⑤ 束の間の休憩
今週ほぼ立て続けに活動をしていたので葵、光希、祐希の三人は疲れ果てていた。三人が机に突っ伏している中メリーはそこら辺に乱雑に置いてあった雑誌を読み漁り、狐狗狸はお茶を飲んでおり、凛子は時雨と談笑していた。凛子が調査団の拠点に住むと言ってから時雨は毎日来るようになってこうして話している。
ふと、葵はこう提案した。
「そんだけ毎日来るんだったら源も入る?調査団。」
「…え?いいの?私入りたい!いいですか?」
時雨はそれを聞いた瞬間目を輝かせ光希と祐希にも聞いた。
「うん、いいよ。」
「人数多くて損はないしねー」
二人も快く(と言うか正直否定するのが面倒くさかったので)了承し、数分後ペンダントが時雨に手渡された。時雨が軽くペンダントを握ると緑色に発光し、たまにアニメで見かけるような大きい魔法の杖に変わった。服装は黒いハイネックの下着に襟が黒で薄いグレーのセーラー服、緑色のリボン、黒いタイツに茶色のローファーに変わっていた。
「風属性で魔法…扱い方には気をつけてね。使い方次第では凶器にもなってしまうから…」
「はい、わかりました!」
時雨が返事をした後、武器や拠点の説明をして暫く無言が続いたが不意に狐狗狸がこう訪ねた。
「そう言えばお前さんら特訓か何かしていたじゃろ?それに関してはどうするんじゃ?」
「確かに今までは2対1という感じで教えていたけど時雨も入ったし1対1にしたほうがいいかもね。」
「私祐希さんがいい!いいですよね祐希さん!」
祐希が案を挙げると時雨はすかさず祐希を指名した。時雨は期待に瞳を輝かせていたが祐希の視線は葵の方に向いていた。
「ごめんね時雨ちゃん。私葵くんがいいの。それじゃあ光希、時雨ちゃんをよろしくね。」
祐希は弾んだ声で圧をかけるように時雨を光希に押し付けた。時雨は祐希の言葉に納得できずこう続けた。
「どうしてですか!祐希さん。私貴方のいう事ならなんでも聞きますし期待に応えることもできるはずです!」
「…うん、確かに君なら言った通り期待に応えることもできるはずだよ。でもね、時雨ちゃん。君は街を守ろうという向上心が強いから少し練習すればすぐに強いものも使えてしまうと思うの。でも葵くんにはまだそれがないから今後情に促されて騙されて負けてしまうことがあるかもしれないから、私が特訓するほうが適切なの。」
「そうですか…じゃあ光希さんでいいです。よろしくお願いします。」
「ちょっと!あまり物選ぶようなノリで言わないでくれる?!一応ボクも強い部類なんだけど!」
少しメチャクチャな理論だったが時雨は納得し光希の方に向いた。光希は時雨の言い方に少し腹が立ち言い返したが時雨はあまり聞いていなかった。
その時、けたたましく警鐘が鳴り始めた。画面には怪異暴走の文字が躍り出る。場所は葵と時雨の中学校。四人は顔を見合わせ強く頷き、中学に向かって走り始めた。