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ルリナは友達ができた

「本物ですよ……ね?」

「お久しぶりですシャイン。お元気にされていましたか?」

「え……、えぇ。どうしてお……オネエサマがここにいるのですか? 王宮になど入れる身分ではないでしょう」


 シャインはそう言いながら私の着ているドレスをジロジロと眺めているようだ。

 すると、どういうわけかとても悔しそうな顔を浮かべていた。


「もしかしてルリナ様の妹様ですか?」


 マーレットがシャインに興味津々な態度で聞いている。

 シャインは一瞬だけ嫌そうな表情を浮かべたが、すぐにニコリと微笑んだ。


「お初にお目にかかれます。公爵の長女、シャインと申します。そこにいるルリナさんはすでに縁を切っていますから、なにも関係ありませんよ」

「お初にお目にかかります。ディラップ伯爵が娘、マーレット=ディラップと申します。よろしくお願いいたします」


 マーレットは、先ほどのように挨拶をしている。

 だがなんなくだが、私に挨拶をしてくれたときよりも浮かないような顔をしている気がした。

 それに今だからわかることなんだけど……、シャインの挨拶が微妙にできていない。

 私がツバキから注意されていた言葉の使いかたをそのまま使っているのだ。

 お父様はシャインのことを溺愛しているからしっかりとした教育はしていたんだろうなと思っていたけれど……。


「おっと、私はこんなところで道草している場合ではなかったのです。お先に失礼しますねー!」


 そう言って、シャインは王宮の建物へ向かってしまった。

 他の令嬢たちに挨拶すらせずに……。

 一応、シャインは私の元義妹という立場なため、私は必死に謝った。


「ルリナ様が謝ることではありませんよ」

「公爵令嬢である以上、私のような下級貴族を相手にする暇などないのでしょう……」

「その反面、ルリナ様は私たちにも優しく接してくださり大変嬉しいです」


 嬉しいのは私のほうだ。

 初めはお茶会をこわがっていたけれど、こんなに楽しくおしゃべりができる空間だなんて知らなかった。

 私は機会を提供してくれたマーレットと、ほぼ初対面でも仲良くしてくれる彼女たちに感謝しかない。


「またこうやって楽しくお喋りできたらいいなぁと……」

「ルリナ様が主催するお茶会ならば是が非でも参加したいですわ」

「私もです!」

「わたしも!」

「許可がもらえたら、お茶会を主催するので招待しますね」


 あくまで私は王宮で居候させていただいている身分だ。

 開催することは難しいかもしれない。

 だが、いずれ私がここから出て自立したら、彼女たちを絶対呼びたい。


 このお茶会に参加するように促してくれたニルとツバキにも感謝しなきゃ。

 楽しかったお茶会ももうすぐ終わろうとしていたとき、帰り際にマーレットが私に対して妙なことを聞いてきた。


「ところで、ルリナ様は聖女としてはご活躍されないのですか?」

「はい?」


 前にせいなるちからがどうのこうのと言われて、祈ってみたりしたことがあったっけ。

 私はその聖女というものをよく知らないのだ。

 マーレットがこのように聞いてくるということは、彼女は聖女のことをなにか知っているのかもしれない。


「実は、せいなるちからのことってよくわからなくて……」

「もったいなさすぎですよ。その力を使いこなせれば再び王族として……」


 これで公爵令嬢に戻れるという期待された発言が二度目か……。

 すでに他の令嬢たちはいないし、マーレットには本当のことを言ってもいいのかもしれない。

 

 私は勇気を出して打ち明けてみた。

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