②−1メリーさんの電話
奇妙な出会いの次の日、葵が家の前のポストに手を突っ込むと新聞やチラシの他に何か手紙らしきものが入っていた。封筒には"斎原葵へ"と書かれており差出人の名前はどこにも書かれていなかった。変な気分になりながら封筒を開け中の手紙を読むと"午前八時、学校の裏山のふもとへ。怪異調査団"と書かれていた。葵は少し急いで身支度を整えると裏山へと向かっていった。
八時の五分前に裏山のふもとへ着くと既に祐希が小説を読んで待っていた。葵が声をかけ挨拶をすると祐希も愛想良く返してくれた。
「おはようございます。榎本さん。」
「おはよう。葵くん。光希から少し遅れるって連絡が来てるから先に私達だけで拠点へ行こうか。」
祐希はそう言うと小説を自身のカバンにしまい歩き始めた。葵もすぐ祐希の後を追いかけ後ろに並んで歩いた。
裏山に登って少し歩き獣道を通ると少し大きめの民家らしきものが見えた。どうやらそこが拠点らしい。祐希が何かを鍵穴らしきところにかざすと自動で引き戸が開き中に招かれたので葵は急いで入った。入った後引き戸が閉まり自動で鍵がかかったような音がした。拠点の中は家のような雰囲気がありいつも丁寧に掃除されているからか綺麗だった。葵が祐希に声をかけようとした時すぐ真横を魂のようなものが通り過ぎていった。葵は背筋が凍り思わず勢いよく祐希に飛びついてしまった。
「わっ、どうしたの?もしかしてあの子?見えるの?」
祐希は驚きつつそういうと葵は震えながら小さく頷いた。その後何かを呟くと葵を優しく撫で落ち着かせた。
葵が落ち着いた後祐希はカバンから何かを取り出し葵に渡した。それは球体で透明のペンダントだった。
「それをちょっと強く握ってみて。」
言われた通りに少し強く握ると手の隙間から青い光が漏れ出てパッと手を開くとネックレスは青がベースの子供向けのおもちゃでよく見かけるような少し大きめの拳銃に姿を変え、服装は白いワイシャツにフードのところが白の黒いパーカー、黒いベルトとジーンズ、黒と白のスニーカー、そして首にはチョーカーが巻いてあり手には黒色の指だし手袋がしてあった。葵が驚き硬直していると祐希が口を開いた。
「へえ、拳銃か…ちょっと扱いが難しいと思うけど君なら使いこなせると思うよ。制服も似合ってる。」
祐希がそう言うとちょうど光希が入ってきた。祐希がハンドガンだった旨を伝えると光希は驚いたような顔をして葵に声をかけた。
「水属性で拳銃だったんだ…だいたい予想していた通りだね」
そう言われた後二人から武器の使い方と拠点について説明を受けた後少し雑談をし解散した。