Chapter2-1
「さてと、今日もがんばるとしようかな」
少女は部屋に入りながらそう呟く。
風呂上がりなのだろう。パジャマ姿で、まだ湿り気のある髪を首にかけたタオルで、器用に片手で拭きながら、部屋の中を移動していく。もう片方の手には、湯気の立つコーヒーカップ。カップを机に置き、机に置かれたパソコンに電源を入れると、自身も椅子に座り、コーヒーを一口、口に含む。
次第にパソコンが立ち上がり、デスクトップ上に置かれたソフト・・・ファンタジアナイツを起動させる。
いくつかのウインドウが表示され、その後画面はまるで電源が落ちてしまったかのようにブラックアウトする。だが、それもほんの数秒のことだ。すぐに、先ほど起動させたファンタジアナイツがようやく立ち上がり、その画面がモニターにフルスクリーンで表示される。
IDとパスワードを入力し、自身のキャラクターを選択。少しのロードのあと、画面は街中へと変わる。そこに表示されているキャラクターは、ソレルという名の女性タイプの商人だった。
「たしか、アイツが今はラシルってキャラで、あと遥歌はそのままってこないだ言ってたっけ」
まるで確認するかのように、そう呟く。
「まぁ、簡単に見つかるとは思えないけど」
更に、苦笑気味にそう呟く。
少女が今居る街はライラック。そして、彼女が探す2人組みが拠点とする街もまた、ライラックだ。普通なら、同じ街にいるなら簡単に見つかりそうだが、どうやら、少女の様子から察するに、未だその目標は、達成出来ていないようだ。
この少女がいつ頃から探しているのかはわからないが、ラシル達の拠点は、建物の中にある上に、最近までは、ハルカのレベル上げのため、街にいることはあまりなかった。
また、彼女のキャラクター・・・ソレルのレベルはラシルやハルカのレベルと大差はない。それなら、フィールドやダンジョンで会うこともあるかもしれないが、ラシルはレベルアップを優先していたので、ワンランク上の場所に行っていた。その為、街意外でというのもやはり難しい。
なかなか目的が達成出来なくても仕方のないことだろう。
「今日もがんばるとしますか」
改めてそう言うと、少女はソレルを操作し、ライラックの街中を移動するのだった。
ハルカのギルド入団試験から1週間。ラシルは、ソロに戻ることもなく、そのままハルカと組んでいるのだった。
ハルカを連れてきた当初は、入団試験が終われば再びソロに戻るつもりだったのだが、互いにレベルが近いことと、目標としていたクラスに転職出来たので、ペースダウンも兼ねて結局の所、このままの状態で落ち着いているのだった。
ハルカはというと、入団試験の1週間前からマスターであるエルナの誘いもあり、既に入団はしていた。そのこともあり、既にギルドには馴染んでいる様だった。
入ったばかりの頃はギルドのチャットにも、あまり積極的に参加することもなく、せいぜい話を振られればそれに答えるといった程度だった。試験までにレベルアップ急がなければならなかった都合上、他のメンバーとどこかにというのは厳しいとしても、チャットぐらいはと、ラシルは内心心配になっていたのだった。だが、今ではそんなこともなく、チャットどころか、他のメンバーと共にどこかに出かけている姿すら見受けられる。そんな様子にラシルは素直に安堵するのだった。
ラシルとハルカの2人はライラックの街を散策していた。
場所は街の南側。以前待ち合わせに使った街の北側とは違い、南側は人が溢れているのだった。その理由の1つに、他のプレイヤーによる個人商店が並んでいることが挙げられるだろう。
個人商店はNPCが販売するランク2までのアイテムと違い、ランク3以上のアイテムを取り扱っていることが多い。また、同じアイテムでも、モンスターのドロップ(落とした)アイテムの方が性能が高く設定されていたり、消費アイテムがNPCよりも安価で販売されているため―――これはスキルさえ持っていればアイテムを通常よりも安価で購入出来るためである―――買い物は個人商店がメインとなる。人が溢れる理由に個人商店が挙げられるのも当然といえるだろう。
NPCが販売していないアイテムを購入するのなら、オークションも存在する。こちらを利用するものも少なくは無い。だが、どうしても時間がかかってしまうのと、なにより値段が一定でないことが大きく要因し、個人商店を利用する者が減ることはない。
そんな個人商店が並ぶ街の南側、通称“商店街”を歩くラシルとハルカの2人の目的もまた、あちこちに並ぶ個人商店にあった。
1件覗いてはまた次の1件と、数ある商店の中を次々と覗いていく。どうやら目的の品はなかなか見当たらないようだ。
事の始まりは15分ほど前。
この日、ラシルのプレイヤーである樹は、友人の湊斗を含めた数人のクラスメイト達と、学校帰りに遊びに行っていたため、普段より帰りは遅くなっていた。そして帰宅後、いつものようにファンタジアナイツにログインすると、そこにはハルカを除く空の円舞曲のギルドのメンバー達が既にログインし、溜まり場となっているライラックの街の一画にある建物内で談笑しているところだった。
