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図書館の大魔法使いと氷の魔法少女

まもなく誕生日だー!(喜)

そして、テスト×3だー!(泣)

~紅魔館大図書館~


「パチェー!お願いがあるの!」


 そう言ってレミィは背後から抱き着いてきた。吸血鬼である彼女のタックルは、私の膝をつけさせるには十分の威力があった。ついでに抱えていた本が落ちたのは当然のことである。


「レミィ、いきなり後ろからタックルかますということは、私に喧嘩を大安売りしてくれるという意味よね?」


「ぃあっ、ご、ごめん…。」


 怒気を含んだ目で睨みつけると、彼女は羽と一緒にシュンと縮こまってしまった。

 普段の彼女はもっと威厳のある“紅魔館の主”の肩書きに相応しいカリスマなのだが…目の前にいるのはどう捉えてもカリチュマだ。

 いつもそうだ。

 親友の私の前でだけ、精神年齢が出会った頃になっている。公私分別されている彼女のこの姿を他の誰かに見られたら…死人が増える。


「分かったから、用件を言いなさい。接客ほっぽりだして私のところに来るだなんて…。」


「ほっぽりだしてなんかないわよ、休憩時間だから、パチェに会いに来たの。」


 私がお茶会用のソファーに腰掛けると、向かい側に愚直を言いながら彼女も座った。先ほど拾った本を机に置き、ティーカップに手をかける。


「来客とバトルすることになってるから、パチェ、出て♡」


「…?どうしてそんな話になったか聞かせてもらえるかしら?レミィ。」


 満面の笑みを浮かべながら、紅茶を啜る。心境を悟られぬよう、平常心を…。


     ~少女説明中~



「はぁ、なんとなく理解はできたわ。」

 

 説明されている間になくなった紅茶を注ぎながら、私はため息をついた。ただの幻想入りした連中に物理戦などを申し込まれ、美鈴が負けてしまった。問題は、どのくらいの時間をかけてだ。


「美鈴は、何分で戦闘不能になったのかしら?」


「3分。長引いたら嫌だなーとおもったか思ったから、咲夜に〇ップラーメン作らせた。気付いたら、美鈴倒れて逆転できない状態だし、ラーメンできてるし…。」


「あの美鈴が3分でやられたの!?どんな化け物よ、その連中。」


 美鈴は武道に長けていて、その腕前は山の仙人と肩を並べるほどだ。それなのに…。


「ちょっと待って、連中はスペルカードを一切使ってないのよね?」


「使ってない上に、存在自体を知らないと思う。なんせ、『程度の能力』も知らなかったし。」


 …そこまでなると、只者じゃないわ。実際に戦ってるところを見ないと…。


「分かった、次の魔法戦、私が出る。その連中に会ってみたいしね。」


「さすがパチェ!頼りになる~!」


 レミィに抱き着かれながら、頭では別のことを考える。

 物語心。

 幻想入り連中のリーダーで、10年と少ししか生きていない妖怪。

 彼女のことをレミィは、

『妖怪と定義付けするにはあまりにも人間すぎる正体の分からない妖怪』

 と言っていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

~紅魔館 応接室~


「なぜに私なんだ!?」


 次に行われる魔法戦。心が選んだのは案の定、柱木 氷華(わたし)だった。どう足掻いたって私しか参加できないけど、分かってる理由を聞いてみる。


「なんでって言われたって…柱木 氷華(はしらぎ ひょうか)、あんたしか魔法を使えるやつはいないじゃない?風音(かざね)に魔弾でも撃たせるの?装填に時間がかかるから面倒じゃん。」


