③−1 コックリさん
メリーさん事件(通称)後から三日間、葵は学校に行き勉強し、友達とふざけ合いながら喋って何事もなく帰る。すっかり普通の生活に戻れたような気がしていた。しかし三日目の夕方、学校から帰ると葵の机の上に手紙が置いてあった。それを読むと"今すぐ来い"という旨のことが書かれていた。心の中で悪態をつきながら葵は拠点へ行くと既に祐希と光希は集まっていた。
「急でごめんね。新しい任務が来たから…」
と祐希が気まずそうに口を開いた。葵が任務の内容を聞くと、"コックリさん"について調べてほしいとのこと。コックリさんといえば今クラスでまた流行り始めている。小学校でも一時期ブームになっていたがいつの間にか誰もやらなくなっていた。そのコックリさんで何があったかというとたまにコックリさんがなかなか帰ってくれない事例があるのだというこの前の口裂け女(プロローグ、① 口裂け女参照)のように暴走しているのだろうかと考え早速調査へ出向くこととなった。
次の日の放課後、誰もいない教室で三人は机を合わせ真ん中にコックリさんに使う紙と十円玉を置いた。
「それで、誰が呼び出す?」
「葵くんとか?」
「どうして俺なんですか?!」
「だって、君が一番呼び出せる可能性高いし。」
「お願い!やって!この通り!」
光希に土下座され断るに断ることができなくなり葵は仕方なくはいといいえの間の鳥居の絵の上に置いてある十円玉に指を置いた。
「コックリさんコックリさん、どうぞおいでください。」
葵はそう言い暫く待つと、十円玉はゆっくりと"はい"の方へと行った。
「…動いたね」
「わざと動かしてないよね?!」
「動かしてませんよ!ってこんなこと言ってる場合じゃねえ…何訊いたらいいですか?」
「そうだね…最初の二、三個は適当なこと訊いたら?」
「そうですか…コックリさんコックリさん、明日の天気はなんですか?」
「アレ○サか!」
光希に突っ込まれながらも、十円玉は動いた。
"あ" "め"
「雨かあ…明日傘持っていかなきゃ」
「コックリさんコックリさん、三組の井上さんは二年の遠藤先輩が好きですか?」
"は" "い"
「やっぱり、ちょっと気になってたんだ。」
「コックリさんコックリさん、俺はこのチームでうまくやっていけますか?」
「おい…」
"は" "い" "き" "つ" "と" "う" "ま" "く" "や" "つ" "て" "い" "け" "ま" "す"
「"はい、きっとうまくやっていけます"…よかった…」
「葵くん、そろそろ」
「はい…コックリさんコックリさん、貴方は一体何者ですか」
十円玉は暫く動かなかったが五秒後突然紙の上をぐるぐる回り始めた。
"たすけてくださいわたしはそこにいますおわらないですてないでおねがいおねがいおねがいおねがいおねがい…"