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声をかけてきたのは、僕と同じ歳ぐらいの青年だ。
でも見覚えが無い。
男にしては、キレイな顔をしている。
彼は1人で、僕の目の前にいた。
「もしかして1人? 俺、これから昼食べるんだけど、1人じゃ味気なくてさ。良かったら奢るから、一緒に行かない?」
辺りに素早く視線を回すも、確かに彼1人みたいだ。
「う~ん…」
でも危険そうな感じがする。
「あっ、警戒してる? 安心してよ。そこのファミレスなら、安全っしょ?」
そう言って彼は僕の上を指さした。
今まで背を預けていた店の2階には、確かにファミレスがある。
「それでもまだ警戒するなら、ホラ、身分証明」
そう言ってポケットから、学生証を取り出し、僕の目の前に差し出した。
某有名進学高校だ。顔写真と共に、名前も載っている。
「神代…遊間?」
「うん、遊間って呼んで」
学年は2年…。
僕と同じ歳か。
まさか学生証は偽造しないだろうし、お昼に1人が味気ないというのも分かる。
「…まっ、オゴリなら嬉しいけど」
「なら、決まりだね。行こうか」
そして僕は、彼と共に昼食を取ることになった。
…警戒することも忘れて。