「あんたにはあの魔力の大きさが分からないのか!?私程度の魔力じゃ太刀打ちできないぞ!」


「そもそも勝てるとは思ってないし。」


「ええ…捨て駒じゃないですかやだー。」


 確かに魔法をうまく使えるのは私だけだし、他の人は魔法だけとなると辛い。しかし、


「私の強さ知って言ってるのか!?下から2番目だよ。雑魚の部類に入るよ!」


 私の強さは輪廻(りんね)の次。しかも私は心とルナハート(上位2人)の持つ力と同じものを持っているが、今回はそれも封じられている。…いや、封じられていなくても私は2人の半分の力も出せないな。


「氷華がどうしても、というなら、私が、出ても、いいです…。」


 と、思わぬ方向から声が上がった。

 見ずとも分かる。さっき名前の出た風音だ。


「風音はダメ。魔法戦は防御魔法(シールド)とかも含めた魔法戦だから。銃撃メインの風音じゃ勝てない。」


「さっき、心は、氷華が勝てなくてもいいようなことを、言った。私が負けても、問題ない…。」


「そういう問題じゃないって…。」


 風音は第三の目(サードアイ)と右目に強い意志を映しながら引かない。同じく心も皆を率いるリーダーとして強く睨む。

 そんな二人が、私にカッコイイと感じさせる。

 幻想郷(この世界)に来る前から、風音は私に優しかった。私が躊躇う仕事を自らやってくれたり、戦闘の相手になってくれたり…。皆は風音のやっていた仕事を知ってるからそんなに驚かないらしいけど、私には実の姉ではないかと錯覚させた。

 彼女は変わってくれると言った。本当は彼女に任せて眺めていたい。

 だけど、私は…


「心、私…出るよ。」


「あれ。いいの?さっきまで文句言ってたくせに。どういう心境の変化か教えてもらえる?」


「…ここに来る前から風音にはお世話になってるから。勝っても負けてもいい戦いなら、私が出たい。負けてしまうかもしれないけど…。それに、相手も魔法使いなら、新しく学べるかもしれないじゃん。」


「氷華、無理しちゃ、だめだよ。」


 さっきまでとは打って変わって、二つの目に不安を宿らせ私を見つめてくる。何度も甘えてしまったこの妖怪(ひと)に最初の恩返ししたい。それだけの想いなのに、なぜ風音はここまで私に優しいのだろう。


「…なるべく時間を延ばして戦うといいよ。彼女は喘息持ちだから。」


 館に着いてから無言を貫いていた人形がアドバイスをしてくれた。なぜそれを知ってるような口をしたのか気になるが、どうでもいい。


「…ありがとう、参考にしておくよ。」


「別に。いつものようにうじうじしてるお前が気に食わなかったが、今回は別のようだからな。ボクとしても今のお前を応援したくなっただけだ。」


 とそっぽを向いた。

 仲間の中で、一番最後に入った私は、人形の中の魂が誰なのか知らない。誰も教えてくれない。今までは、訳の分からない変なやつとしか思ってなかったが、存外いい奴なのかもしれない。


「さて、時間だね。」


 気づいた頃には、窓の外はとっぷり暮れていた。空はあの妖怪からにげた逃げた日と同じ満天の星空と、同日には見られなかった真っ赤な月が浮かんでいた。

【キャラクター紹介】

焔鳥ほむらどり 風音かざね

翡翠色の髪に茶色い瞳の少女。

左目を包帯で覆っているさとり妖怪。

12/15生まれ 物心ついた頃から森で暮らしていた

前述のように、森で育ち、狩りや採集をすることで生きてきた。

両親の顔を知らずに育ったため、優しさや悲しさが分からず、森に来た人たちを手当たり次第に殺した。

蘭丸と心と一緒に森に来たルナハートを狙撃したところ、返り討ちに会った。

その後、いろいろな経緯があって心達と共に行動する。

左目は近くで戦争が起きたときに人間のふりして参戦したときに失ったと言われている。

得意な武器は銃。持つと人が変わったように好戦的になる。

年齢はおよそ200歳。

能力       相手の心を読む程度の能力

  “??”状態  万物を貫通させる程度の能力

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