「お、ちょうどいいところに来たね」
挨拶もそこそこに、エルナが早速話しかけてくる。みんなで狩りにでも行くのだろうかと、そんな期待が頭をよぎる。
「ハルカがウチに入ってもう1週間だろ?だから記念になんかあげようかって話してたんだ」
「ああ、いいんじゃないか」
予想とは違っていたことに、内心少しがっかりとするラシルだが、表に出すことなく、エルナの意見に賛成する。ラシルが入団したときも、やはり同じように剣を1本貰ったことを思い出す。
「で、モノは決まってるの?」
「銀弓あたりでどうかってちょうど話してたとこだよ」
銀弓・・・正式名称はシルバーボウなのだが、チャットで打つと少し長いため、こう略されることが多い。
武器としても、現在ハルカが使っているものよりも強く、ランクが3なので、ドロップ(落とす)アイテムに限定されるため、少し値は張るが、それでもお手ごろな価格と言える部類だ。特に反対する理由もないので、ラシルもその意見に賛成する。
「じゃぁ、あんたから渡してやりな」
そう言ってラシルにお金を渡すエルナ。
「マスターからじゃなくていいのか?」
受け取りながらも疑問を感じるラシル。ギルドの行事というには少し大げさだが、それでもギルドで動いてのことには変わりない。それなら、マスターであるエルナから渡すのが筋というものではなかろうか?
「今まで面倒見てきたのはアンタだしね。別に構わないさ」
特別気にはしていないとでも言うようにエルナが答える。
丁度そのとき、ログイン時のエフェクトと共にハルカが現れる。
「こんにちは」
「丁度よかったじゃないか。2人で行ってきな」
やはり挨拶もそこそこに、先を促すエルナ。ハルカは突然のことで理解出来ないでいる。そんな様子を気にする様子もなく、ラシルはハルカに「行くぞ」と一声掛けて出て行くのだった。
道中で、ハルカに説明しながら、しかし、ギルドからのプレゼントとは言えないので、その部分は適当な理由をつけて誤魔化し、現在に至っているのだった。
「見つからないね」
商店街の半分辺りまで来たところで、ハルカがパーティー用のチャットで話しかけてくる。
個人商店を開くと、キャラクターの頭上に吹き出しのようなアイコンが現れる。そしてその吹き出しの中には、各プレイヤーがそれぞれ商店の名前や販売している商品が書いてある。中には空白にしているプレイヤーもいたりするのだが。だが、最近は商品名を書いているプレイヤーが多いため、大抵の商店は見た目で判断出来る。そのため、ラシルとハルカが直接見て回っているのは、それ以外の商店となるため、意外と数は少ない。
「いつもは大抵あるんだけどな〜・・・」
2人の探し物であるシルバーボウはランク3のアイテムだ。その為、NPC経由での販売はなく、モンスターを倒した際に得られるドロップアイテムでの入手となる。その為、大量に出回るということはない。だが、このアイテムを落とすモンスターは比較的倒しやすい上に、確立も低いほうではない。勿論、数字だけを見れば、まず出ることはないような数字なのだが、それでも、他の武器や防具と比べれば比較的高いほうだ。その為、大抵の場合は、誰かしらが手に入れ、そのまま商店街で売られていることがほとんどなのだが、この日に限っては、どうやらそうではないらしい。ラシル自身も、商店街を利用するときは、見かけることが多かっただけに、この状況は少し予想外だった。
(出来れば今日中に渡したいんだけどな)
そんなことを考えながら更に商店を眺めていく。何が何でも今日に渡さなくてはいけないという訳ではない。それはラシルも理解している。だが、ハルカを連れて買い物に来ていることと、なにより丁度節目になっていることからもなんとか今日中にと考えていたのだった。
「でも、なんだか意外だね」
そろそろ商店街も終点に辿り着くだろうかという時、ハルカガパーティーチャットでそんなことを呟く。なにか意外なことでもあっただろうか?確かにシルバーボウがここまで売ってないのはラシルにとっては意外だが、ハルカが普段は割りと売られていることが多いアイテムだとは知らないはずだ。それならなんだろうか?ラシルは一人延々と考えながらハルカの言葉を待つ。
「マスターがアーチャーになろうとしていたなんて」
「ああ、そのことか」
この一言でラシルは全て納得する。
先にも述べたように、この買い物の目的であるシルバーボウはギルドからハルカへの入団祝いのプレゼントだ。その為、ハルカ本人に本当のことを言えるはずもなくラシルが適当な理由を言ったのだった。その理由は、“エルナが最近アーチャーに興味を持ったようだから、この際転職してしまう”ということだった。
エルナと出会った時から、ずっと騎士姿を見ていただけに、彼女がアーチャーになるというのはかなり意外なのだろう。むしろ、この話が本当のことならラシルは勿論、それより前から知り合いのほかのメンバー達も同じ感想を抱くだろう。
