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ペルソナ~心を失った少年~  作者: 渚
第一章 ノーク編
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アルビノ


 そしてついにグループのまとめ役であるアルビノが動き出す。

 アルビノは今までのことを総合し、考えを巡らせていた、

 その答えが、ようやく出たようだった。


「あんたら、正直どうなの」


 そうリリアに詰め寄る。

 それを受けたリリアの返答は少し意外なものだった。


「トビーのこと嫌いじゃないし、正直気になってる」


 アルビノ含め、は定かじゃないけれど、他の皆は少なくとも、リリアは嫌がっていると思っていた。


「なるほどね」


 アルビノは頷くと、深呼吸のように息を吸い、再び口を開く。


「じゃぁ、ノークのことはどう思う?」


 相変わらずアルビノの考えていることはよくわからない。

 だけど、聞かれたリリアは思ったことを正直に答える。


「あの子、言ってることは正しいんだけど、なんていうか、正直うっとおしいよね」


 それを聞いたアルビノだったけど、無反応を決め込み、また何かを考えているようだった――――





 公園に集まっていたドール達だったけど、それはいつもと雰囲気が違っていた。

 皆どことなくよそよそしく、いつものような楽しそうな雰囲気はなかった。


 たまりかねたノークが口を開き、アルベルトに何があったのかと訪ねる。


「お前、裏で俺たちの悪口言ってるらしいな」


 それを聞いたノークは当然信じられなかった。

 ノークの頭にはみんなと仲良く楽しく過ごしたい、それしかなく、

 悪口なんて言ったこともなかった。


「お前、前喧嘩してたろ、その矛先そのうち俺たちにも向けるんじゃないか?」


 思い当たる節はあった。

 カムラが隣町の子に絡まれていて、それを助けた時のことかもしれない。

 その喧嘩というのが少し特殊で、それはノークの正義感ゆえか

 過剰なまでの、撃退だった。

 その相手は、体もフラフラで、加えてノークの言葉で心も傷つき、言葉を口にすることすらできなくなっていた。

 一見すると完璧なまでの撃退だった。


「リリアもノークのこと嫌っているみたいだ」


 ノークは、リリアの顔を伺い見た。

 だけどその反応は冷たいもので、目を合わせることもなく、そっぽを向いてしまうのだった。


「みんな、急にどうしたの?

 僕はいつもみたいに、みんなで楽しく遊びたいだけなんだ」


 ノークの頭は混乱していた。今まであんなに仲良くしてたのに、なんで急に。


「とにかく、ノークとはもう遊べない

 悪いけど、もうここに来ないでくれ

 俺たちはもうお前の友達じゃない」


 ノークには何があったのかさっぱり分からなかった、今まで仲良くしてた友達の急な裏切り。

 それは、ノークの今までの些細な行動の積み重ねであることを、知る由もなく。

 その裏でアルビノが手をまわしていたことも、知る由もなく。





「ノークは切る、あの子はこのグループにはふさわしくない」


 アルビノは決断したように、そう皆に話す。

 それは、アルビノが考えに考えた結果だった。

 それを聞いた皆は、最初は反対したものの、だけどという気持ちが心のどこかにあった。

 それはほんとに小さな塊の集まり、心のちょっとしたチクリが重なったものかもしれなかった。


「あの子が来ても話しかけてはだめ、それから……」


 アルビノの指示は的確だった、それはノークを追い詰めるには十分すぎるものにも思えた――――


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