姉妹水入らず
万物は魔素の影響を受けるんじゃよ。
薬師のバァさんの口癖だ。話をしてるとすーぐ昔はあーだったこーだったと、思い出話を挟んでくる。
その話、前に聞いたからね?
魔素は神の加護とも、神そのものだとも言われておる。呪いや祝福も、まぁあながち間違いじゃないじゃろう。
薬師のヨランダバァさんはどう見ても年頃の若い娘にしか見えない。私と同じくらいか、私より背が低いから年下ぐらいだろうか。
故にの?何か普通とは異なる異変が起きたらワシらはまず魔素の軌跡を辿るんじゃ。
500年生きたエルフって言っても、イマイチピンとこないんだよなぁ。
緋色の猿王を討伐し、王都に戻って数日が経った。現在の私はニーテの背中を流しながら
ニーテを犯す妄想をしていた。
え?何を言ってるかわからない?ふふ、きっとそれも魔素のせいだろう!
騎士になってからというもの、なかなかこういう機会も少ないからなーハフハフ。ん?よく考えたらタオルで背中を擦るのは効率が非常に悪いな?私の身体を使って隅々まで、丹念に舐れば、二人同時に洗えて一石二鳥なのでは?
と、アマチュアなら考えるだろう。
だが私はプロ。・・・・そう、ニーテのおねぇちゃんのプロなのだ!良いおねぇちゃんというものは、妹のことをまず第一に考えなければならない!そ、
「お姉ちゃん?」
はっっっっっ・・・・・・・
身体を捻りこちらの様子を伺うニーテ。かわよ・・・・
ではない!
「や、すまない、つい仕事のことを考えていた」
破顔した表情を咄嗟に手で覆い隠し、必死に誤魔化す。
「もう、お姉ちゃんったら、お風呂の時ぐらいお仕事のことは忘れてよー。」
頬を膨らますニーテ
「至言よな・・・」
「え?」
「はやっニーテが正しいということだ。すまない」
慌てて誤魔化す。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「ニーテは、・・・・最近どうしてる?」
「どうってー?」
「いや、勉強、とか?」
「まぁまぁ、かな?」
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ヨランダは・・・元気か?」
「えー?」
「いや、最近ヨランダのとこによく行ってるそうじゃないか。父上が言ってたぞ」
「んー」
「ヨランダのところでは何を?」
「お手伝いー」
「それだけ?」
「魔法を、教えてもらいに」
「・・・・・ニーテ・・・・・・
・・・・・ニーテ、大きな力にはそれ相応の責任が伴うんだぞ?」
「・・・・・・・ヨランダもそう言ってたー」
「なんか、危ないこと、考えているのではないか?」
・・・・・
・・・・・・・・・
「お姉ちゃんの・・・・・」
「ん?」
「お姉ちゃんの役に立ちたいなって・・・・」
「・・・・騎士の仕事は危ないんだぞ?」
「・・・わかってる・・・・・・でも、・・・でもお姉ちゃんは・・・」
「私はほら、頑丈だから・・・それこそ・・・御伽話の勇者みたいに?」
「・・・・・私、あのおはなし、あまり好きじゃない・・・」
「んー」
「ケガをしなくても・・・・痛いものは痛いに決まってる・・・」
「・・・・痛みに耐えてるだけじゃ・・・待ってるだけじゃ・・・何も変わらないもん」
「そうだな」
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
一応ヨランダにも話を聞いておくか。