表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子天女に嫌われたのは、Fランクの闇使い  作者: しるべ雅キ
探索の異能者達

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/110

第75話【闘士に戦慄したのは、元Fランクの闇使い】

サイカの言動に苛立ちを覚えた翔星(しょうせい)は、

今まで秘めていた本心を吐露した。

「このまま待つのも芸が無いな、少し奥を見て来るか」

硼岩棄晶(フォトンクレイ)の来た方角、危険と推測」

 鳥居に寄り掛かっていた翔星(しょうせい)が立ち上がり、手のひらに地図を浮かべたサイカは静かに首を横に振る。


「もし向こうに戦力が残ってるなら、ここはとっくに取り囲まれてる」

「タイガーアイの索敵範囲に敵影は無い」

 サングラス型のバイザーを掛けた翔星(しょうせい)が結界の境界を指差し、サイカもネコ耳の付いた髪留めから下ろしたバイザー越しに周囲を確認した。


「いるとしてもステルス級くらいか」

「ドッペル級が潜んでいる可能性は?」

「オリジナルを駆除したから、もう出て来ないだろ」

 バイザーを外しがてら軽く伸びをした翔星(しょうせい)は、手のひらにヒト型硼岩棄晶(フォトンクレイ)の立体映像を浮かべたサイカに余裕の笑みを返す。


「別の人間を取り込んだドッペル級と遭遇する可能性もある」

「多分それは無い」

「根拠は?」

 行方不明者リストの画像に切り替えたサイカは、微塵(みじん)も迷わずに否定した翔星(しょうせい)に小首を(かし)げて聞き返す。


「今までの駆除で(オレ)が苦戦したのは、初陣だけだ」

「了解した。貴官の偵察に同行する」

 指先に光を灯してから吹き消した翔星(しょうせい)にサイカが頬を緩ませながら親指を立て、2人は樹海の奥へと歩き始めた。



「みなさん、お待たせしたです! 最終調整終わったです!」

氷騰(ヒア)ちゃん、いつもすまないね~」

 転送室に隣接した待機室の扉を勢いよく開けた氷騰(ヒア)が満面の笑みを浮かべ、入口近くの椅子に腰掛けていたピンゾロは咳き込む仕草をする。


「それは言わない約束だよ、おとっつぁん……って、何を言わせるですか!」

「お遊びはそれくらいにして、さっさと行くぞ」

 ピンゾロの背中を軽くさすった氷騰(ヒア)が手を離し、隣に座っていたコチョウは呆れ気味に立ち上がる。


「コチョウ先生、もしかして()いてる?」

「そんな訳無かろう、輝士械儕(オーダイド)には決まった異能者(バディ)がいるからの」

「ははっ……やっぱり無理か」

 からかうように笑ったピンゾロは、胸を張って余裕の笑みを返すコチョウに背を向けて力無く頭を掻いた。


「とにかく急ごう、今は1秒でも時間が惜しい」

「これで翔星(しょうせい)さんを迎えに行けますね」

 誤魔化すように立ち上がった斑辺恵(はんべえ)が部屋を出て転送室に向かい、焔巳(エンミ)も続く。


翔星(しょうせい)の事だ、プラント級を見付けて駆除しちまってるかもな」

「いくら翔星(しょうせい)でも無理だよ。でも、多少は覚悟が必要か」

 密かに安堵しながら部屋を出たピンゾロが肩を震わせて笑い、立ち止まって振り向いた斑辺恵(はんべえ)は神妙な面持ちで(うつむ)いた。


「ど、どういうことです?」

翔星(しょうせい)は冷めてるようで血の気が多いってだけだ」

 2人の会話を耳にした氷騰(ヒア)が慌てて聞き返し、ピンゾロは安心させるように笑いながら頭を撫でる。


「うむ、サイカ殿も満足するじゃろ」

「ん? そこは『苦労するじゃろ』じゃないの?」

「いずれ分かる話じゃ、今は救出に専念するかの」

 腕組みをして深く頷いたコチョウが仕草を真似てから聞き返したピンゾロに含み笑いを返し、一行は心持ち早い足取りで転送室へと向かった。



「ゲートの正常起動を確認、目的地に到着したです」

「誰もいませんね」

 樹海に出た氷騰(ヒア)が鳥居型ゲートの状態を確認し、続けて出て来たリーレは慎重に周囲を見回す。


「まさか……翔星(しょうせい)さんは硼岩棄晶(フォトンクレイ)に……!?」

「ありえないな、あの闇を抜けられる新種がいるとは思えないぜ」

「それにサイカさんもいる、ここから移動したんだと思うよ」

 両手を口で押さえた氷騰(ヒア)にピンゾロが首を振り、斑辺恵(はんべえ)も余裕の笑みを返す。


「だとしたらキャンプ地まで戻ったのか?」

「いや、奥に行ったみたいだぜ」

翔星(しょうせい)らしいな」

 ゲートを設置する時に通って来た道を見据えた造酒(みき)に首を横に振ったピンゾロが地面に手を当て、博士(ひろし)は呆れ気味に鼻で笑った。


下足痕(げそこん)は2人分ですね。乱れも無いですし、逃げた翔星(しょうせい)さんをサイカさんが追い掛けた訳でも無さそうです」

