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もう1人の自分
夢の中で、僕はボクに出会う。
僕と同じ姿、声をしながら、もう1人のボクは正反対の性格をしていた。
―よぉ。
軽々しく声をかけてきても、僕は顔を背け、ムシをした。
―何だよ。つれねーな。昔はよくオレに泣きついてきてたのに。
―うるさいな。
あくまで顔は背けたまま、僕は小声で呟いた。
―何か困ったことがあるたび、オレを頼ってきてさ。可愛かったのに。
向こうを見ずとも分かる。
きっとわざとらしく、肩を竦めているんだろう。
―…だがな。
急に間近で声が聞こえて、思わず顔を上げてしまった。
間近にあった、ボクの顔。
ニヤッとイヤな顔で笑う。
―オレを避けてもムダだぜ? オレ達は『同じ』なんだからな。
―っ!? うるさいっ! 消えろ!
手を振り上げると、ボクの姿は闇に溶け込み、消えた。
―おっと、危ない危ない。
しかし声は相変わらず聞こえたままだ。
―気をつけろよ。お前に眼をつけているヤツは結構いるからな。
―お前だってそうだろう! 僕を不幸にしたクセに!
―それは心外だな。オレはお前を守る為に、動いただけなのに。
―黙れっ!
―はいはい。それじゃあ、兄貴。またな。




