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電子天女に嫌われたのは、Fランクの闇使い  作者: しるべ雅キ
激闘の異能者達

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第40話【逃げられたのは、元Fランクの闇使い】

羽士はねと壬奈(ミナ)の連携を目の当たりにしたピンゾロは、

(わず)かな焦りを起爆剤へと変えた。

「オーカシティから増援要請です。構成は不明ですが数は20体程度との事です」

「今回は時影(ときかげ)に行ってもらう、待たせてすまなかったな」

 ブリーフィングルームに集まった面々を確認したヒサノが手のひらに立体映像を出し、タブレット端末を操作した充木(あつぎ)は複雑な笑みを浮かべる。


「ご期待に添えるよう、全力を尽くそう」

期雨(きさめ)時影(ときかげ)達に同行してくれ」

「了解しました」

 頭を掻きながら立ち上がった翔星(しょうせい)が軽く敬礼し、続けて充木(あつぎ)から声を掛けられた聡羅(あきら)が立ち上がって敬礼した。


「なるほど、最後の品定めって訳か」

「ああ、今回はお目付け役だ」

 静かに頷いた翔星(しょうせい)含み笑いを浮かべ、聡羅(あきら)は軽く肩をすくめる。


「ピンチになったらすぐに助けるから、安心しなさい」

「協力には感謝、手を煩わせないよう努力する」

 髪を(すく)うように払ったカーサが胸を張り、サイカは表情を変えずに頷きを返す。


「ふんっ、せいぜい頑張る事ね。さっさと行くわよ」

「カーサちゃん、楽しそうですぅ~」

「うむ、良き友に巡り合えたでござるな」

 照れ隠しをするかのように一行の先頭に立ったカーサが出口に向かい、マーダと壬奈(ミナ)は嬉しそうに微笑みながら見送った。



「オーカシティに到着、これより現地に向かう。ヨシ、久々の駆除だ」

「Fランクの頃は無許可で駆除して来たんだろ? よく自制出来たな」

「無許可の外出は全て阻止して来た」

 Lバングルに音声を記録した翔星(しょうせい)聡羅(あきら)が慎重に聞き返し、サイカは手のひらに記録を浮かべて淡々と答える。


「そっか……未遂に終わってたのか」

「ありがたい事にな」

 呆れ気味に笑う聡羅(あきら)翔星(しょうせい)が自嘲気味に肩をすくめ、一行は結界街の正面ゲートである大鳥居に向かった。



「駐在の異能者(バディ)輝士械儕(オーダイド)は退避済み」

「分かった。現地に到着、これより駆除に移る」

「了解した。ガジェットテイル起動、コネクトカバー展開」

 ゲートを出てから周囲の状況を確認したサイカは、Lバングルに音声を記録した翔星(しょうせい)の全身を薄明りに包む。


『『キェーッ!』』

「ワーム級が多いな……今は、あの川が天然の境界線になってるようだが」

 対岸の森から響く金切り声に眉を(ひそ)めた翔星(しょうせい)は、サングラス型のバイザー越しに周囲を確認する。


「タイガーアイ起動。バット級の反応なし、現状硼岩棄晶(フォトンクレイ)側の増援は無いと推測」

「なら、地道に潰しておくか」

 猫の耳型の機器が付いた髪留めを装着したサイカが上空を確認し、簡単な方針を決めた翔星(しょうせい)は腰から(レイ)ガンを抜いた。


「了解した、そろそろワーム級が出て来る」

「任せろ、闇よ……!?」

『『キキキーッ!!』』『『キキキィーッ!!』』

 方針を了承したサイカが指を差す方向に闇を展開しようとした翔星(しょうせい)だが、対岸で進行を止めてから重なり合ったワーム級の放つ光を警戒して手を止める。


『『キキキ……』』『『キキキィ……』』

「ヒドラ級は想定してたけど、まさか2体とはね」

「弱点は把握済み、速やかな駆除を推奨」

 ワーム級からヒドラ級へと変化した硼岩棄晶(フォトンクレイ)を前に翔星(しょうせい)が複雑な笑みを浮かべ、サイカはガジェットテイルの先端に付いた懐中電灯型の機器を手に取った。


