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愛・そして恋のシリーズ

愛だったのか分からない:近所

作者: リィズ・ブランディシュカ




 愛だったのか分からない。


 お兄さんに抱いた感情の正体は、一体なんだったのだろう。







 私の幼少期は悲惨だった。


 父にも母にも虐げられる事が日常だった。


 がりがりにやせていた。


 心も体もやせてなにもなかった。


 私は空っぽだった。


 人とのつながりもなかったから。


 何もない日々を生活していた。


 毎日同じ事。


 変化がないから。


 時間が曖昧。


 私はあのままだったら、ずっと幼いままだっただろう。


 幼いまま、どこかで死んでいたかもしれない。


 だからきっと、優しくしてくれる人が貴重だった。


 その人が目に留まって、そこから私の世界は一気に広がっていった。







 近所のお兄さんがいた。


 私に声をかけて、お腹がすいていると、ご飯をくれた。


 家から追い出されて、寒さでこごえていると、暖かい場所をくれた。


 必要だ。癒されるといってくれた。


 家族がいない。孤独の身だから、と寂しそうに言っていた。


 私はその人の事が好きだった。


 でもそれは愛だったのか分からない。


 気に入られたいと思っていた。


 嫌われたくないと思っていた。


 自分以外を見て欲しくないと思っていた。


 お兄さんに彼女ができたら、嫉妬していた。


 本当に好きなら、相手の幸せを祝福できるはず。


 でも私はそうじゃなかったから。


 私の感情は、愛に似ている。


 愛の様に思える。


 けれどーー。






 私は依存していたのかもしれない。


 就職を機にその土地を離れたら、その人の事は思い出さなくなった。


 本当に好きだったら、そんな事はないと思ったから。


 だから、愛じゃないのかもしれないと思った。


 お兄さんはヒーローで、私はそんなヒーローから見捨てられたくない哀れな子供。


 それが正しい関係で、それは変わらないものなのかも。







 あれは愛だったのだろうか。


 それとも愛じゃなかったのだろうか。




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