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第2話 レイス学校に行く

2019/08/07執筆



レイスはあれからボロスのところで暮らし、少しずつ魔族の人達とも仲良くなった。


最初は自分の野望との葛藤があったものの今では絆のようなものまで芽生えていた。


「もうタイマンだと負けるっすねー」


「まだまだパワーは勝てないけどね」


「トールさんはパワーだけが取り柄だからな。」


そんな風に街の人達と話してた時だった。


「ルゥェイスゥウウウウウっ!!!」


「あ、やべ…」


「…またっすか。」


「……レイスゥ……」


「ひっ!」


振り向くと鬼の様な顔をしたエルフのローズであった。


「何度抜け出したらわかるんですかねぇ?えぇ?」


「いやぁ、だってさ……」


レイスは五年間のうちに実践的な戦闘訓練の他にもこの世界での一般常識や魔法の基礎についての知識を学んできた。


戦闘訓練は基本トールやボロス、兵士達に教えてもらっていたが勉学の方はローズが教えていたのだ。


「…俺、基本魔法はもうだいたい使えるしもういいかなって……」


しかし勉学の方は前世の時から苦手で魔法も少し使えるからと満足して何度も抜け出していたのだった。


「……たしかに魔法の基礎はできてます。」


「そうでしょ…」


「しかし一般的には、という意味ではです。実践では使えないはずです」


「まぁ、たしかにそうだけどおれはそこまで極めなくても……」


「……あなたの魔力は一般の約50倍。ましてはあなたは勇者です。魔法式の勉学をすれば英雄にだってなれるんですよ?」


「……でもなぁ」


たしかに魔法式の勉強をすればさらに複雑な魔法が使えるけど別に英雄に憧れてない。

前は異世界転生主人公みたいで憧れたけど今となってはこうしてまったり農園生活ができれば満足だ。


「とりあえず行きますよ」


「……わかったよ。」


「はい、素直でよろしい。」


俺はこの5年間でこの世界での力の使い方を学んだ。魔法もそうだが俺の場合はスキルの方だ。


俺は転生したことであるスキルが宿っていた。


【ステータス】


その名の通りステータスが存在する。

転生前、女神セレフィはRPGのレベルアップの様なものは存在しないと言っていた。


たしかにそうらしいがステータスは存在するらしい。


鑑定スキルを持つ人が視るとステータスは数値、またはランク表示で現れるらしい。(人によって違うらしい。)


俺のスキルだって鑑定スキルをもった人にみてもらったしな。


遅くなったが俺の【ステータス】のスキルはミッションによってステ振りができるらしいのだ。


それは俺が決めれるものでは無いものの無条件でパワーアップができるものだ。


ちなみにミッションはクリアしないと鑑定スキルでもわからないらしい。


ミッションクリアは今までで5つ。


【ミッション1】

父の意思

父親からの最大の愛情を受け取る。

全ステータス+1



【ミッション6】

母の愛

母親からの最大の愛情を受け取る。

全ステータス+1



【ミッション3】

トリニティー

ミッション1、6をクリア。

魔力+3000


【ミッション21】

初討伐

初めてモンスターを討伐。

全ステータス+5


【ミッション89】

狼殺者

狼牙族を連続で100体倒す。

素早さ+100



村を襲ったゴブリン達がいなくなったのは気を失った瞬間膨大な魔力が広がって消滅した、とローズは推測してたな。


ミッション89はボロスが実践だ!といきなり狼牙族の縄張りの森に放り込まれて生き残る為に命懸けで闘った。

あの時はマジで恨んだ。


昔は無理だったが今はローズから魔法基礎学を教えてもらって俺自身も変化したことがある。


それはスキル【ステータス】のスキルシステムの確認が出来るようになったのだ。


魔力のコントロールができ始めると俺にしか見えないウィンドウズ表示みたいなものが俺の周りに表示されていた。


頭の中で現れてほしいときは念じれば出てきて閉じたいと思った時には消える、まさにゲームみたいな感覚を覚える。


セレフィがゲーム好きを知ってたことからこういうシステムにしてくれたのかな?


それにはステータスの数値化したものや所持スキル、クリアミッションの詳細が見れるようになった。


それによると俺のステータスはこうだ。


レイス

《性別》男

《種族》人間(勇者)

《年齢》15


《スキル》

ステータス

????

????

????


