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3.無知すぎた

祝福の儀式から帰った私は、帰りを待っていた家族と使用人達に儀式の途中て倒れた事を心配された。

特に母は、馬車から降りるとガバッっと痛いくらいに抱きしめて来て思わず「ぐぇっ!」っと言う声が出てしまった。

本当に勘弁してほしい…。

でも、最後におまじないだと言って額にキスをくれるのは好きなので素直に受ける事にした。

その日は誕生日パーティーを楽しみゆっくりと過ごした。



数日後


ピッ ピチチッ

窓辺にいた小鳥たちは、私の侍女マリーがカーテンをサーっと開けると飛んで行ってしまった。


「さぁ、お嬢様 朝ですよ。起きてくださーい!」

「んむぅー……んん、眩しい、あと5分だけ……」

前世の記憶が戻ったからと言って、すべて性格が変わってしまう事はない。

まだ、こどもだしねむいものはねむいのだ。

「また、そんな事を言ってー、ダメです!お医者様ももう心配ないと言ってたじゃないですか」

掛け布団をパっと剝がされ(仕方ない、起きるか……)としぶしぶベットの上で 「んー!」と、背伸びをした。

神殿で倒れた私は、一応お医者様に数日の安静を言い渡されていた。

顔を洗って身支度を整え朝食をすませた私は、自分の部屋のソファーに座り食後のお茶を飲みながら考えにふける。


そして結論、自分にはこの世界の知識が少ない事に気付く…だってまだ10歳だ。

文字の読み書きは習得済みだが貴族としての教養を少し習っているだけで後は遊び時間だった…。


(しまった。もう少し勉強しとくんだったー)


私は、額に手を当てため息をついた。じゃあ、今できる事は?


まず、思いついたのは、扉のスキルを試してみる事だった。


「扉、とびら…トビラ…ねぇ」 と、ブツブツとつぶやく。

扉と言えば「ひらけーごま!」とか?どこでもドア的な?ものしか浮かばない…

前世の知識が邪魔をしているのだろうか。

とにかく、何か試してみようと思った。

部屋の壁や扉に向かって呪文の様なものを適当に呟いて見る事にした。


「とびら でろ!」 「とびら 現れよ!」 ……うむ。 

「いでよ とびら!」 「ひらけー ごま?」 


   …  シーン  …

すると、目の前の扉から掃除用具を持ったマリーが入って来て「お嬢様?」と不思議そうに首を傾げた。


(ああ……なんかすごく恥ずかしくなって来た……いたたまれない)


「やっぱりダメね」

その後も、自分の部屋の扉を開け閉めしてみたり、家具の扉も試していたら、使用人に生暖かい目で見られてしまって、結局自分の部屋へととぼとぼ帰って来る始末。


「お嬢様 お茶でも飲んで一息つきませんか?おいしいお菓子もお持ちしましたよ」

落ち込んでる所へ、ナイスなタイミングでお茶とお菓子を持って来てくれる侍女素敵すぎる!


「マリーありがとう、ふふっ。私の侍女は、最高ね」

「お嬢様は、まだスキルを授かったばかりなのですから、できなくて当然です。私も使えるようになるまで、すごく時間がかかりましたよ。確か…使えたのは…12歳だった気がします。スキルによっては魔力も沢山使いますし、それに未知のスキルを授かったのですから、コツコツ頑張りましょ!私もお手伝いいたします」

(え?12歳?魔力がいる?今から2年後じゃない…。早くそれを教えてほしかったー)

