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みゆの記憶に間違えなければ今教室の隅っこで編み物をしている子は最初、キラキラ組の中にいたはず。

 いつの間にか群れから外れ別の群れに合流していた。

 新しい群れはどことなく真面目そうなメンバーで群れを構成していた。

 自らキラキラ組を離れたのか、追放されたのかは知らないが、女子たちの群れる習性は多分原始時代からの名残なのではないかと思っていた。

 動物が群れをつくりテリトリーを築き上げていくドキュメンタリーをいろいろ見ていると、いつも自分は群れを追われる獣に見えてしまう。

 一人ぼっちになって彷徨う動物。

 なぜそうやって意地悪をするの。

 仲間に加えてあげればいいのに…。

 やがて群れから離れた獣は狩りすらできずに飢えて死んでしまう。

 そんな姿を見るたびに自分もきっとそうやって一人ぼっちで死んでしまうのかもしれないと思っていた。

 群れをつくるのも人間の遺伝子に書き込まれた記憶だとすれば、そうやって仲間外れをつくるのも遺伝子。

 群れから抜けものになるまいと強いものを見分け、媚を売る。

 こうしていろんな動物が命を繋いできた。

 だとしたら人間が群れをつくり、より自分の優劣を自慢するのは本能なのだ。

 キラキラ組はクラスの中心で目立つことでその存在を示し、周りをけん制している。

 クラスの優位性など動物世界から比べれば大した意味を持たないものでしかないのだろう。

じゃあなぜいじめっ子はみゆを標的にし、みゆをいじめるのか?

結局それは人間が原始から繋いできた遺伝子の記憶。

いわゆる本能ではないのか。

誰かを仲間外れにすることで集団の意志を一つの方向へ導いていく。

そして優劣をつくることで秩序を保ちやすくする。

集団はそうやって安定を手に入れる。

なぜ集団が必要だったのか。

そうしないと外敵から自分を守れなかったからだろう。

それは肉食の獣からであり、別の人間たちの集団。

水が必要だからそこで争いが起きる。

食べ物が不足すれば争いの火種になる。

外敵の進行に備え集団を維持することがやがては村をつくり、街をつくり、都市をつくり、国をつくっていった。

いじめとは差別と同じものである。

人が人を差別する。

国が違えば習慣も変わり、それを見下せば差別につながる。

そんなちっぽけな習性が学校のクラスの中にも存在している。

何か人と違うということがいじめの原因になる。

結局人は遺伝子的に弱いことを自覚している生き物なのだ。

 クラスという狭い世界でみんなからはじかれない存在になるためには目立って自己主張をするか、逆に息を潜めて暮らすしかない。

結局いじめとはうまく付き合っていく以外方法がない。

 そういった意味ではみゆはキラキラ組と関係強化を強め、いじめられるというポジションから回避することができた。

 すべてひとみのおかげである。


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