ、あれ」


灰色の体毛に覆われた、筋肉質な大型犬型モンスター。

全身からにじむ野性の凶暴さ。鋭く濁った双眸が、じりじりと二人を捕らえる。

唸りを上げる喉奥からは、牙がこぼれ落ちそうなほど剥き出しにされていた。


「……スカラーハウンドか」

アランが低く呟いた瞬間、獣の喉から唸るような声が漏れる。


“ガルルルル――”


空気が張り詰め、草の葉までもが静止したかのように感じられる。

「レオン、逃げるって選択肢は……?」

「ないな。すぐ追いつかれる。……あいつの脚は、お前より速い」


わかっていた答えに、アランは息を吐き気持ちを入れる。

剣を握り直し、覚悟を込めて一歩、地を踏みしめる。


「だったら――やるしかねぇな! レオン、援護頼んだ!」


「……任された」


次の瞬間。スカラーハウンドが爆音のように地を蹴った。

空気を裂いて突進してくるその動きは、まさに弾丸。


「〈微細振動、凝結せよ――《零域式魔術・貫穿針》!〉」


レオンの詠唱が鋭く響く。

放たれた氷の針が唸りを上げて飛び、獣の前脚を正確に貫いた。


わずかに軸を乱したその一瞬――アランが飛び込んだ。


「おおおおおっ!!」

斬撃が獣の肩を裂く。だが、スカラーハウンドは踏みとどまり、再び牙を剥いて襲いかかろうとする。


「――次で、決めるっ! レオン、もう一発!」


アランの声が荒く響く。汗と血に濡れた手で剣を構え直し、視線を敵に定める。


「〈凍てつく連鎖、逃れられぬ楔――《結縛連鎖アイスバインド》!〉」


レオンの詠唱とともに、冷気が地面を這い、光を帯びた鎖が一気に伸び上がる。

鋭い音を立てながら、スカラーハウンドの四肢をがんじがらめに拘束した。


獣が苦しげに身をよじるが、鎖はびくともせず動きを封じ込めている。


「――今だッ!」


アランが叫び、地を蹴って駆け込む。

全身に残る力を振り絞り、剣を真っ直ぐに振り下ろした。


肉が裂け、骨が砕け、血飛沫が舞った。

スカラーハウンドは、その場に崩れ落ちた。


「……ふぅ、なんとか倒せたな」


アランが剣を肩にかけ、息を吐きながら倒れたスカラーハウンドを見下ろす。

その目には疲れが浮かんでいるが、どこか満足げな表情が見える。

血のにじんだ手を無意識に擦りながら、アランはふっと笑みをこぼした。


「倒せた、じゃなくて――“ぎりぎりだった”の間違いだろ」


レオンが冷ややかな声で言う。その言葉に込められた意味をアランもよく理解している。

すでにあちこちで傷を負っているアランには、冷静にそう言わざるを得ない状況だったからだ。


「まあ、そうだな」

アランが口の端で苦笑する。だが、その笑みは無理にでも作ったものではない。

戦いの終息感に安堵し、少しの余裕を感じているのだ。


「でも、何とかなるもんだろ?」

アランは軽く肩をすくめ、あまり深く考えずにそう言った。


「お前のその感覚が、本当に危なっかしいんだよ。次からはもう少し冷静に頼むぞ」

(非効率、でも独りで依頼を受けていたらやられてたかも知れん)


「わかってる、わかってる。……でも、こういうのも悪くないだろ?」

 戦闘が終わった後の短い沈黙。


アランの目はどこか遠くを見つめていたが、そこに深刻さはなくワクワクした様子だった。


「これが……冒険か!」


「まだ始まったばかりだ。だが――少なくとも今、俺たちは悪くない連携を見せた」


 アランはにっと笑い、レオンもわずかに口元を緩めた。

 正反対の二人だが、その歩みは確かに一歩、重なり始めていた。

〜間話〜

タイトル:「モンスターより強敵」


(ギルド裏の倉庫前。ドラン、目を輝かせながら受付票を握りしめている)

ドラン「よっしゃー! これが俺の初依頼! 何だ!? 討伐か!? 護衛か!?」

(依頼表を見て)

ドラン「……“ギルド本部 大掃除”?」

(しばしの沈黙)

ドラン「た、戦略的後方支援ってやつだな! よし、全力でやるぜ!!」

(しばらくして。モップを両手に振り回しながら)

ドラン「くらえ! “狼牙・床磨き拳ッ!!”」


バキッ!


(モップが柱に当たって折れる)

リゼット(後方から)「修理費、あなたの報酬から引いとくわね」


ドラン「報酬、あったの!?」



読んでいただきありがとうございます。


モンスターとの戦闘シーン。

ガンガン行こうぜ!って感じで描きたかったんですがどうでしょうか?


次回はギルドで!リゼットさん、、優しくしてね。


ブックマーク、感想聞かせてください。

よろしくお願いします。

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