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第15話 上手く乗せられている気がする

アクセスありがとうございます。

「補給物資担当なのに、何で商売の話になるんだ? とか思ってるんでしょ。私だって、こんな話は本来したくないのよ。私の補給計画は、それなりに完璧なのよ。でもね、何も考えないアホが、私の計画以外に買い付けるのよ。ほんと迷惑するわよ」


「おいおい、一応あんたの上司なんだから、アホはダメだめだろ。いくら追加で安く引き取った物が、ここでは不良在庫になるって知らなかったんだからな」


 マーレン中尉、あんたも明確じゃないけど、間接的に批判してるぞ。


「相場の10分の1とはいえ、特殊倉庫を使う必要のある物資を購入するとか、頭に蛆沸いてるわよ。移動させられないのだから、不良在庫になるしかないのに」


 話の内容が読めてきた。特殊倉庫は特殊船倉の倉庫版だろう。それでも普通の物なら倉庫に置いておけばいいけど、特殊な物資だから動かすに動かせないから、困っているんだろうな。


 とはいえ、不良在庫と呼ばれるような物を引き取るつもりはないのだが?


「心配しなくてもいいわよ。その物資は、コロニーや宇宙ステーションのような、密閉空間での使用を禁止しているだけで、首都星のような所であれば、禁止されてるものではないから。軍事基地で使用できないことくらい分かるでしょうに! 兵士の慰労用とか騙されやがって!」


 とにかく、上司にキレまくってるな。


「話を戻すわ。さっき話した、嗜好品の話聞いてたわよね? 兵士の慰労用にと騙されて買ったのが、タバコなのよ。普通のタバコじゃなくて、葉巻の方よ。普通のなら適当でも良かったんだけど、葉巻だと特殊倉庫に入れておかないと、すぐに悪くなってしまうのよ」


 嗜好品の話をしたのは、そのためか。この女性、よく考えているな。となると、問題となるのは値段なんだが?


「葉巻の値段は、買い取った時の値段で引き取ってもらえたら助かるわ。私たちは、利益を出すわけにはいかないからね。保管にお金はかかっているけど、それは上司が払っているからいいけど、とにかく引き取ってもらいたいわけよ」


 なるほどね。


「葉巻って高級品ですよね? 特殊倉庫に入れるくらいですから、お高いんですよね?」


「それなのですが、大体このくらいとなります」


 うん、数字を見せられたけど、分からん。でも、100万クレジットしか持っていないのだが、それ以上を提示されても困るのだが……


 セバスが確認すると、安いようで驚いた表情を作っている。本当に10分の1くらいの値段なんだろうな。でも、無い袖は振れないので、これは買い取れませんな。


 って、ちょっと待てい!


 俺が断ろうとする前に、セバスが購入する旨を相手に伝えていた。


「待て待て待て、セバス。お金ないのに借金でもするつもりか?」


「……? 何言っているのですか? この依頼を終えたのですから、当然報酬が入ってますよ。その報酬ギリギリで購入できるので、買わない選択肢はありません」


 おや? 報酬って、どのタイミングでもらえるか分からなかったけど、ゲームってことを考えると、報告して貰えるものだと思ってたわ。だから、近くのギルドへ報告する必要があると考えてた俺は、ちょっとぬけてるのかもな。


 少なくとも、セバスが問題ないというのなら、本当に問題はないのだろう。初期の手持ち金が減らないのなら、しばらく生活は可能だしな。


 10分の1で買えたのなら、元の値段で売るだけで大金を手にできるんじゃないか? 本当に、これはありなのだろうか?


 売買契約をセバスがしている間にそんなことを考えていると、メイが隣に来て、


「今のご主人様からすれば大金かもしれませんが、船乗りからするとそこまででもありませんから、気にせずとも問題ないですよ」


 俺の心境を察してか、気にする必要は無いと教えてくれた。


 それもそうか。俺の船は、クラス1程度のカーゴ容量しかないから、ここで稼いでも全体的に見れば、大した金額じゃないってことだな。


 少し安心して、今回の葉巻は引き取らせてもらおう。


 空荷で帰る必要が無くなったのが嬉しい。


 契約が終わると、葉巻が運ばれてきた……え? 量多すぎねえか? 本当に今回の収入で本当に全部買えたのか?


 運び込まれた葉巻は高級品のはずなのに、俺の船の船倉を9割方埋め尽くした。


 これが果たしていくらで売れるのだろうか? 正直な所、今回の報酬が手持ちより多い事に驚いている。ただ軍船で運ばれてただけで、相当な金額をもらったことになる。


 大型船とかであれば、100万などすぐに溶けてしまう金額だろうが、小型船の俺の船からすれば、100万でもかなりの金額なんだがな。


 荷物が積み終わると、軍事施設ということもあり、そろそろ出ていくように……という、おそらく整備班の人間がこっちをチラチラ見ている。


 分かりましたって、もう行きますから、そんなに見ないでください。


「今回はありがとうございました。葉巻もありがたく首都星で売りさばかせてもらいます」


「気にしないでくれたまえ。君が引き取ってくれなければ、保管にかかる費用を上司の給料から天引きし続ける必要があったからね。私が悪いわけでも私が天引きしているわけでもないのに、文句言われるのは私なのよね。本当に迷惑だわ」


 苦労しているんだな。お疲れ様です。


 マーレン中尉にも、移動中のお礼を伝えて、船に乗り込む。


「ミッションコントロール、こちら……船の名前ってなんだっけセバス」


「試作実験機X-354ですね。船名登録はまだ行っていません。依頼が急でしたので、戻ってから船の名前を決めましょう」


「っと、すいません。ミッションコントロール、こちら試作実験機X-354、出港許可を求む」


 移動中にセバスが教えてくれたように、MMCに連絡を入れて出港許可をもらう。


「こちらコントロール、X-354の出向を許可する。緊急の依頼受けてくださりありがとうございました。良い航海を(ボンボヤージュ)


 ボンボヤージュか、なんかカッコいいな。確かフランス語だっけ? 旅立つ人に向けて言う言葉だった気がする。


 ビーコンに沿って船が移動していき、管制域から抜けると操縦がこちらへ戻ってきたので、マニュアルで移動を開始する。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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