表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子天女に嫌われたのは、Fランクの闇使い  作者: しるべ雅キ
激闘の異能者達

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/110

第55話【優先されたのは、元Fランクの闇使い】

大型硼岩棄晶(フォトンクレイ)の妨害を受けた翔星(しょうせい)達だが、

輝士械儕(オーダイド)達の活躍により突破に成功した。

「さーて、地獄の三丁目の第一硼岩棄晶(フォトンクレイ)は……って、探すまでも無いな」

拙僧(せっそう)灯明(とうみょう)もあの中ですが、いささか大きいような?」

 新たな階層に着地したピンゾロが周囲を探る振りをしながら巨大な柱を見上げ、意識を集中すべく合掌した(おさむ)は怪訝な表情を浮かべる。


「全てのプラント級をひとつに集めたって推測、案外正解かもな」

「プラント級を見付けるまでに切り札(ジョーカー)を温存出来たのは僥倖(ぎょうこう)だよ」

 興奮を隠せない様子で翔星(しょうせい)(レイ)ガンを抜き、Lバングルへの入力を終えた羽士(はねと)は密かに安堵しながら眼鏡に手を当てた。


「そう言えば、壬奈(ミナ)ちゃんの切り札(ジョーカー)ってどんなんなの?」

「速度の上昇だよ。閉鎖空間には不向きだから、アテにはしないでくれ」

 ふと思い出したようにピンゾロが聞き返し、羽士(はねと)は曖昧な笑みを返す。


「わたくしの切り札(ジョーカー)も閉鎖空間向きじゃないのぉ~」

切り札(ジョーカー)2枚が欠席なら、戦力の分散は悪手になるか」

「それに、分散が分断になってただろうからね」

 周囲を警戒するように機関銃を構えながら微笑んだマーダに翔星(しょうせい)が頷きを返し、羽士(はねと)も静かに頷いた。


「ん? どゆこと?」

「奴等はエネルギー体に変わって地中を自在に移動出来るだろ?」

 手にした銃器を確認する輝士械儕(オーダイド)達を眺めていたピンゾロが首を大袈裟に(かし)げ、羽士(はねと)硼岩棄晶(フォトンクレイ)の特性を簡単に説明する。


「そりゃまあ、(おれ)ちゃんの見たプラント級もどっか行ったものな」

「おそらく1層や2層の硼岩棄晶(フォトンクレイ)も同じ理屈でここに来れるはずだ」

「逆にこっちは穴を塞がれて置いてけぼり、って訳ね」

 軽く頭を掻いたピンゾロは、羽士(はねと)がLバングルに出した映像に納得して頷いた。


「これまでの定石が通じる相手じゃなかったけど、本丸なら話は別だ」

「ああ、出し惜しみ無しの最終決戦だ」

「とはいえあの巨体じゃ、やみくもに攻撃してもこちらが消耗するだけじゃろ?」

 安堵の笑みを鋭い眼光に変えた羽士(はねと)に続いて聡羅(あきら)が折り畳んだままのスコップを構え、コチョウは不安な様子で以前の戦闘データを手のひらに浮かべる。


「手は限られてるだけで、無い訳じゃ無いさ」

「あの程度の大きさなら骨は折れるが、コアを探せないでもない」

 静かに首を振った羽士(はねと)と目が合った翔星(しょうせい)は、確信の表情と共に肩をすくめた。


「今回は輝士(オーダー)が6人もいるから、増援はすぐに塞げるね」

「穴の破壊が逃走のトリガーかもしれない、塞ぐのは最後の手段だ」

 周囲の輝士械儕(オーダイド)を見回した斑辺恵(はんべえ)が余裕の表情を浮かべるが、羽士(はねと)は慌てて手のひらを向けながらLバングルの映像を切り替える。


「他に逃げられる場所があるのか知らないが、用心するに越した事は無いな」

「抵抗を掻い潜りながらコアを探す作戦になる、出来るかい?」

「簡単に言ってくれる。気に入ったぜ、この作戦」

 頭を掻いて考えをまとめた翔星(しょうせい)は、真剣な表情を浮かべて聞き返して来た羽士(はねと)に小さく肩をすくめてから不敵な笑みを返した。



『『グォーン!』』『『グェーッ!』』

「さすがは本丸、数も種類も滅茶苦茶だ」

「この際だ、陣形なんか無視して各自の判断で翔星(しょうせい)を守ってくれ!」

