9034K列車 下準備
あさひサイド
お風呂に入ってから、テル君をゆっくりと朝食を摂る。こういう所で摂る朝食って言うのは本当に美味しい。普段自分で作っているご飯の為に何かフィードバックできるものが有るのなら見習いたいくらいだ。
あさひ「美味しい。」
輝「・・・少し多いかなぁ。」
あさひ「食べきれないからって私に押しつけてくるのは辞めてよ。」
子供達の好き嫌いまでお腹の中に押し込んでいる昨今、それは私の体に影を落とし始めている。テル君が多いというものを私が食べたら、結果は明らかだろう。
輝「アア、食べきれるけど時間がねぇ。」
気にしているのはそっちか・・・。
あさひ「こういう時くらいは食事に時間をかけようよ。普段は別に何も言わないから。」
ご飯を食べ終わってしばらく部屋でゆっくりしてから、私達は前回集合場所となっていたひがし大雪ガイドセンターへ歩いて行った。道に雪はないが、歩道には雪がある。凍って完全に固まっているようで歩幅を小さくしないと簡単に転んでしまいそうだ。
10分もしないうちにひがし大雪ガイドセンターに到着する。ロビーには赤い平たいものが10個くらい置かれている。
輝「これがスノーシューか・・・。」
???「おはようございます。」
その声にテル君と私の目線がそちらを向く。ここの職員さんが2人いた。でも、前にタウシュベツ橋梁に案内してくれた人とはどちらも違う人だ。
輝「おはようございます。予約してた輝ですけど。」
NPO職員1「輝様ですか。早い到着ですね。」
まぁ、8時30分少し過ぎたくらいだしねぇ。
輝「ええ。近くに泊まってたもので。」
そう言いながら、テル君は財布を出す。一方の職員さんは「それならなおさら、もう少し遅く来てもよかったのでは・・・。」そんな表情が一瞬見て取れた。
NPO職員1「成る程。先に本日の参加費用をお支払いいただきたいのですが。輝様2名様で10000円になります。」
財布から10000円札が出され、職員さんはそれを受け取ると前と同じように一度バックヤードに戻った。次に出てくる時には領収書が握られていることだろう。
NPO職員2「今日は10人の参加を見込んでいます。帯広からのバスが8時45分頃に到着するので、その時までゆっくりお待ちください。そちらに置いてあるスノーシューの付け方は全員集合されてから実演しますので。」
成る程。付け方もちゃんと見せてくれるのか。こういうのを付ける事って言うのはまず無いことだから、分からない人でも大丈夫なようにしているのか。個人で行くとなったら最初から付け方を熟知しておく必要があるからなぁ・・・。
集合時間が近づいてくると続々と人が集まってきた。全員集まったのか、さっきの職員さん2人が出てきて挨拶をした。それからすぐにスノーシューの付け方を実演してくれた。スノーシューでの歩き方やバックの仕方。横断時に使うスティックの取り扱いと使用するスティックの色を覚えること。他にもスマホは極力外に出す時間を短くすること。モノを無くすとゴールデンウィークになるまで出てこないこと。注意事項も伝えられた。それが終わるとトイレ休憩や出発の準備をする時間が当てられた。この先3時間くらいトイレも出来ない状況になるしねぇ・・・。
NPO職員1「では、出発の準備が出来ましたのでお車の方へお進みください。」
と号令がかかった。