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ボルケイノシリーズ

ボルケイノの静かな朝 ~ドラゴンメイド喫茶年始特別編2021~

作者: 巫 夏希

今年も宜しくお願い致します。

 ドラゴンメイド喫茶『ボルケイノ』。

 異世界の狭間にあり、どのような料理だって提供出来るという喫茶店。

 そんな喫茶店の、とある一幕。


 ◇◇◇


 すまーとふぉん、なるものがあるらしい。

 何でもこのボードで電話も出来て言葉もやりとり出来て写真も送れて世界中と繋がれるらしい。

 良く分からないが、ケイタの世界では一般的なものであって――別に私が持つ必要はない。

 持たないといけなくなったのは、ケイタとの連絡を取るのに苦労したからだ。

 とはいえ、私はあちらの世界には住んでいないから……、そこで苦労したのだけれど、何とか今に至る。

 しかしながら、当然こちらの世界では使えないので、あちらの世界と繋げておかないとこの『すまーとふぉん』やらを使うことが出来ないのだ。

 向こうの時間では、ちょうど一月一日になった辺り。ケイタの世界では一月一日を元日といって祝うらしい。一年の始まりを祝うのはどの世界でも共通している、ってことなんだろうな。

 しかしながら、私は『すまーとふぉん』を使うことが出来ないので――一部の操作は教えてもらったが――今は適当にあちらの世界を調査しているといったところだ。

 慣れてしまえばどうということはない。今度ケイタに『めっせーじ』とやらを送ってみるか……などと考えていると、ぴこん、と音が鳴った。

 それは『めっせーじ』とやらが来たことを報せる合図だったようで、私の『すまーとふぉん』にもその『めっせーじ』が残っていた。

 それによると――『めっせーじ』には写真が一緒に送られていた。

 写真を見ると、そこにはケイタとサクラが一緒に映っていた。

『めっせーじ』には、こんなことが書かれていた。


「去年は色々大変でしたが、今年もよろしくお願いします。あと、美味しいお蕎麦をありがとう。家族が喜んでいました。早くメリューさんの料理を目の前で食べたいです。では」

「あいつ……、『めっせーじ』とやらだと丁寧だよな……」


 別に普段はぶっきらぼうという訳ではないのだが、それについては置いておく。

 そして、私はそれについて『めっせーじ』を返していく。



 今年の始まりはいつもと違って少し静かだけれど、忙しさは変わらない。

 ケイタとサクラが無事にまたここで働けるようにしていかないといけないのだ。

 そう思いながら、私は『めっせーじ』を打ち込もうとすると――。


「メリュー、何ニヤニヤしているのですか……。気持ち悪いですよ」


 ――ティアがそんなことを言いながら、私を窘めた。

 余計なことを言わなくても、なんて思ったけれど私は特に何も言うことなく、『めっせーじ』を送る作業に戻るのだった。

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