「足跡鑑定まで出来るなんて、便利なスライムね~」

 地面に広げたスライムを巻き取ったリーレが手早く読み取り、立ち上がったピンゾロは軽く伸びをする。


「でもサイカさんが翔星(しょうせい)に協力するなんて意外だな」

「サイカさんはどうして翔星(しょうせい)さんを止めなかったです?」

 頭を掻きながら考えを纏めた斑辺恵(はんべえ)が樹海の奥を見据え、同じ方角に目を向けた氷騰(ヒア)は首を(かし)げる。


「本人に聞けば分かる事だ、それよりこれからどうする?」

「当初の予定通り、次の調査ポイントに向かおう」

 氷騰(ヒア)の頭を撫でた博士(ひろし)が振り向き、目が合った造酒(みき)はLバングルを操作してから樹海の奥を指差した。


「そうだな、方向が同じなら合流出来るかもしれん」

「おっけ~、一応声も掛けとく?」

「いや、入れ違いで戻って来た場合を考えてメッセージを置いて行く」

 静かに頷いた博士(ひろし)は、大きく息を吸い込もうとしたピンゾロを制止したゲートに親指を向ける。


「ゲートに伝言データを貼り終えたです、2人ともどこにいるですかねぇ」

電子天女(マスターデバイス)との接続が回復すれば、2人の居場所も分かるじゃろ」

「そう言う事だ、行くぞ」

 鳥居を操作して立体映像を浮かべてから(うつむ)いた氷騰(ヒア)の肩にコチョウが手を乗せ、一行は博士(ひろし)を先頭に樹海の奥へと向かった。



「前方に人影を確認、要警戒」

「ピンゾロ達が先回りした訳ではなさそうだな」

 下草の無い地面を歩くサイカが足を止め、翔星(しょうせい)は腰の(レイ)ガンに手を当てる。


「データ照合……呼称不明の南方剣士と合致」

「消えた剣士との再会、ね……あれは何者なんだ?」

 ネコミミの付いた髪留めからバイザーを下ろしたサイカが手のひらに立体映像を出し、翔星(しょうせい)は慎重に(レイ)ガンを抜いた。


「スキャン開始……人間とも硼岩棄晶(フォトンクレイ)とも異なる存在」

「データリアンの白い意識が作った攻撃手段、って仮説の信憑性が高まったな」

 バイザーを通して南方剣士を分析したサイカが手のひらの映像を切り替え、頭を掻いた翔星(しょうせい)は複雑な笑みを浮かべる。


「貴官の推測を基に接触を試みる……」

「どうやら(やっこ)さんは戦う気満々みたいだぜ」

 髪留めをガジェットテイルに戻して歩き出そうとしたサイカを制止した翔星(しょうせい)は、右手で持ち上げた杖に左手を添えた南方剣士を指差す。


「警告。Sランク(スペシャル)異能者(バディ)魔法使い(ウィザード)は2か月で剣術をマスターしたと記録にある」

「そいつは楽しめそうだ」

 ガジェットテイルを再展開したサイカが手のひらに記録画像を浮かべ、(レイ)ガンを構えた翔星(しょうせい)は不敵な笑みを浮かべた。



(レイ)ガン、ダブルファイア!」

『キィェェエーイッ!』

「……なっ!?」

 闇と閃光を混ぜた熱線を続けざまに照射した翔星(しょうせい)は、熱線を(かわ)しながら雄叫びを上げる南方剣士に驚愕しながら地面に(レイ)ガンを向ける。


「効果無し、接近に警戒」

「見れば分かる、下がってろ!」

 ガジェットテイル先端の懐中電灯を掴んだサイカに左手のひらを向けた翔星(しょうせい)は、地面に(レイ)ガンを撃った反動で前方に深く踏み込む。


『チェストォーッ!』

「おっと……ドッペルの時とまるで同じ動きだぜ……!?」

『ハッ!』

 勢い良く振り下ろした南方剣士の杖の脇をすり抜けて背後に回り込んだ翔星(しょうせい)は、自身の背後に迫る殺気に反応して地面に向けた(レイ)ガンの引き金を引いた。


「……っと、待ち伏せとはな。いや、防衛か?」

「データ照合。魔法使い(ウィザード)の闘士型輝士械儕(オーダイド)、個体名クオンと合致」

 反動で大きく跳んだ翔星(しょうせい)が着地と同時に周囲を警戒し、前方に躍り出たサイカは殺気の主である赤いスパッツを穿いた水兵服姿の女性を分析する。


「まさか輝士(オーダー)と戦える日が来るとはね」

「警告。人間と輝士械儕(オーダイド)の能力差は歴然、戦闘は推奨しない」

 (レイ)ガンを構えた翔星(しょうせい)が自らを鼓舞するように笑みを浮かべ、サイカは静かに首を振る。


「分かってる。サイカは輝士(オーダー)モドキの赤い闘士を、無理なら逃げるぞ」

台刻転(だいこくてん)は2回使用可能、他の装備も戦闘に支障は無い」

「上出来だ。ひとつお手合わせ願うぜ、先輩方!」

 小さくため息をついて元来た道を確認した翔星(しょうせい)は、握った懐中電灯から光の刃を出したサイカに頷いて(レイ)ガンを構え直した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