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元皇子、復讐します!  作者: 雄松
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第3話 呪われた街

「おまえら、ここで何をしている。」

男は聴いた。


「ここは、無法地帯だ。ここじゃあどんなに人が麻薬に溺れようと、人を殺そうと、何も咎められない。お前らの目的は麻薬か?人殺しか?」


男は矢をこちらに向けて構えている。


「違う!俺らはただ旅をしているだけだ!旅の最中、街を探してここまで来たんだ!ここはおかしい!ムンク王国の国境を過ぎてから、会う人は皆ゴブリンのハーブを吸っている!」


ダンテは両手を上にあげながら、無抵抗の意思を示してみせた。

しかし、男はまだその手を緩めない。


「そりゃそうさ。ここは「悪魔の病」で国が滅んで以来、誰も住んでいなかったんだから。」


「どういうことだ?」


「「悪魔の病」は元々、かかれば100%死に至る、文字通り悪魔の病気だったのさ。今は研究者が開発した薬のお蔭で、「悪魔の病」の対症療法が進み、滅多に死ぬことはなくなったが。当時はまだそんなことが実現できていなかったから、この国はその病気で人工の4分の1を失った。そのことで、世界会議はヴァレンティノ王国国王をダリ王国に避難させ、世界各国がそれぞれ移民を受け入れることを宣言、生き残ったヴァレンティノ王国全ての国民が他の国に移住した。つまりここには誰も住んでいなかった。昔は。」


男は弓を持っていた手を緩めた。


「いつからか、正確な値は知らないが、この町の近くに突如ゴブリンのハーブの原料である植物が大量に生えてきた。ゴブリンのハーブの植物は通常、自然に生えてくることはまずない。人がそこにタネを蒔かなければ生えることはないはずなんだ。その植物は、瞬く間に裏社会で話題になり、人を集めた。多分ハーブの売人から聴いたんだろう。沢山の薬物依存がこの町に集まり、年中生えてくるゴブリンのハーブを貪り始めた。年中吸い放題で、捕まることもない。ここは薬中の天国。医者もいなければ、まともな人もいないのさ。」


ダンテは動揺した心を落ち着かせて、静かに話し始めた。


「俺たちは、今ムンク王国で流行している「悪魔の病」を完治させる方法を探している。この国にも調査をしに来たんだ。」


男は弓をしまい、名乗り始めた。


「俺はダリ王国で探偵をしているシュベルだ。この土地のゴブリンのハーブの調査を国王に任されて、ダリ王国とヴァレンティノ王国跡地を行き来しながら、この跡地全てを周り、調査したものだ。」


「よろしくな、シュベル、俺はダンテ、でこっちがサンタ。」


「おう、よろしく。ところで、さっきも言ったように、この国は一通り調べたのだが、ゴブリンのハーブの植物があるのはここだけだった。ここが最後に回った町だから、まだその植物を処分できてない。今から処分しに行くが、一緒に来るか。」


ダンテは倒れている薬物依存症の6人を見て

「この人たちは?」

と尋ねた。


「さっきも言ったが、この国には医師がいない、それにコイツらはおそらく関所で引っかかる。ほとんどの国は薬中を死刑にしているから、捕まって殺されるだけだ。ここでそっとしておくのがベストだろう。」


ダンテは、頷いて返事した。3人は宿を出て、植物が生えている場所へと向かっていった。


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3人はゴブリンのハーブの植物が生えている所に到着した。植物の枝が異様に伸びきって、つるが別の植物に絡まっていた。いくらハーブを使用しても失くならないのがよくわかる。


「お二人さん、今からこれを俺の魔法で燃やそうと思うんだが、おそらく燃やした瞬間に中毒性の物質を含んだ煙が大量発生すると思う。だから君達は遠く離れたところからマスクをしてみていてくれ。俺もちょっと離れたところでマスクをしながら魔法をかけたいと思う。かけたらお前らのところまで走って行くからその足でこの国を脱出しよう。この後ダリ王国によらないか。うちの国には世界有数の大学、ハールバーグ大学があるから、「悪魔の病」について何か手がかりをつかめるかもしれないぞ。」


シュベルがそう言うと、サンタの顔が笑顔になった。


「ハールバーグ大学ですか。いいですねえ。もう二十年前になるかな。自分、その大学を卒業したんですよ。久しぶりに恩師や同期に会いたいものですねえ。」


ダンテも、サンタがいいならと頷いた。


「んじゃあ二人ともあそこの崖を登って、上に着いたら手を振って合図してくれ。俺はあそこから魔法をかけるから。ちゃんとマスクをつけてから合図をしてくれ。」


二人はうなずくと、崖まで走っていった。


---数分後---


二人がマスクをして合図すると、シュベルは炎魔法をかけた。

「ファイヤーマグナム!!!」


彼の魔法で燃えた矢は空中で銃弾のようになり、植物が繁った中心を射抜き、その炎は一瞬で範囲を広げ、植物を焼き付くした。途端にシュベルは二人の方に走っていった。


「よし、逃げるぞ。目指すはダリ王国だ、いくぞ!」


3人はカラカラで何もない大地をただまっすぐに走っていった。




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