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第67話

「……!」

 「だから、お前には話さなかったんだよ。

  正義感が人一倍強いお前に……俺のやろうとしてることなんざ、理解されるわけがねぇ」

 レーネは歯を食いしばる。

「理解できない? じゃあ教えてください、団長! 私のためじゃなく、自分のために!

 あなたがやっていることが、どんな理由であれ、救いになると思ってるんですか!?」

 ラースの目が細められる。

 その背後では、仲間たちが遺跡の奥へと進行を続けている。

 レーネは一歩、前へ出た。

「私は……団長の誇りだった朱猿騎士団を、忘れていません。

 でも今、あなたがやっていることは――かつての私たちが守ろうとしたものすべてを、裏切ってる!」

 ラースの眉が、かすかに動いた。

「……レーネ。俺が何を背負ってるのか、知りたきゃ止めてみろ」

 その言葉には、かつての団長の厳しさが宿っていた。

「だが覚悟しろ。止めるってことは、俺と本気で殺り合うってことだ」

 槍を握るレーネの手に、迷いはなかった。

「ええ、覚悟はできています。今のあなたを……止めなきゃいけないと、ずっと思ってた」

 両者の視線がぶつかり合う。

 静かな、だが確実に激突へと向かう緊張が、空気を締めつけた。


 轟音とともに、ラースの《崩猿跳ほうえんちょう》が放たれた。

 地面がえぐれ、砕けた土石が飛び散る。

 跳躍とともに突進してくるラースの姿は、まるで鉄塊そのもの。

 その直下に、倒れたままのレーネと、血を流すアレン。

 「——間に合え!!」

 アランが地を蹴った。

 閃光のような一閃。

 間一髪でレーネとアレンの間に滑り込み、斜めに構えた剣でラースの拳を受ける。

 ——ガンッ!!

 剣がきしみ、衝撃がアランの腕を通じて背骨を揺らす。

 「……っくそ……重ッ!!」

 だが、押し返した。

 ラースの動きが、一瞬だけ止まる。

 その隙に、アレンが立ち上がった。

 左肩から血が滴りながらも、兄の背に並ぶ。

「……アラン、協力するぞ。あいつは、真正面からじゃ止められない」

 アランが短く笑った。

「だったら背中は預ける。お前こそ、ついてこいよ」

 その言葉に、アレンの頬が微かに緩んだ。

「……了解」


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