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被害者

~博麗神社 朝~

「おい、霊夢!ちょっと来てくれ!」

まだ眠っていたかった私を叩き起こし、大声が私を起こそうとする。寝ぼけまなこで見ると案の定、魔理沙だ。

「そんな急ぐことじゃないでしょ…珍しいキノコを見つけたとか、弾幕勝負したいとかだったら、後にして。」

魔理沙が朝早く来たなら、どうせそのへんの用事だろう。また、昨日は珍しく妖怪退治の依頼がきて忙しかった。それなりに強かったので疲れているのだ。弾幕勝負をする相手はたくさんいるだろうに。

「珍しいキノコは見つけてないし、弾幕勝負をするわけでもない。いいから来てくれよ。」

と、懇願された。魔理沙の性格柄、誰かに懇願するのは珍しい。というより、ほとんどありえない。

「あんたがそこまで言うならよっぽどのことかしら。何があったの?」

眠い頭を起こそうと聞いてみた。かなり衝撃的なことを聞けば、もしかしたら目が覚めるかもしれないからだ。

「アリスの家の近くでルーミアが半殺しにされてた。四肢がほとんどちぎれそうな状態で。」

「…………っ!?」

なるほど。確かに衝撃的なこと聞いたわね。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

~魔法の森~

森の中を通ると迷子になる者もいるが、入る者のほとんどが妖怪や魔理沙みたいなやつなので、大体は空から森を渡ったりする。

「…で、なんでルーミアが殺されかけたのよ。」

「私にも分からない。ただ散歩してアリスの家の近くを通ったらルーミアがきに寄りかかっていてさ。話しかけようと思って触ったら、ヌルっとしたのが手についてさ、見たら血なんだよ。慌ててアリスのとこに行って、軽い治癒魔法をかけてもらってきたんだよ。」

「なるほどね。…にしても、一体誰がそんなことを…?」

森に住む人喰い妖怪であるルーミアは、人を食べる為に誰かを襲う。他愛もないお遊びなら、スペルカードを使うはずだから、返り討ちに会うはずがない。よっぽど強い人間が幻想入りしたのだろうか。

と、思考をまとめているうちにアリスの家に着いた。

「よぉ、アリス。ルーミアの容態はどうだ?」

「とりあえず止血はしたわ。ただ、失血が多いのか顔色が悪いの。」

「永遠亭に運んだらどう?あそこなら、正しく治療してくれるかもしれない。」

「分かってる。ところで、あなたは詳しい話を聞きにここまで来たんじゃないの?」

「そうだぜ、ルーミアをこうした奴を探そうぜ。」

 …肝心のルーミアが人を襲おうとして返り討ちにあったなんて言えない。

「で、話せるかしら。ルーミア?」

 目が覚めたはいいものを、空気状態の扱いになっていた張本人に話を聞いてみることにした。

「うーん、殺そうとしたところ以外あやふやだけどいいのか?」

「構わないわ。とにかく話してくれない?」

「分かったぞ―。」

 そう言ってルーミアは、少しずつ話し始めた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

その日はとってもお腹が空いていた。まもなくご飯の日が来るにしても辛い。お腹が空いて死にそうだ。ああ、せめて人がいると分かればそこまで行けるのに…。

「…くにんじゃ。」

 ふと、遠くではない距離から声がした。幻想郷へ来たばかりの人間独特の空気がする。たぶん状況の確認をしているのだろう。方向さえ分かってしまえば、後は臭いで分かる。

「頑張れ、ご飯が待ってるのだぞ~。」



 人間だと思って追いかけたはずなのに、どうして

「もう終わりかの?喰うとか言っといてつまらぬ奴じゃの。」

 どうして私が追い込まれているのだ!?

 なぜこうなったのだ?確か、あいつが何かを言って、私の闇に別のものが混じった後に妖術が見えた。それを躱して近づいた時、信じられないものを見た。コウモリのような大きな翼を広げ、大きな鎚を振るったのを。そこまでしか見えず、気づいたら左腕がなくなっていた。とんでもない激痛が走り、悲鳴が出そうになった。

 なんでだ。人間の集団を相手にしたはずなのに。まさか、こいつ…

「気づくのが遅いの。相手はしっかり確認すればよかったのじゃよ。」

 そこからの意識は全くない


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「なるほどね。あなたはとにかく永遠亭に行きなさい。ちゃんと治療すれば大丈夫のはずだから。」

「そんなこと分かっているのだ。」

 と、ルーミアは頬を少し膨らませて怒ってみせた。大怪我してたはずなのに、余裕があるみたいだ。

「で、どうする霊夢?」

 そう聞いてきた魔理沙を尻目に少し考えた。

 ルーミアの見たことが本当なら、相手は妖怪の集団。活発になるのは夜だと思われる。

「帰るわ。そしてまた寝る。」

「ヒドイぜ、霊夢!?」

「相手は妖怪の集団でしょ?なら帰って寝だめをした方がこっちも活動できるじゃない。」

「あ、ああ…。」

「あなたもいくなら帰りなさい」

 私達の勝負は夜になるらしい


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