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文鳥はかわいい

「それだけではないぞ。ついには変装したまま一般の貧相な民間人をターゲットにして、少額の金で手を出していたな?」

「そんなことは……」

「嘘をつくでない。囮として向かわせた者を見てもまだごまかすか!?」


 そう言って、ニルが手を叩いて合図すると、私より少しだけ年上くらいの女性が出てきた。

 すると、公爵は滝のような汗を流しながら顔を真っ青にしていた。


「彼女は私の部下だ」

「公爵様から、少額の金品と引き換えに夜遅くまで自由にさせてほしいと口説かれまして。当然断りましたが、かなりしつこかったため逃げざるを得ないような状況でした」

「ちょ! お父様!! それは本当なんですか!?」


 さっきまで放心状態だったシャインまでもが立ち上がり声をかけてしまう。

 それほど事態は深刻なのだ。


「公爵殿……、今まで誰よりも尊敬していたのに……」

「とんでもない卑劣な男だったなんて……。最低ですわ……」

「見損ないました……」

「この親あって子供の下手なダンス……納得しましたよ」

「ルリナさんのダンスは素晴らしかったのに……」


 公爵とシャインは、その場から逃げるように会場を出てしまい、社交界から姿を消してしまった。

 もう、彼らの居場所はないだろう……。


「すまぬな。ルリナには秘密であの者たちの調査をしていたのだよ」

「そうでしたか……」

「ルリナは素晴らしいと思っている。だからこそ今まで公表はせずに、キミ自身が自力で信頼を勝ち取って欲しいと思っていた。まさかここまでダンスが素晴らしいとは予想以上だったがな……」

「いえ、ダンスはツバキが四六時中教えてくれたおかげです。ところで、この冷め切ってしまった空気では社交界が……。もう一度踊ってもらえたりできますか?」

「むろん、むしろここからが本当の社交界だ。私と踊ってくれますかなルリナよ」

「はいっ!」


 社交界は夜遅くまで続いた。

 今まで生きてきて一番幸せだと思えるイベントだった。


 社交界が終わったころには、誰も私に対して嫌味な言葉を言ってくるような人はいなかった。

 これからは、ここにいる全員と良い関係になれそうな気がしてきた。


 私の幸せな人生はこれからである。


 ♢


【おまけ】


 社交会のあと、ニルと一緒に彼の部屋へ戻った。

 ナツメちゃんが待っていたぞというような素振りで小屋から出たがっていた。

 ニルが小屋を開けると、すぐに私のほうへパタパタと飛んできた。


『ピッピピピピピーーーーー♪』

「いい加減に私の肩にも乗って欲しいのだが……」

「聖なる力でお願いしちゃいます?」

「いや、自力でナツメちゃんを口説くから遠慮する」

「強情ですねぇ……。ナツメちゃんも飼い主のニルにも懐いてあげて」

『ピッピピピピピピピー!』


 パタパタと飛んで、ニルの頭の上に乗っかった。

 私は聖なる力で願ったわけではない。

 自力でこうなったのだ。


 だが……。


 ――ぼとっ!


「私の頭はトイレではないぞ!」

「ふふふ……、タオルありますよ」

「あぁ……すまない。まったく……」


 文鳥は気まぐれだから仕方がない。

 だが、この気まぐれがとても可愛いのだ。

 ナツメちゃんはスッキリしたようで、再び私の手のひらに乗っかってきた。


 これからは二人と一羽の家族で暮らしていく。

読んでくださりありがとうございました。

今作は作者の趣味と文鳥様への溺愛っぷりをふんだんに取り入れてみました。


それなのに予想以上に読者様に読まれていたようで、感謝です。


下記の作品も投稿始めましたので、ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします。


『実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜』


今後もよろしくお願いいたします。

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