表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/142

第5話 初依頼は薬草採取

いよいよ!初めての冒険!依頼に!

アランは大丈夫かなぁ??

翌朝――。

王都リュミエールの街並みが、柔らかな陽光に染まりはじめた頃。

アランは荷物を肩に背負い、宿の玄関に立っていた。


「死ぬんじゃねぇぞ、若造! 夕飯、お前の分も残しといてやるからな!」

背後から響くのは、《金の鹿亭》の店主バロスの豪快な声。


アランは振り返り、顔をほころばせて手を振った。

「おう! Gランクの依頼じゃ死ねないぜ!」


その言葉にバロスは満足げにうなずく。


通りにはパン屋の香ばしい匂いが漂い、

水をまく少女の笑い声が朝の空気に混ざる。

屋台の店主たちは準備に追われながらも、顔なじみの客に冗談を飛ばしていた。

どこを見渡しても、穏やかで変わらぬ日常がそこにあった。


“こんな朝が、ずっと続けばいいのに。”


アランは、本当の始まりは今日からだと胸に言い聞かせながら、

希望という名の未来を抱き歩き出す。

陽にきらめく石畳の道を踏みしめ、冒険者ギルドへと向かっていった。


ギルドの扉をくぐると、中はすでに活気に満ちている。

依頼票の棚を真剣な目で見つめるベテラン冒険者たち、装備を鳴らしながら談笑する者、受付に列をなす見習いたち。

剣の鞘が触れ合う音、誰かの笑い声、緊張感をはらんだ足音――。


その喧騒の中、アランは無意識に背筋を伸ばした。

(今日から、俺もこの中の一人なんだ)


奥のカウンターには、昨日と変わらぬ落ち着いた佇まいの女性がいた。

リゼットはアランの姿を見つけると、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。

「おはよう、アランくん。ちゃんと時間通りね。感心、感心」

「もちろん!」

胸を張って答えるアランに、リゼットは小さく笑みを深め、カウンターの下から紙束を取り出す。


その中から一枚を抜き取り、アランの前に差し出した。

「さて、あなたの初仕事。リュミエール郊外の草地で“ヒールリーフ”の採取よ」


「ヒールリーフ……薬草か?」


「ええ。医療用として需要が高い植物。初心者向けの常設依頼だけど――なめてかかると痛い目を見るわよ」


少しだけ声を低くして、リゼットが言葉を続ける。

「最近はモンスターの目撃情報も増えてきたし、薬草の見分けや採取にもコツが要るの。ちゃんと理解して、慎重に動くこと。分かった?」


「おう、任せてくれ!」

力強くうなずくアランを見て、リゼットは満足げにうなずいた。


「ふふ、頼もしいわね。……それともう一つ」

彼女はカウンター脇の扉へ目を向けた。


「今回の依頼は、ギルドの方針で新人同士のペア行動になってるの。安全確保のためよ。そこにいるわ。」


アランが振り返ると、そこには見慣れた銀髪の少年の姿があった。


「……おはよう…」


「お前!昨日の嫌味な魔術師!お前もこの依頼なのか?」


「レオンだ。ギルドの割り振りみたいだが僕は全くもって納得は出来ない。まぁ偶然―ということにしても独りの方が効率的だ、せいぜい足を引っ張るなよ。」


ローブの裾を揺らしながら、レオンはカウンターへ歩み寄ってくる。


依頼票に目を通すと、小さくうなずいた。


「ヒールリーフの採取か……最初の依頼にしては悪くない。採取技術、植物の識別、野外行動の基礎。実地訓練としては妥当な内容だな」


レオンが依頼書を一読し、淡々とそう評価する。


「ただの薬草採りだろ? さっさと終わらせて、昼には帰ってこようぜ」


アランが肩をすくめ、軽く笑ってみせる。


その言葉に、レオンの眉がぴくりと動いた。わずかに不機嫌な気配を滲ませながら、ぼそりと呟く。


「……はあ、これだから脳筋は」


「今なんか言ったか!?」

アランが振り返るが、レオンはすでに視線を依頼書に戻していた。


リゼットは、そんな二人に小さな布袋を手渡した。

「これは採取用の道具一式よ。薬草を痛めない専用のナイフと、仕分け用の布袋。レンタル費用は鉄貨四枚、あとで清算してね」


二人が袋を受け取った瞬間、リゼットの表情がふっと引き締まる。


「初仕事とはいえ、“命を守る”ってことを忘れないで。安全第一、確実に帰ってくること。……わかってると思うけど、もしモンスターに遭遇したら――迷わず逃げるのよ!」


少しだけ視線を鋭くして、レオンの方をちらりと見る。


「それとレオンくん。アランくんが突っ走りそうになったら、しっかり止めてね」


「……善処するよ」

レオンがため息まじりにうなずくと、アランが不満げに口をとがらせた。


「モンスターなんか、俺がボコボコにしてやるぜ!」


「ほら、もうそんなこと言ってる。アランくんは言うことちゃんと聞くのよ!」

リゼットが微笑みを浮かべながら、手をひらひらと振った。


「じゃあ、行ってらっしゃい――アランくん、レオンくん。2人とも初依頼、がんばってきてね」

(アランくん本当に危なっかしいわ。無事に帰ってくるといいけど。)


「いってきまーす!」


「了解。初依頼開始といこう」


ギルドを出た二人は、朝の空気を吸い込みながら歩き出す。


「なあ、ヒールリーフってどんなのか分かるか?」


「見分けは少し難しい。葉の縁に金色の斑点がある。それが目印だ。摘み方にもコツがある。茎の根元を斜めに切らないと、薬効が落ちる。」


「おお、さすが知識派。」


「まぁそのぶん、盾役は任せたよ。」


「矛な!任せとけって!」

そんな軽口を交わしながら、二人の影はリュミエール郊外の草地へと伸びていく。


〜間話〜

タイトル:「新人の面倒は、受付嬢の気まぐれ次第」


(ギルド裏の武具整備室。グランが作業台で斧を磨いている)

グラン「よぉリゼット。今日はどうした、珍しく色っぽ……もとい、真面目な顔して来たな」


リゼット(無言で書類を突き出す)「この新人。アラン・オーガストレイ。あなたに武器の相談、お願いしたいの」

グラン「アラン……ああ、あの金目のガキか。剣の振り方が喧嘩腰で、ちょっと面白ぇやつだな」

リゼット「でしょ? 放っておくと、三日で刃が欠ける未来が見えたから、あなたに押しつけることにしたの」


グラン「押しつけるって、聞きようによっちゃ口説いてるようにも……」

リゼット「してない。あと口説かれてもお断り。熊毛アレルギーなの」


グラン「そりゃ残念。じゃあせめて膝枕でいいから――」

リゼット(無言でハンマーを掴む)


グラン「……ハイ、武器の面倒見させていただきます」

リゼット「最初からそう言えばいいのよ。ほんと扱いやすい熊だこと」


(リゼットが書類を置いてスタスタ去っていく)

グラン(背中を見送りながら)「ったく、あのツンツン娘もよ……たまにド真面目に頼られると断れねぇのがズルいんだよな……」


(ぼそっと呟きながら、アランの剣を手に取る)

グラン「ま、あのガキ……面白ぇもん持ってんなら、ちょっとは付き合ってやるか」


今回も読んでいただき、感謝しております。

薬草採取、頑張れよ〜アラン!


次回は、無事にアランは依頼を成し遂げられるかな?


是非是非、ブックマークよろしくお願いします!

感想、意見、厳しい目線でも受け入れます!

ちょっとは手加減してね、、なんて


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