9028K列車 ご褒美
あさひサイド
輝「あ・・・。そこ・・・。」
あさひ「お客さん随分こってますねぇ・・・。ここですか。」
輝「うん。そこ、そこ。」
しばらく旦那の肩をもむ。このくらいはいつも手伝ってくれることへの感謝だ。
輝「今日は皆と楽しめた。」
あさひ「うん。十分ね。ゴメンね、子供の面倒丸投げしちゃって。」
輝「良いって、良いって。僕よりも負担大きいんだから。」
ホント良い旦那である。我ながら、よくこんないい人を捕まえたものだ。
輝「今日はどんな話してたの。」
あさひ「えっ・・・。あ、えっとねぇ・・・。」
思い出そうとしたが、全然思い出せない。アレ、何の話をしてたんだっけ・・・。子供の話をしたのは覚えているが、あまり深い話はしてないような・・・。
輝「もう認知症始まってるんですかあ。」
あさひ「始まってない。・・・ちょっと別のこと考えてたのよ。」
というと、テル君は「どんなこと」と言いながら不敵な笑みを浮かべる。「エロいことばっかり考えてる頭だもんねぇ。」と続けた。「いつもじゃないし。」と反論したいところではあるが、その気が有る為否定できなかった・・・。
あさひ「最近旅行行ってないなぁって事よ。」
その言葉にテル君は「ああ、言われてみればねぇ。」と言った。
輝「でも、それは仕方ないことじゃないかなぁ・・・。子供達がいるとさ。」
そういいテル君の目が左に流れる。視線の先にある部屋には私達の子供が寝息を立てている。
あさひ「だよね。特に神威はねぇ。鈴と蘭も最近落ち着いてきたばかりだし。」
神威は一番下の男の子。まだ1歳にもなってない。鈴と蘭は3歳になったばかりだ。少し落ち着いたとは言え、まだ行動力が大きいのは否めない。
輝「行くってなったら連れてくか、誰かに面倒見て貰うしかないかぁ・・・。行き先は何処考えてる。」
あさひ「糠平。またあの橋見てみたい・・・。」
輝「となると誰かに面倒見て貰うしかないか・・・。今タウシュベツに行くには10度くらいの湖の上歩いて行かないといけないからねぇ・・・。」
あさひ「成る程ねぇ・・・。湖の上って歩けるの。」
輝「氷は20cmくらいの厚さがあるみたいだし、普通に乗れるらしいよ。」
あさひ「へぇ・・・。」
あの水全部凍るんだ。昔見た景色を思い出しながら、全面氷になった景色を想像した。そこを歩いて行く必要があるとなると子供はつれていけないか。
輝「・・・さて、問題は誰が子供の面倒を見るかか・・・。お義母さん頼れるかなぁ。」
あさひ「ああ・・・。弘前さんの事情もあるしねぇ・・・。ダメ元に頼んでみる。」
テル君を見ると自分のスマホを私に向けて、
輝「見てみて。ANA771便に-9が入るみたい。」
あさひ「・・・。」
テル君は私が一番好きな笑顔を向けた。いつの間にか飛行機でもそんな顔するようになったのか・・・。