女神セレフィの加護

狼殺者

農家の心得



《基礎ステータス》

《体力》1872

《筋力》125

《治癒》103

《物理防御》156

《魔法防御》93

《素早さ》276

《魔力》3412

《運》51


簡単に紹介するとこんなもんだ。

俺は鑑定スキルを持ってないから他人のステータスを見ることが出来ないが持ってる人に聞いて計算した結果俺のステータスで合わせると平均は70ほどらしい。


そう考えると全体的に平均を上回っている。

特に魔力と素早さだけみるとチートだな。


「……まぁ、いいでしょう。」


「よっしゃ!」


「何を喜んでるんですか?魔法の基礎である魔法障壁の創造、物を宙に浮かべることなんて魔法を使えるものはみんなできます。」


「そうだけどさぁ……」


「いいですか?あなたが完璧なのは魔力のコントロールのみです。魔法のレベルで言えば最低ランク!」


「そんなことわかってるよ。俺が使えるのは魔力の放出と簡単な無属性の魔法だけだよ」


魔法とは。

少ない魔力で魔族に対抗するために作られた遺産。魔法式を組み込むことで魔力は火を、水を、風を、土を、雷を生み出す。

モノを宙に浮かせたり見えない障壁を作ったり、感知したりするのは魔法式があまり組み込まれないため無属性の魔法となる。


レイスは村での事件の後から魔力を常に感じることができ、ローズが少し教えただけである程度の無属性の魔法を使うことが出来た。


「……そういえばレイス……。あなた今いつくでしたっけ?」


「え?15だけど……?」


「……なるほど」


「……なんだよ?」


「あなた属性魔法に興味は?」


「……いや、あるけど……無理だろ?ローズさんには属性魔法は使えないし……」


この世界の常識や読み書き、魔法の基本についてローズからレイスは学んできた。

しかしそのローズはおろか他の人達も出来ないことがあった。


それは属性魔法の使用である。


使えないというよりは教えることが出来ないのだ。


人間の遺産である属性魔法を魔族が知ってるものはボロスの知る限りでもいないのである。


人間独自で習得してきた魔法式と魔族が使っている魔法式とでは似て非なるモノであった。


基礎魔法でさえ、レイスの勘頼りでの習得であり、人と魔族とでは勝手が違うようだ。


「……なんなんだ?」


ローズはブツブツと呟きながらボロスの元へと行ったようだった。


その夜であった。



「レイスよ、お前に聞きたいことがある」


「ん?なんだよ藪から棒に……」


「…魔法学校に行かないか?」


「ぶっ!!」


レイスは口の中に入れてた物を驚きのあまり吹き出す。


「は?何言ってんのいきなり……?」


「もうお前は15歳だ。魔法学校に入ることができる最低年齢が12歳。」


「いや、知ってるけどさ……なんでいきなり?」


「お前は世界のために魔法を学ぶべきだと私は考えている」


大金のかかる魔法学校に行けるなんて幼い頃からの憧れから現実になった。

めちゃくちゃ嬉しい。

だけど………



「……いや、俺別にいいよ……」


「なんでじゃ!?」


「俺、たしかに魔法を使いたいと思ってたさ!憧れだもの!でも……俺さ、今まで生きてきて気づいたことがあるんだよ」


「……それはなんじゃ…?」


静寂する食事の場に緊張感が走る。

いつも笑顔の絶えないレイスの顔は真剣な顔、そして寂しそうな顔を見てボロス、トール、ローズ、そしてその場にいる人たちは皆唾を飲んだ。


そしてレイスの口が開いた。


「俺……ずっと忘れてたんだ。前世ではずっとおもってたのに………」


「「………ごくっ」」


「俺っ………」


「「…………。」」


「…勉強が大嫌いなんだっ!」


「「……はぁ?」」


「テストもそりゃあ嫌いだけど1番はあの授業中の拘束時間!」


みんながレイスの言葉が一瞬分からなくなりポカンと空いた口が塞がらない。


「青春?なんだよそれ!そんなのなかったさ!」


それでもレイスは続けた。


「そして最大の楽しみである最大イベント!壮大な銀世界で滑るスキー体験!京都では古風な風情のある観光名所!大阪では食い倒れるくらい名物を食べたかった!!なのにその前に手違いで死んでしまう!?ふざけるな!!」


「お、おい待ちなさいレイ……」


「……唯一の心残りは恋をしなかったことさ。いずれはあんなことやこんなことをしてなんだかんだでしあわせな家庭を築くこともあっただろうに……」


「………結局は女……っすか」


「なんだよトールさん!!俺はどんなに心に傷を負ってるか分からない……」


「魔法学校に行けば可愛い女の子なんてたくさんいるっすよ」


「…………え?ほんと?」


「そりゃあいるっすよ。だって選ばれしものだけがなれる魔法使い!それならば容姿だって完璧なはず!」


「で、でも……」


「ちなみに入学者の8割が可愛い女の子!」


「……俺、魔法学校いくよっ!!!」


「「………うん。」」


ちなみにトールの言ったことは嘘であった。


そしてその一ヶ月後のことであった。


「じゃあ行ってくるよ」


「うむ、気をつけるのじゃぞ」


「うん、ボロス様今までありがとう!」


「………あぁ。この世界や人との繋がり、そして魔法についてしっかり学んでくるんじゃぞ?」


「うん!」


「たまには帰ってくるんすよ?」


「困った時は水晶玉で連絡くださいね」


「行ってきまーすっ!」


レイスは魔法学校のあるアドロブドゥールへと向かった。


「魔王様、行っちゃいましたね」


「まぁ、今日で最後じゃないのはわかるけどちょっと寂しいものっすね」


「……まぁな」


「……あれ?」


「…ふふっ」


「なんじゃ!?」


「魔王様泣いてます?」


「ボロス様、今日は朝まで付き合いましょうか?お酒持ってくるっす」


「う、うるさいっ!」


こうしてレイスの魔法使いへの道は開かれた。



数日後。

所変わってとある森。


「よしっ。もう大丈夫だよ?」


「…キュ?」


「……ふぅ、さてと!」


「……キュー?」


「ここ、何処かな?迷っちゃった?」


黒髪の女の子が森で迷っていた。


助けたスライムに回復魔法を使うと彼女はスライムに話しかける。


「……ねぇスライムさん。出口はどこか教えて?」


「キュ?キュ?」


「…ふふっ、私はねー、ルルっていうの。一応これでも魔法使いを目指してるんだよ?」


「キュー?」


「スライムさんはどこからきたの?ちなみに私はねー」


そしてたまたまその奇妙な光景を見ている少年もいた。


「……(…あの子スライムに話しかけてるの?大丈夫か?)」


レイスであった。


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