次の町に思いを馳せて
僕らが起きたのは、日も上りきった正午過ぎだった。
昨晩の就寝が遅かったのもあるが、それ以上に疲労がかなり溜まっていたのだろう。
「おはようっ。お兄ちゃんっ」
「はぁー。よく寝たー。それにしても朝からサクラは元気だなー」
「うんっ!色々あったけど、今日中にはガリアへ行こうね!」
ここは宗教国家ヴォルスの領地だとアリアさんが昨晩に教えてくれた。
肝心の首都ヴォルスまではまだ先だが、近隣の町であるガリアには1時間程度で着くらしい。
「たしかにアリアさん一人で生活していたんだから町が近くないと成り立たないよな」
そんなこんなで着替えも済み、顔を洗っていると朝食兼昼食の準備を終えたアリアさんが僕らを呼びに来た。
「ご飯ができたのよね!」
食事中、ガリアの事で二人が盛り上がっていた。
「ガリアは果物の栽培が盛んなのよね。ファガリアって言う甘酸っぱい宝石のような果物が特に有名で、そこから町の名前がつけられたとも言われているのよね」
「宝石みたいなのっ?!食べるのもったいないねっ」
「果物だから食べてもらえないとダメになっちゃうのよね。それに凄く美味しいから女性に大人気のよね」
「早く食べてみたいなーっ」
どこの世界でも女の子は女の子なんだなと微笑ましく思いながら食事に手をつけていく
「アリアさん、この野菜の巻物凄く美味しいよ!これもガリアで作っているの?」
アスパラガスのような形をした甘みのある植物に干し肉を巻いて、更にやや香ばしい香りのついた大きめの葉っぱで包まれた料理を頬張る。
「そうなのよねっ。ヘージも楽しみになってきたのよね」
「そうだね。ガリアでの晩御飯が楽しみだ」
食事を終えた後は身支度をして、神殿の入り口まできた。
「眩しいよーっ」
サクラが腕で日差しを遮りながら叫んだ。
「晴れたいい天気じゃないか。旅立ちはこうじゃないと」
雨の日に出発するより、晴れた日の方がいいと思う。
気持ち的にも、物理的にも
「待ってなのよね!私もついていくのよねっ」
手荷物をまとめた鞄を浮かせたアリアさんが走ってきた。
「神殿はいいんですか!?」
「いいのよね!ヘージとサクラちゃんのお世話が私の次のお仕事なのよねっ!」
流れ的にそうなのだろうけど、神殿に誰もいなくなるのはどうなのだろう
「忘れてるのよね。神殿には結界があるから本来なら誰も入れないのよね」
「けど、魔族も入ってきたじゃないですか」
「それはそれ。あんなのが次に来た時に私一人だったら死んじゃうのよね。だから連れていくのよねっ」
一理ある。
結界を突破した魔族がいる以上、今後一人でいるのは危険だ。勇者を呼ぶという神殿の役割も果たし終えた今の神殿を守る意味も薄く、おまけに僕らは彼女の祖国の王族だったのだから世話についてくるのも筋は通っている。
「しょうがないっか」
「だねっ」
アリアさんを迎え入れ、再誕の神殿を後にする。
「いってきますなのよね。いままでありがとうなのよね。」
アリアさんは、少し振り向き懐かしむような顔をしたがすぐに気持ちを入れ替えたようだ。
「行こうっ!ガリアへ」
「うんっ」
「しゅっぱーつなのよねっ!」
三人はガリアへ向けて森へと入って行った。