『『アオーン……』』『『アオォーン……』』

「ハウンド級まで出て来たか」

「不可解な行動予測を検知、油断は禁物」

 巨大な犬のようなハウンド級硼岩棄晶(フォトンクレイ)がヒドラ級を囲むように森の奥から現れ、翔星(しょうせい)とサイカは各々身構える。


『『グルルル……』』『『グルルル……ゥ』』

「ここに来て、ハウンド級まで合体するとはね」

「該当データ無し、個体をケルベロス級と報告」

 折り重なってふた回り大きな硼岩棄晶(フォトンクレイ)に変化したハウンド級に翔星(しょうせい)が呆れつつも口元を緩ませ、サイカは空を見上げてデータを更新した。


「頭が3つでケルベロスか、安直だが分かりすい」

「カーサ達に援護要請する選択もある」

 ハウンド級をふた回り巨大にした硼岩棄晶(フォトンクレイ)の頭部を確認した翔星(しょうせい)が肩をすくめ、前へと出たサイカは振り向いて方針を聞き返す。


「ご冗談。こんな大物、独り占めしない手は無いぜ」

「了解した、貴官の指示に従う」

 静かに首を横に振った翔星(しょうせい)が余裕の表情を浮かべながら(レイ)ガンを抜き、サイカは隣まで移動してから頷いた。



「スタティックグリモアール起動! 早く加勢しましょう、マスター!」

「待つんだ。翔星(しょうせい)達は、そのまま駆除するつもりらしい」

 下敷きを挟んだ魔導書型の機器を手にしたカーサが振り向くが、聡羅(あきら)はカーサの両肩に手を置いて首を横に振る。


「ウソでしょ!? 駆除に人数が必要なヒドラ級が2体に新種までもいるのよ!」

「しばらくはお手並み拝見と行こう、準備だけはしておいてくれ」

「わかったわ」

 思わず大声で聞き返したカーサは、折り畳んだスコップを取り出した聡羅(あきら)に渋々頷きを返した。



科戸(しなと)起動。行動予測終了、梠接(ろせつ)射出」

『『キィェー!』』

 肩の小型ランプを点滅させたサイカが懐中電灯型の機器から光の刃を撃ち出し、側面に回り込もうとしていたヒドラ級が元の位置へと下がる。


(レイ)ガン、ダブルファイア!」

『『アォッ!?』』

 慎重に狙いを定めていた翔星(しょうせい)(レイ)ガンの引き金を2回引き、ケルベロス級は闇が走った直後に(まばゆ)い光に当てられてバランスを崩した。


「いい具合に固まったみたいだな、闇よ!」

『『キェッ!?』』『『アォァッ!?』』

 光の向きを変えた翔星(しょうせい)が対岸を暗闇で覆い、視界を閉ざされた硼岩棄晶(フォトンクレイ)は一斉に動きを止める。


「ヒドラ級、及びケルベロス級の動作停止を確認」

「まずヒドラ級を駆除する! サイカ、台刻転(だいこくてん)だ!」

「了解した、台刻転(だいこくてん)起動」

 髪留めにバイザーを展開しつつ脚の飛行装置を起動したサイカは、指示を出した翔星(しょうせい)の肩を掴みながら転移ゲートを出現させた。


『『キィァ?』』『『キィェ?』』

「ちょうど2体の真上か、上手いところに転移したな」

「節約は大事」

 2体のヒドラ級を眼下に捉えた翔星(しょうせい)が落下しながら感心し、サイカは含み笑いを返す。


「上等だ、そっちは任せた!」

「了解した、虎影灯襖虚(こえいとうおうきょ)起動」

 (レイ)ガンを撃って落下を加速させた翔星(しょうせい)が片方のヒドラ級に向かい、サイカは懐中電灯の先端に光の刃を出しながらもう片方のヒドラ級に向かった。


「バイパスは見えてる、もう逃げられないぜ」

『『キィェアッ!?』』

 (レイ)ガンを撃つ反動で調整しつつ落下した翔星(しょうせい)は、ヒドラ級の背に走る光が交わる位置に銃口を突き付ける。


「目標確認、瑞雲(ずいうん)出力上昇。攻撃を第一段階に移行」

『『ギィァッ!?』』

 飛行装置を加速させたサイカも光の交わる箇所に光の刃を突き立て、ヒドラ級は一斉に悲鳴を上げる。


「これでも食らえー!」「梠接(ろせつ)連続射出」

『『キギョェーッ!!』』『『キギョァーッ!!』』

 (レイ)ガンの引き金を引いた翔星(しょうせい)が闇の針を流し込むと同時にサイカが光の刃を撃ち込み、2体のヒドラ級は口々に断末魔の声を響かせた。


「ヒドラ級の駆除を確認」

「残るはケルベロス級!……こいつはどういう事だ!?」

 着地したサイカの報告に力強く頷いた翔星(しょうせい)(レイ)ガンを構えるが、異変に気付いて思わず戸惑いの声を上げる。


「こちらでもコアの消滅を確認、闇の解除を要請する」

「分かった……」

 バイザー越しに周囲を確認したサイカが全身のバネを溜め、翔星(しょうせい)は慎重に左手を払って光の動きを元に戻した。



「何も……いない? どういう事だ?」

「逃走したと推測、電子天女(マスターデバイス)には報告済み」

 右手に(レイ)ガンを構えたまま左手でバイザーを外した翔星(しょうせい)が慎重に周囲を見回し、サイカは懐中電灯型の機器を握ったまま空を見上げる。


「推測に異論は無い、からくりが分からんだけだ」

「ヒドラ級2体に多数の新種を駆除、大手柄なのに浮かない顔だな?」

「いや、新種には逃げられた」

 複雑な表情で(レイ)ガンをホルスターへと戻した翔星(しょうせい)は、駆け寄って来た聡羅(あきら)に首を振って返した。


「何だって!?」

電子天女(マスターデバイス)からも同じデータが届いてるわ」

 予想外の返答に聡羅(あきら)が思わず聞き返し、同じく駆け寄って来ていたカーサが手のひらに立体映像を浮かべる。


「当面の危険は無いと電子天女(マスターデバイス)は判断、帰還命令が出ている」

「見つからない以上は仕方ないな。硼岩棄晶(フォトンクレイ)の逃走を確認、駆除任務を完了する」

 しばし空を見上げたサイカが水兵服姿に戻り、渋々頷いた翔星(しょうせい)は絞り出すように音声を記録した。

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