ラシルはエルナのアーチャー姿を想像し、口元を緩めてしまう。ラシルがエルナと出会ったとき、彼女は騎馬系統の3段階目のクラスのユニコーンナイトだった。―――余談だが、男プレイヤーだと騎馬系統の3段階目はナイトマスターとなる―――そして現在は騎士系統の3段階目のクラス、ジェネラルだ。ずっと前衛、しかも鎧姿のキャラクターを見てきたラシルにとって、彼女のアーチャー姿はなんとも似合わず、ついつい笑ってしまうのだった。
そうしている内に、商店街も終点へと到着してしまった。結局探していたシルバーボウも見つからずじまいだ。勿論、この通り以外にも商店を出しているプレイヤーもいるが、ここ以外では、装備品よりも、消耗品やクエスト用のアイテムを売っているプレイヤーが多く、ここで見つからないのなら、他の場所で発見出来る確立はかなり低いだろう。
(他の街に行ってみるかな)
ここ、ライラックの街は、大陸の首都という設定になっている。その為か、ここを拠点にしているプレイヤーは多く、また、アイテムの流通もここが一番多い。だが、他の街にも、この街ほどではないが商店を出しているプレイヤーはいる。それに、ここでは見つからなくても、他の街で見つかるということも多々ある。ライラックから離れた場所で入手出来るアイテムなら、尚更だ。
(たしか銀弓は・・・)
ラシルはシルバーボウを落とすモンスターが配置されているマップを思い出す。そのマップの近くの町ならば、案外売っているかもしれない。そう考えていたときだ。
「あ、あったよ!」
先ほどまでとは逆走する形で進み、改めて商店を探していたハルカがパーティーチャットで呼びかけてくる。ラシルもそれに気付きハルカの元に行ってみる。すると、そこには確かに、“銀弓”と書かれた商店をだすプレイヤーが居たのだった。先ほど2人が歩いていた時には確かに居なかった。恐らく、ラシル達が通り過ぎた後で商店を開いたのだろう。
早速中を覗いてみる。間違いなくシルバーボウだ。お金も十分に足りる。
商店名が銀弓とだけ書かれているだけあって、並んでいるのはシルバーボウが並んでいるだけだ。数は3つ。ラシルはそれぞれ性能を見比べていく。ドロップアイテムはそれぞれ若干ではあるが性能が違う。その為、こういった確認作業が必要になる。複数売っているのなら尚更だ。
見比べた結果、純粋に攻撃力の高い物、ア−チャーに必要なパラメータに修正がされる物、SPの上昇率が上がる物だった。どれを見てもいわゆる“当たり”という物だろう。物によっては攻撃力が低かったり、パラメータがマイナス方向に修正されたり、クラスにはほとんど関係ないパラメータがアップしたりと、“はずれ”のアイテムが出ることも珍しく無い。そんな中、よく“当たり”が3つも出たものだと感心する。少し悩んだ後、攻撃力の高い物を選び、購入する。
「それじゃぁ、戻ろうか」
「ちょっと待った」
目的のものを購入し、帰ろうとするハルカを呼び止める。そして、ハルカにトレードの要請を出す。一瞬ラシルの操作ミスかとも思い、戸惑うハルカだが、素直にラシルの要請を承諾する。
トレード用のウインドウが新たに現れ、そこに表示されたのは、先ほど購入したはずのシルバーボウだ。エルナのために買ったはずのシルバーボウをなぜ自分に渡すのか?理由がわからず混乱し、この取引をどうするべきかと固まってしまうハルカ。
「えっと・・・」
「いいから受け取れ」
ラシルに言われるまま、このトレードに合意するハルカ。これにより、先ほど購入したシルバーボウはハルカへと渡る。
「帰ったらみんなに礼言っとけよ」
そう言って一人、先に帰路へと着くラシル。ラシルの言った意味が理解出来ずに、その場に立ち尽くすハルカだが、すぐに理解して、更に戸惑ってしまう。
「置いてくぞ」
ラシルの一言で、我に返ったハルカはそのままラシルの後を追うのだった。
商店街を抜け、街の西側の通路を歩いている時だった。通路の一角に人だかりが出来ているのを発見する。近くを通りかかる際にその方向をチラリと見てみるラシル。どうやら、ここで商店を出していたプレイヤーと2人組みのプレイヤーが揉めているようだ。周囲に集まるプレイヤー達はそんな様子を止めるわけでもなく、眺めているいわゆる野次馬だろう。
当人達はオープンチャットで口論しているため、偶然通りかかったラシル達にもそのログが流れてくる。
「だから、わざとじゃないって言ってるでしょ!」
「ふざけんな!」
「そんな額で間違いなんかするわけねぇだろ!この詐欺商人が!」
「だからさっきからあやまってるでしょ!」
ずっとこのような調子でチャットが展開されている。
どうやら、商店をだしていた女商人のプレイヤーが価格設定を間違えて商店を開き、このプレイヤー達と口論になっているらしい。2人組みのプレイヤーのチャットの内容から察するに、低価格のアイテム―――ポーション等の消耗品だろう―――の価格設定のミス。この場合考えられるのは、桁数の間違いか、別商品の価格で売り出していといったところだろう。
(この場合だと桁かな?)