 プラント級の根元にある穴から出て来た様々な硼岩棄晶(フォトンクレイ)に気付いた斑辺恵(はんべえ)が呆れ気味に身構え、羽士(はねと)は簡潔に指示を出す。


「おいおい、(オレ)の分を残しておけよ!」

「早くコアを見付けないと、全部いただいちゃうよ~ん!」

 指示に不満を覚えた翔星(しょうせい)が手にした(レイ)ガンを振り、ピンゾロは冗談じみた笑みを返して大きく手を振る。


「言ってろ! サイカ、まずは硼岩棄晶(フォトンクレイ)が出て来る穴の周辺をチェックだ」

「トレント級との比率や貴官を警戒する傾向から、コアは上方にあると推測」

 緩んだ口元で毒づいた翔星(しょうせい)が表情を切り替えてプラント級の根元を指差し、手のひらに立体映像を浮かべたサイカはもう片方の手でプラント級の上部を指差した。


「裏をかく可能性もゼロじゃない、可能な限り確認したいんだ」

「了解した。出力最大で突破」

 静かに首を横に振った翔星(しょうせい)が再度根元を指差し、サイカは両脇で抱え込むように構えた大型熱線銃の引き金を引く。


『キィェーッ!?』『ギャインッ!?』

「穴を塞がずに硼岩棄晶(フォトンクレイ)だけを撃破か、見事なもんだ」

 2門の銃口から放たれて重なった熱線が刃の如く進路上の硼岩棄晶(フォトンクレイ)を薙ぎ払い、開けた視界の先にある無傷のプラント級に翔星(しょうせい)は舌を巻いた。


「出力低下、熱線銃を破棄」

「機密保持とかは大丈夫なのか?」

「購入に使用した分のポイントを使い切れば、データに戻って自動的に分散する」

 躊躇(ためら)う事なく熱線銃を投げ捨てたサイカは、慎重に聞き返した翔星(しょうせい)に得意満面な笑顔を返す。


「何とも便利な話だな。だが、今のうちだ!」

瑞雲(ずいうん)起動、貴官の体力温存に協力する」

「大した名目を考えやがって……まあいい、ここは頼んだぜ!」

 霧のように消えた熱線銃を呆れ気味に眺めながら(レイ)ガンを地面に向けた翔星(しょうせい)は、直後に襟首を掴んで来たサイカに複雑ながらも決意に満ちた笑みを返した。



硼岩棄晶(フォトンクレイ)の接近を確認。以降の戦闘行動は、ガジェットテイルを使用する」

「ここまで来れれば上等だ、闇よ……!?」

『『アォォーンッ!』』

 バイザーを通して周囲を確認したサイカがガジェットテイルの先端に付いた懐中電灯を握り、闇に包む体勢に入った翔星(しょうせい)は側面からの衝撃波に気付いて身構える。


「データ照合、ケルベロス級と一致。速やかな離脱を推奨」

「この程度なら(オレ)が……っと!」

『『ギャイン!?』』

 着地と同時に進行方向を指差したサイカに首を振った翔星しょうせい(レイ)ガンを構えるが、直後にケルベロス級は3つの頭部と腹部のバイパスに銃撃を受けて倒れた。


「援護はありがたいが、どこから撃ったんだ?」

「弾丸の軌道を自在に操るラウンドショット、法師型の取って置きよ!」

 灰となって消え行くケルベロス級を確認した翔星(しょうせい)が周囲を見回し、2丁の拳銃を両手に持ったカーサが得意げに胸を張る。


「ありがたい、今のうちに近付くぞ!」

「了解した」

 軽く手を振った翔星(しょうせい)がプラント級に向かい、サイカも続くように駆け出した。



「いい具合に引き付けてくれてるな、闇よ!……なっ!?」

「こちらでもコアを確認、貴官の推測通り」

 プラント級の根元を闇に包んだ翔星(しょうせい)が言葉を詰まらせ、サイカは小さく頷く。


「バイパスみたいなものも上まで伸びてるな、確認するぞ!」

「了解した」

 プラント級のコアを指差した翔星(しょうせい)が続けて上に向け、サイカは再度襟首を掴んで上昇を開始した。



「闇よ! 闇よ! 闇よ!……中継地点も無いとは恐れ入るぜ」

「間もなく頂点部分に到達」

 淡く光ってどこまでも上に伸びるバイパスに翔星(しょうせい)が呆れ返り、サイカは天井部に張った根のようなものを指差しながら上昇速度を緩める。


「闇よ!……見えた! プラント級は高く伸びた上下にコアを持ってやがる!」

