白ヤギさんのフライングケーキ
ホットケーキには
何か掛かっていてほしいよね
遊びに来ていた
黒ヤギさんの言葉を聞いて
白ヤギさんは
こつぜんといなくなりました
かと思うとまた現れて
両手には大きなお皿がひとつ
そこには
ぷちホットケーキが山盛り
黒ヤギさんは
気を失いそうになりましたが
かろうじて踏み止まりました
それでも両手で顔を覆って
ひづめの間から
ちらり
つぶらな瞳を覗かせます
なんということでしょう
果物 バター はちみつ
もう十分そろっているのに
その上にジャムと生クリームが
てんこもり
黒ヤギさんは逃げたい気持ちにふたをして
白ヤギさんの肩をぽんとたたきます
そうして首を左右にふりふりふり
あれ?
白ヤギさんは頭を傾けて聞きます
食べたいって言ったんじゃなかったの?
ううん 言ってない
白ヤギさん
無表情でお皿をテーブルに置くと
両手で自分の顔を挟んで
無言でムンクのさけび
わーまさかの
ごめーん
そしたら
冷凍しておくね
自分で少しずつ食べるんだ
なんとも言えない表情の黒ヤギさん
白ヤギさんはそれを見て困った風に笑い
言った
こういう時
ぅがー!ってならないところがねーー