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【公爵Side(シャイン視点2)】

「鳥を殴る者についてはどう思う?」


 これはもしかして、お父様のことを言っているのではないだろうか。

 よく考えてみれば、お茶会にルリナがいたのもおかしい。

 ルリナがニルワーム様に告げ口をしてしまった可能性は考えられる。

 私はどう答えて良いのかわからず、しばらく黙ってしまった。


「なるほど、答えに悩むということは、シャインは鳥が好きではないのだな」

「そんなことは……。私はなにもしていません」

「私は? つまり、誰か心当たりがいるのか?」


 しまったー!

 これでは白状したようなものだ。

 なんとか誤魔化さなくては。

 もはや婚約どころの話ではない。


「ルリナが……」

「なに?」

「公爵家でルリナが勘当されそうになったときです。ルリナは、部屋に入ってきた鳥を本で追い払おうとしていて……それが偶然当たってしまって……」

「そうか……良くわかった」


 どうやら私の誤魔化しはうまくいったようだ。


「シャインの話は聞くに値しない。鳥を殴ったのはキミの父親だろう」

「どうしてそのことを……?」

「最後のチャンスだ。鳥を殴ったのは父。そうだろう?」


 ニルワーム様の目がマジになっていて怖い。

 どうしてたかが鳥一羽に対して、ここまでうるさいんだろう。


「そ……そうです……嘘ついてすみません。お父様に怒られたくなかったんです」

「怒られる? 命がかかっていたのだぞ。鳥の命をなんだと思っている?」


 私はどういうわけかメチャクチャ怒られている。

 そんなつもりで来たわけではない。

 せっかく高価なドレスやアクセサリーを身につけてきたのに。


「あの……。私との婚約についてですが……」

「は?」

「招待状を送ってくださったでしょう。私はこの日のために、お洒落をしたんですよ。どうですか?」

「話を逸らすつもりか。だが生憎だが、私は婚約のために招待状を送ったわけではない」

「え?」

「目的は成長したルリナを見てもらいたかったからだ。だが、シャインはルリナと接触したもののすぐにこちらへ来てしまった。ガッカリだ」

「そんな……。それではお父様に怒られてしまいます。どうか、私と今からでも婚約してください」

「婚約だと? ルリナをゴミのように扱っていたような者とするわけがない。それに、たとえそのようなことがなかったとしても、生き物を雑に扱ったり嘘をつくような者とは絶対に婚約などせぬ!」

「そんな……」


 ニルワーム様に婚約を申し出るどころかフラれてしまった。

 こんなことがお父様にバレてしまったらせっかくのドレスも返品されてしまうかもしれない。

 いや、事態はそれどころではないのかもしれない。


 もしかして、公爵家が存続危機なのかもしれないと、薄々そんな予感がしてしまったのだ。

 けれど、どうしてニルワーム様はルリナなんかを庇おうとするのだろうか。

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