表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/186

第64話

 総勢、五人。

 全員が異なる仮面をつけ、装備や魔力の系統も異なる。

 その姿を見て、レオンが吐き捨てるように言った。

「……また、“仮面”の連中か」

 アランが即座にレオンに問う。

「知ってるのか、レオン……!」

「裏ギルドの刺客。名も階級もない暗殺者……ただ“仮面”で呼び合う奴らだ。まともにやり合えば、命はない」

 アレンが顔をしかめる。

「裏ギルドがなぜここに……!」

 最前列の仮面の男が、すっと指を立てた。

「任務:特別騎士団の抹殺。ラースの確保は対象外」

 「開始する」

 次の瞬間、仮面の者たちが四方から一斉に襲いかかる!

「くっ……守れ!」

 アレンが剣を構えると同時に、クローナが前へ躍り出る。

「来る……ッ!!」

 仮面の一人が、手刀から黒雷を走らせ、結界を打ち砕いた。

 別の一人は幻術を使い、分身を撒き散らして接近。

 イダスの結界では防げない“精神干渉”が遺跡中に広がっていく。

「幻惑系か! 視界が乱される、下がれ!」

 オリヴァーが声を張り上げ、仲間の盾となって立ちはだかる。

 だが——仮面の連中は、明らかに騎士団を“殺す”ためだけに設計された動きをしていた。

 殺気が鋭い。無駄がない。躊躇いもない。

「こいつら……本気で殺りに来てる……!!」

 ボリスが歯を食いしばる。

 ラースもそれを見て、苦々しく笑った。

「……やっぱり来やがったか。こいつらだけは、敵味方問わず殺す狂犬だ」

 レーネがラースの隣に駆け寄り、震える声で呟いた。

「なぜ……こんな連中が遺跡に……!? 何を……何を狙って……」

 だが、仮面の一人が静かに告げる。

「“起動核”は要監視対象。君たちは不要。……排除する」

 爆発的な殺意とともに、仮面たちの殺戮が始まった。

 「来るぞ……!」

 仮面の刺客が音もなく跳躍する。

 黒雷と幻影をまとい、四方から襲いかかる——

 「っしゃああ! 防ぐのが俺の仕事だッ!」

 ボリスが前へ躍り出た。

 巨大な鍋盾が前面に構えられ、その表面に魔術文字が浮かび上がる。

 「《精神耐性展開・厚釜式》!!」

 ゴンッ、と重厚な音と共に、仮面の一撃が弾かれる。

 「跳ね返し……成功ぉっ!!」

 「今よ、レオン!」

 リィナが叫ぶと、すでにレオンは詠唱を終えていた。

 「——《幻界投影・多重像迷宮》」

 蒼い魔法陣が空中に開かれ、遺跡全体の空間に“屈折”が起こる。

 仮面の刺客たちが一斉に動きを止めた。

 「っ、これは……!? 感覚が……歪んで……」

 「敵影、複数……位置が、重複……っ!」

 レオンの幻術は、敵の知覚に直接干渉する。

 周囲に何重にも自分たちの残像を映し出し、敵の狙いを完全に狂わせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