9029K列車 戻るのが任務
あさひサイド
紅「鈴、蘭、神威。お姉ちゃんよ。」
3人にハグして、頭をなでる。この人はお母さんの新しい旦那さん、弘前さんの娘だ。
輝「ごめんなさい。お義母さん。子供達の面倒見て貰うばかりか1週間も預かってくれるなんて・・・。」
そう言いながら、テル君は頭を下げた。私も続いて頭を下げる。
七海「はい、はい。そのことは私から旦那に言って置くから。その代わりだけど、お土産期待してるからね。」
紅「真太お兄さんもあさひお姉さんも気にせず遊んできてください。ちゃんと面倒見ますから。」
???「いや、ちゃんと高校行けよ。お前。」
紅「賢兄、私もう高校には卒業式くらいしか行かなくても良いんだけど・・・。」
賢兄「・・・。」
輝「賢治君もゴメンね。しばらくうるさいと思うけど・・・。」
賢治「別に・・・。」
賢治君の目が紅ちゃんに流れる。それで私は今回預かってくれるとなった理由が紅ちゃんにあるんだと知った。これは紅ちゃんには色んな埋め合わせをしてあげないといけないね・・・。
紅「でも、お兄さん達の旅行って明日からですよね。何で今日に。」
賢治「明日早く出るって言ってただろ・・・。聞いてなかったのか。」
バカにしたような目で紅ちゃんを見る賢治君。それにプクと頬を膨らませ「聞いてました。」と反論する紅ちゃん。仲のよさを微笑ましく思うが、
鈴「ママ、どっか行っちゃうの。」
蘭「パパもどっか行くの。」
神威「アア・・・。」
寂しそうな子供達の視線は痛い・・・。
あさひ「大丈夫。ちゃんと帰ってくるから。少しの間、パパを借りてくだけだから。その間寂しいかもしれないけど、ジイジもバアバもお兄ちゃんもお姉ちゃんもいるから。いい子に出来る。」
そう聞くと、
鈴「うん、いい子にしてる。いい子にしてたら、早く帰ってくるんでしょ。」。
蘭「・・・分かった・・・。」
あさひ「よし。約束。」
私、鈴、蘭の小指と神威の手が合わせられる。この子達の為にちゃんと戻ってこないとね。
輝「・・・良い。」
あさひ「うん。」
輝「本当色々ご迷惑おかけします。」
七海「そう言うのはいいから。とにかく、無事に行って帰ってくること。それが私との約束ね。」
輝「はい。」
あさひ「じゃあ、行ってきますね。」
紅「行ってらっしゃい。」
賢治「・・・。」
輝「・・・無事に帰ってこないと何言われるか分かんないな・・・。」
テル君のつぶやきが私に耳にだけ届いた。