「データ転送……コアの同時破壊以外に駆除は不可能と電子天女(マスターデバイス)は推測」

「見た目通りの能力か、天井をぶち抜いてたらアウトだったぜ」

 根を突き出している頂点部分を闇に包んだ翔星(しょうせい)は、サイカから聞いた分析結果に安堵のため息をついてから天井部を眺める。


「プラント級に逃走の予兆は無い、一時退避を提案」

「もちろんだ、2人でどうこう出来るなんて思ってないぜ」

 慎重にプラント級を観察してから下を向いたサイカに翔星(しょうせい)が素直に頷き、下降を始めた2人は羽士(はねと)が作り出していた氷柱(つらら)の壁の内側に着地した。



『『ブモァーッ!』』『『グルァーッ!』』

氷柱(つらら)の壁か。噂には聞いてたけど、大した強度だ」

 地面から張り出した氷柱(つらら)の壁に硼岩棄晶(フォトンクレイ)が阻まれ、翔星(しょうせい)は呆れ気味に感心する。


「しばらくは攻撃に耐えられる、今のうちに作戦を立てよう」

「データは電子天女(マスターデバイス)に転送済み」

 自信に満ちた笑みを返した羽士(はねと)がLバングルの操作を始め、サイカは淡々と手のひらに立体映像を浮かべた。


「どれどれ……コアの同時破壊はヒドラ級やケルベロス級のようには行かないね」

「バイパスが長いからな……中心点からコアまで攻撃が届くとは思えないぜ」

 データを確認した羽士(はねと)が考え込み、翔星(しょうせい)は手にした(レイ)ガンを眺めて首を振る。


「直接破壊するしかないね、戦力の確認をしながら誰が破壊するか決めよう」

「さっきのドンパチで輝士(オーダー)ちゃんの得物は軒並み打ち止めだぜ?」

 しばらく考えた羽士(はねと)が方針を固め、ピンゾロは小さく肩をすくめた。


「残るはガジェットテイルの通常戦力と六連装の切り札(リボルジョーカー)だけか……」

(オレ)とサイカなら台刻転(だいこくてん)で同時に攻撃できるが?」

 Lバングルにデータを入力した羽士(はねと)が難しい表情を浮かべ、翔星(しょうせい)はプラント級の映像の上下を順に指差してから含み笑いを浮かべる。


「念のために言うけど、翔星(しょうせい)の帰還最優先は電子天女(マスターデバイス)の決定なんだ」

「こっちは初耳なんだが、いつも通りには行かないって事か」

「肯定。貴官との距離と台刻転(だいこくてん)の使用回数が制限されている」

 Lバングルに映像を出した羽士(はねと)に釈然としない様子で翔星(しょうせい)が頭を掻き、サイカは淡々と頷いて手のひらに立体映像を浮かべた。


「ありがたい話だが、あんな獲物を前に引く気は無いぜ」

「それでこそ翔星(しょうせい)ちゃん、(おれ)ちゃん達が援護すればいいだけの話だろ?」

 大袈裟にため息をついた翔星(しょうせい)が壁の隙間からプラント級を見据え、後ろから回り込んだピンゾロが肩に腕を乗せながら親指を立てる。


「そうだな、頼りにしてるぜ。それでコアの破壊はどうする?」

「上のコアは(ぼく)壬奈(ミナ)で行くよ」

 感謝するように目を閉じた翔星(しょうせい)が切り替えるように見開き、羽士(はねと)はプラント級の映像の上部を指差す。


壬奈(ミナ)殿のロケットなら適任じゃろうが、コアを破壊する当てはあるのかの?」

「細工は流々、仕掛けは上々、あとは仕上げを御覧(ごろう)じるだけでござる」

「それは頼もしいの」

 深々と頷きつつも懸念事項を確認したコチョウは、自信に満ちた笑みを浮かべた壬奈(ミナ)に満面の笑みを返した。


「下のコアは早い者勝ちで行くか」

「分かりやすくていいね、美味しいところはいただいちゃうよ」

 軽く伸びをした翔星(しょうせい)が壁の隙間からプラント級を見据え、ピンゾロは悪戯じみた笑みと共に頭の後ろに手を回す。


「誰が駆除しても恨みっこなしだからね」

「ああ、頼りにしてるぜ」

 慣れた様子で微笑んだ斑辺恵(はんべえ)が大きく伸びをし、翔星(しょうせい)は静かに頷いてから不敵な笑みを浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