9027K列車 プロローグ
あさひサイド
皆「カンパーイ。」
カランとジョッキが音を出す。それから口に付け、ウーロン茶を体に流し込んだ。
由佐「プハァ・・・。美味い。やっぱりビールは美味しいねぇ。」
智萌「おっさんか・・・。でも、こういうのも久しぶりだよねぇ。特にあさひが子供持ってからは。」
と言われた。
由佐「ああ、そうねぇ。あさひって今子供何人だっけ。」
あさひ「3人よ。」
智萌「3人かぁ。いつも大変でしょ。私も亜美ちゃん見てるからねぇ。」
由佐「良くそんなに子供持とうと思ったわねぇ。私には無理だわ・・・。まだしばらく一人が良いかなぁ。男と付き合うのも面倒くさいし。」
智萌「後で寂しくなって誰でもいいで、光の息子寄こせとか辞めてよ。」
由佐「私はショタコンじゃない。」
そんな軽口を叩いていると、食べ物が運ばれてくる。それを自分のペースでつまみつつ、話が弾む。
智萌「そういえば、最近は旦那さんとどこかでかけたりしてるの。」
と聞かれた。
あさひ「・・・考えてみれば、子供が出来てからは全然行けてないなぁ。」
由佐「ほんの数年前にはイギリスにも行ってきたんでしょ。良いなぁ。」
あさひ「別に、そんな良いことじゃないよ。」
私は「電車乗ってるだけ、観光なんてほとんど出来ない、それずっと我慢してロンドンに着いたと思ったらすぐ帰る。そんな旅行だったわよ。由佐に我慢できる。」とたたみかけた。「はっ、無理だわ。」とすぐに答えが返ってきた。
そうだなぁ・・・。最近は子育てに負われている。しかもそれが3人分だ。仕事もしながらとなるととても大変だ。いくらテル君が手伝ってくれるとは言え、テル君の勤務は不規則だ。その中から時間を割いて手伝ってくれている。ちょっとした息抜きがあっても罰は当たらないよね・・・。
あさひ「行く場所って言ったら何処が良いかなぁ・・・。」
由佐「おーい。戻ってこい。」
智萌「ああ、これは旦那のことしか考えられない惚気顔ですわ。
オーダーストップを告げに来た店員さんが私を現実に引き戻した。
由佐や智萌と別れて、家路に就く。その間もずっと何処に行こうか考えていた。その時ふとあの言葉が湧いてきた。
輝(でしょ。そうなったら糠平温泉に泊まろうよ。そうすれば長いことゆっくり出来るから。)
あさひ(糠平温泉・・・。)
私の中ではほぼ行き先が決まった。