第23話 騎士団会議
王が初登場します。
この会議大丈夫か?
白聖城 政務棟・第五会議室
分厚いオーク材の長机を囲み、六つの騎士団の団長と副団長、そして特別騎士団団長ゼフィナ・クロスウィンドが揃っていた。
鎧の軋む音すら憚られる、張り詰めた沈黙。
机上には、それぞれの団紋を刻んだ書簡が並ぶ。だが、空気は整然どころか、視線と気配の応酬でひりついていた。
桜虎騎士団のレオニスは金の長髪をわずかに揺らし、鋭い眼差しをそらす。
隣の副団長クラヴェルは隻眼で銀蛇騎士団を刺すように睨んでいた。
銀蛇のクロエは白い指で書簡を弄び、紅の瞳に侮蔑とも退屈とも取れる光を宿している。
黒亀のアスタリオは巨躯を組んだ腕で支え、ただ座るだけで威圧感を放っていた。
金馬のエルディスは肩をわずかに上下させ、飽きれたようにため息を落とす。
藤鷹のゼノは冷徹な瞳を伏せ、心を一切読ませない。
白牛のグラントだけが、柔らかな目をゼフィナに向けたが、その視線も沈黙の霧に吸い込まれた。
やがて、会議室の大扉が重々しく開く。
白銀の鎧に黒の外套――レグナルト=ディアヴァル。
ただ歩を進めるだけで、その場の空気が正される。
「……揃っているな」
低く響いた声に、沈黙がさらに深まる。
そのとき、奥の扉がゆっくりと開かれた。
静寂を裂くように、小さな咳が落ちる。
「……済まない、待たせた」
白銀の髪、威厳をたたえた面立ち。
病に伏せど、衰えぬ光を宿す瞳。
――アルヴェリオ=リヴァレス王。
全員が立ち上がり、一斉に膝を折る。
「陛下」
王は机に手を置き、かすれた声で言葉を絞り出す。
「……今、王国は揺れている。反乱、謀略、民の不安……それらすべてが我らの胸を刺す」
言葉を切り、深く息を吸う。
「……騎士団が結束し、それぞれの地で責務を果たせ。民を裏切ること、決して許さぬ」
レグナルトが一歩進み出る。
「朱猿騎士団の例を胸に刻め。名誉を汚すことのなきよう」
六人の団長が静かに頭を垂れた。
「……特別騎士団にはカルモンテ家残党の捜索および抹消を命ずる」
ゼフィナは立ち上がり、赤褐色の髪をなびかせた。
「お任せください。有望な騎士もいただきました。必ずや果たします」
王はわずかに微笑み、咳を一つ残し、レグナルトと共に退室する。
その背は「光の王」と讃えられた英雄の気高さを失ってはいなかった。
扉が閉じた瞬間、重い沈黙と視線の刃だけが残った。
ゼフィナはゆっくりとレオニスに向き直る。
「……レオニス団長。お久しぶりです。お元気でしたか?」
金髪の男の桜虎の瞳が細められる。
「気安く話しかけるな。私はお前を信用しておらん。それを忘れるな」
レオニスは椅子を押しのけ、立ち上がる。
「行くぞ、クラヴェル」
「はっ」
去り際、ゼフィナが小さく笑みを含んだ声で囁く。
「……可愛いご子息、アレンくん。お預かりいたしますよ」
レオニスの足が一瞬止まる。
だが振り返らず、扉を押し開け、去った。
ゼフィナの目に鋭い光が宿る。
――この瞬間から、それぞれの戦いが始まるのだ。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
なんか険悪ですね〜、、、
次回はこのあと18時にアップ予定です!
ほんわかした話です。ゆる〜く、ゆる〜く。
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