「そうね!頑張るわ。ありがとう」

12歳でスキルを使える様になるとして、今からの二年間を無駄に過ごすわけにはいかない。

そう思った私は、今足りない知識を増やす為努力する事を決意したのだった。





自分の無知を埋めるために、とにかく邸の書庫の本を読み漁った。

結果この世界の事を少しと魔法についても知る事が出来た。

この世界の主な大陸は、3つ。

人間が住むアストラ大陸。亜人が住むノヴァ大陸。エルフたちが住むザイオン大陸。

私達が住んでるのは、アストラ大陸の南西に位置するオルティス王国の北西クローズ辺境領。

色々調べるうちに、亜人だとかエルフが本当に存在する世界で電気じゃなくて魔法が生活の基盤なんだと思い知らされた。


そして、11歳を迎えた今でも相変わらず扉のスキルを使える気配がないままだ。

父曰く、

「スキルも魔力を使用するから、レイチェルは魔力量が足りないのかもしれない」 

と言われたのだ。

(あー!そうか、それがあった!魔力量だ!前世のアニメやラノベにもあった様に魔力量を増やせばいいのでわ?)


私は、さっそく書庫で魔力量について調べる事にした。

ペラペラと本をめくる。

紙をめくる音だけが書庫に響く……


魔法は12歳になったら基礎を両親から習うらしい。

魔力量が多く優秀な者や将来家格を継ぐ貴族の者達は、16歳になると王立学園や魔法学園で2年間学び、卒業する頃には八割の人が婚約者が出来ていると言う出会いの場でもあるらしい。これは、マリーから聞いた貴族事情だが…案外色々知れて楽しい。

で、魔法の属性は、火・水・風・地・光・闇の6属性があり。その中で自分の得意とする属性を主に訓練し強化する。他の属性は訓練しても基本生活魔法程度にしか使えない。すこし風をおこすだとか、指からぽたぽた水が出るだとか、庶民は、魔力量も少なく生活魔法しか使えない者が多い。

10歳で女神様から授かるスキルは、補助スキルや技スキルで、 例えば剣術スキルは、努力次第で騎士や剣聖に。魔術スキルは、魔術の強化。鍛冶スキルは、研鑽を摘めば聖剣に近い武器を作ったと言う噂もあるらしい。これもマリーからの情報、うちの侍女情報は有能だ。


結局のところ『魔力量が大事』と言う事が分かったのだけど…魔法についての本は分厚く目次を指でなぞって探してもなかなか見つからなかった。

「魔力を増やす…魔力量…魔力量…。あっ!もしかして、これかな」


『 上級魔法を使うには、膨大な魔力が必要です。魔力量を上げるには血の滲む様な魔力操作の訓練をしなければならない 』

(え……血の滲む様な?)

『 魔力操作とは、身体の中の魔力を自由自在に操る力です。まず、お腹の中心に手を当て魔力を感じる事からはじめ、感じる事ができたら その魔力を動かしてみる。次に…………』

(と、とりあえずメモしよう……)


私は部屋に戻ると早速特訓をはじめる事にした。


(まずは、お腹に手を当てて魔力を感じるのね……)

私は、目を瞑ってお腹に手を当ててみる……しばらくすると、お腹がポカポカ温かく感じて来た。少し魔力を感じる事は出来たものの、その温かい魔力の様な物は動く事はなかった。

私は、その日から毎日特訓する事にした。


結果……魔力を完全に感じるのに3か月、魔力を動かすのに半年、身体中に魔力を流すのに3か月と言う時間をかけ、最近では、温かい魔力を自由自在に動かぜる様になっていた。

血は滲まなかったけれど、諦めなかった自分を褒めてやりたい。

無理をせず、毎日夜寝る前に行っていたのがよかったのかもしれない。


やってみて分かった事は、身体の中心に魔力を作って貯めておく器官の壷があって、そこから魔力操作で魔力を引き出すと、余裕のできた壷にまた魔力が作られる。身体中に魔力を巡らす事ができれば使える魔力も増えるのではないか?そんな気がした。

(これで、魔力操作習得?かな)

これからも魔力量が増える事を期待して、毎日続けることにしている。

「継続は力なり」と書いた紙を壁に貼り、私は今日も魔力操作の訓練をする。 

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