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7.この話は内密にお願いします(テオドール)

国王のの執務室


「「「………」」」

人払いをしてもらい国王の父とクローズ辺境伯爵の冷ややかな視線を感じている俺は、ゴクリと唾を飲み込んだ。


ゴホン

咳払いをした父は険しい顔で俺を見た。

「さぁ、理由を話して貰おうか……テオ」 

「はい。まずは、謝罪させてください。レイチェル嬢をひどく傷付けてしまい申し訳ありませんでした」

俺は、二人に深く頭を下げた。

「殿下…頭を上げてください。白紙に戻す理由があったのでしょう?あんなに熱烈な婚約の手紙を送って来たあなただ。娘を泣かせてしまった事は許せませんがね」

伯爵は、「はぁ……」とため息をつき、眉間に皺を寄せ困った顔をした。


「まずは、これを見てください」


俺は、懐から3通の手紙を出して机の上に並べた。


「ん?これは……?!」

「一週間程前から匿名の手紙が俺の所に届いていたんです。最初はただの悪戯だと思っていたんだ。でも、今朝届いた手紙には、こう書かれていた『 婚約したら令嬢の命はない 』と……」


「「!!!」」


父と伯爵は、3通の脅迫文に目を通して息を呑んだ。


「父上に至急話があると言ったのは、この件でした」

「あ、ああ…。あの時か」

父は気まずそうに肩を落とした。

「はい。でも時間がなかった。……レイチェル嬢の命を守る為には、婚約を白紙に戻すしかなかったんだ。手紙の犯人もまだ、分かっていない以上誰も信用できない」

「だから、人払いして三人しかここにいない訳ですね」

「そうです。通常王城に届く手紙は危険がないか1度司書官が確認するはずなんだ。匿名の手紙なんて怪しい手紙が俺の所に普通届くはずがない。たぶん、王城に出入りしている誰かが俺宛の他の手紙に紛れ込ませたとしか思えない。魔法を使った可能性もあるが……」


「ふむ……魔法は、調べれば足取りをつかめる」

「そうです。だから俺は、今誰も信用できない。大切なレイチェルの命を守る為なら何でもするつもりです」

「殿下……ありがとうございます」

伯爵は嬉しそうに頭を下げた。

「父上、少し影をお借りできないでしょうか?」

「ああ…そうだな、しばらくお前に影をつけよう。好きに使え」

「はい。ありがとうございます父上。まずは、今日の婚約式の日時は、関わった者にしか知らせていないはず。そこから、調査します。そして、手紙を送って来た犯人を必ず捕まえます。それと、この事はレイチェル嬢に知られないよう内密にお願いします」


「ああ、分かった。こちらでも少し探らせる、何か分かったら知らせる」

「私も娘が婚約者候補から外れてしまったとはいえ、危険がまだ完全になくなったとは言い切れない。娘には分からない様に護衛をつける事にします」

「父上、伯爵、ありがとうございます」


それからは、あらゆる可能性について3人で話し合い最後に意を決して頼み込んだ。


「あの、1つお願いがあります」 

「ん?なんだ?」「なんでしょう?」と、二人が俺を見る。

俺は、大きく深呼吸し口を開いた。


「手紙の犯人が捕まり、他の不安分子も排除できた暁には……もう一度、レイチェル嬢に婚約の申し出をさせて下さい!お願いします!」


俺は、深々と頭を下げた。

(ここで…だめだと断られたら…俺はどうしたらいいんだ)

しばらくの沈黙の後、


「「プッ!ハッハッハ……!」」  と、二人が笑いだした。


「何を言うかと思えば。クククッ、ダメだと言っても諦めないだろう?」

(え?笑われた…?)

「いやはや、笑ってしまって申し訳ない。うちの娘は、こんなに殿下に想っていただいて幸せ者だ。レイチェルが殿下を選ぶのであれば、私は構いませんよ」

二人は笑いながら顔を見合わせると、うんうんと頷いてくれた。

(はぁ…よかった…)

俺の肩の力が少しだけ抜けた気がした。


空が少し暗くなった頃やっと解散となった。


(俺は、好きな人を完璧に守れないまだまだ未熟者で諦めの悪い男だ。どこの誰かも分からない奴に邪魔されてレイチェルを失うなんて許せない。絶対に捕まえて罪を償ってもらう。そして、今度こそ約束を果たす)



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