第16話 初めての操船・初めてのショートジャンプ
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初めての操船。宇宙の移動になれるために、操船しているが……ゲームのようだとしか言いようがない。車みたいに自分の目で直接外を確認しながら運転しているのではなく、ディスプレイの映像を見ながらの操船なので、ゲーム感が抜けない。
すでにオンラインゲームの中だということではなく、オフラインでフライングシューティングゲームをしているような感覚だ。俺が一番操船しやすかったゲームのコントローラーで操船しているので、特にそう感じるのだろう。
レーダーを強化していなかったら、気付けない距離の障害物も確認できるので、コース選びがしやすくて助かる。一応ナビのような物もあり、最適コースを逐一表示してくれる。
間違ったコースを進んでも、すぐに修正してくれるので、自分の思うように移動してみてくださいと、セバスに言われているので、自由に船を動かしている。
慣性が働いていないのか、少しきつめの軌道を移動してみても、体に全く負担がない。かなり速い速度で移動しているはずだけど、全く無関係! みたいな感じで移動ができる。
「セバス、きつい軌道を移動しても体に負担がないのは、なんでだ?」
機械的な話で細かい内容までは分からなかったが、重力制御システムの応用で、慣性を相殺しているらしい。重力制御で相殺できる理由がわからんが、そういうものなんだとさ。
クラス2とはいえ、武装商船なので戦闘機動を取ることを前提に作られているので、そこら辺のシステムは万全の状態らしい。
試作機ということで、かなり無茶なつくりであるため、補助的な機能もかなり強化して作られているようだ。
おっと、警報が鳴った……なんだこれ?
警報が鳴ったので、減速して止まる。
「どうやら、このままのコースでいくと、袋小路のような所へたどり着いてしまいますね。シールドで防ぎながらでも進めますが、かなり負担がかかります。シールドセルを無駄に消費してしまいますので、迂回路を通ってください」
シールドセルとは、船のシールドを張るためのコアと言えばいいのだろうか、例えるなら、ヒューズのようなものだろうか。一定以上の負荷がかかると壊れ、交換する必要がある物だ。
シールドセルは交換した後、チャージする時間が必要になるので、ある程度ど安全な場所で交換することが推奨されている。戦闘中はそうもいっていられないので、回避しながらのチャージになるだろうってさ。
まぁ最後まで使い切るのではなく、半分ほどで交換することも視野に入れながら、戦う必要があるらしい。余裕がある時に交換しろってことだよな。
このシールドセルは、クラスの二乗分が数の基本となるようだ。心配な人は、予備で小型は2~3個、中型は4~6個、大型は10~12個ほど積むらしい。
これ以上積むこともできるが、全部を消費するような戦闘をする人間は、戦闘艦乗りには向いていないと評価されるみたいだな。
シールドセルはある程度高価な部品なので、そこまでたくさん使っていたら、割に合わなくなるという事情もある。
ちなみに、クラス1~2は1個で全体を包めるが、クラス3以上は複数のシールドセルを直列にセットして起動する必要があるらしい。
電池の出力みたいに、縦につなげるとシールドの範囲が広がるようだな。交換する際は、一度に全部を交換する必要があるので、大型船の戦闘はかなりのお金がかかるようだ。
セルだけで済めばまだいいほうで、大破などした場合は最悪死ぬし、死ななくても大出費になるのは間違いない。
武装のクラスより上だと、相手の船を壊しにくくなるのは、このシールドの所為だったりするみたいだ。
シールドを中和するミサイルとかもあるそうだが、ありえないくらい高価なミサイルなので、売られている場所も使う人も限定的だそうだ。
明言はされていないが、軍には敵の大型艦を沈めるために、専用の戦闘機があるとセバスが教えてくれた。確かに大型が確実にいる戦場なら、高価でも有用な装備なのは間違いない。
大型を沈められることを思えば、専用機とミサイルが10ほど消費して倒せるのであれば、ダメージトレードは圧倒的にプラスになるし、お金の節約にもなるとのこと。
いやー、面白いな。ここら辺は小惑星帯なので、いろんな軌道とコースが取れて面白いぞ。ぶつかりそうな場合はアラートが出て、制御を一時的に奪われるが、それを含めてマニュアルだからな。
完全マニュアルなら、アラートは出るが制御は自分のままなので、本当にギリギリのコースを飛ぶことも可能だ。それでぶつけて落ちれば、タダのアホとして大々的に曝されるらしいけどね。
マニュアルの場合は移動だけなら、加速・減速・左右旋回・上下旋回・左右水平移動・上下水平移動の10個のボタンだけで済む。正確に言えば、左手のスティックと矢印キーで8個、Lボタン、Rボタンの10個だな。
スティックが旋回、矢印キーが水平移動、Lボタンが加速、Rボタンが減速……というより、後退が正確だな。
一通り操船を楽しんだ後、この世界で初めてのショートジャンプだ。
入る位置は適当でも問題ないが、出る位置はしっかりと確認しておく必要がある。ギルドから提供されたマップに、ショートジャンプアウトができる場所がいくつもマークされているので、その地点へ向けてジャンプ。
ジャンプ自体はほとんど一瞬だった。
少し不思議な色彩の模様が見えたと思ったら、次の場所へ移動していた。
ここら辺には障害物がほとんどないんだな。ジャンプアウトのエリアとして、きれいにされているんだろう。もし先客がいても問題ないように、かなり広い空間が作られている。
「ご主人様、早々ないと思いますが、後続に船が来ないとも限りませんので、すぐに移動するのがマナーですよ」
メイが早く移動するように促してきた。
距離的に大きく移動するわけではないので、膨大なエネルギーを消費させるわけではないが、それでも少なくないエネルギーを消費して、近くに出現することになるので、早めに移動するのがマナーとなっているそうだ。
少し移動したら、次はゲートの近くへ飛びますかね。射程範囲に入ったので、近くまで飛ぶことが出来るようだ。この船ではギリギリ2回で届く距離ではなかったが、軍事施設からのマニュアル移動で距離を稼いでいたので、何とか届くみたいだ。
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