ラシルはそんなことを思いながら、しかし、それ以上の関心を示すこともなくその場を後にする。
「放っておいていいの?」
そんな様子に、ハルカがパーティーチャットで話しかけてくる。ハルカの性格上、この様子を放っておくのは忍びないのだろう。
「こういうのは関わらないに越したことはない。話もややこしくなるだけだしな」
そう返し、再び立ち去ろうとするラシル。ハルカも最後に商人の方に視線をやり、ラシルの後に続いた。
「ちょっとそこのカップルさん、あんた達からもなんか言ってやってよ」
野次馬達が集まっている中、立ち去ろうとしたラシル達は目立ったのだろう。突然商人のプレイヤーから声を掛けられる。だが、そんなことを気にするラシルではない。まるで声を掛けられたのは自分達ではないとでもいうかの様に、その場を離れていく。だが、ハルカはそうもいかない様だった。
「え・・・!い、いや、カップルってそんなんじゃ・・・」
(あのバカ・・・)
ハルカの反応に内心呆れるラシル。こうなってしまっては自分も知らないでは通せない。面倒ごとには極力関わりたくないラシルだが、こうなってしまっては素直に仲裁した方がいいだろう。そう判断し、ラシルも足を止める。
「あんたらもこの女の仲間か?」
「ログ見た感じじゃ値段の設定ミスみたいだけど、あんたら被害は?」
近付いてくるラシルに、2人組みの片割れが問いかけてくるが、まるで聞こえていないかのように、振舞うラシル。
相手のペースに合わせては、この女商人が先ほどまでしていたような延々と平行線の口論になりかねない。いや、もはや口論にすらならないだろう。そして、その先にあるのは、わざとかわざとではないかの水掛け論だ。そんなものに付き合う気は毛頭ない。
「いや、特には・・・」
初めに話しかけてきたプレイヤーとは違う、もう片方のプレイヤーが答える。
その返答にラシルは内心溜息を吐く。
このプレイヤー達は、価格の設定ミスにより、なにかしらの被害があったわけではないのだ。ただ、設定が間違っていたというだけで、この商人のプレイヤーに絡み、この様な騒ぎになっていたのだった。
再度溜息を吐くラシル。予想はしていたが、最早呆れるしかないのだった。
「じゃぁ、もういいだろ。はい解散」
そう言って早々に立ち去ろうとするラシル。だが、なにか思い出したかのように不意に足を止める。
「あと、アンタも値段の確認ぐらいしろよ」
女商人のプレイヤーにそう言い残し、今度こそその場を後にするのだった。後ろで見ているしかなかったハルカもその後に続く。まるでそれが合図だったかのように、周囲にいたプレイヤー達もまた、解散していくのだった。
結局、最後に残ったのは、当事者の一人である女商人のプレイヤーだけだった。名はソレル。
ソレルのプレイヤーはモニターを見ながら、笑みを浮かべる。
「みぃつけた〜」
一人そう呟き、ソレルをラシル達が向かった方へと移動させるのだった。
「お〜い、ちょっと待って!」
ラシル達の背後から声を掛けられる。名前を確認すると、ソレルというプレイヤーだ。一瞬誰だかわからないラシルだったが、すぐに先ほどの商人のプレイヤーだったと気付く。
「まだなんか用?」
素っ気無く答えるラシル。
これ以上は面倒臭い、というオーラを出ているの感じ取り、その様子に隣のハルカはただただ苦笑するしかなかった。
「さっきのことお礼も言ってなかったからさ、ちゃんとお礼でもと思って」
「ああ、気にするな。それじゃ」
そう言って、再び歩き始めるラシル。
ハルカはどうしたものかとその場に立ち尽くしている。
「だから、ちょっと待ってってば」
「もう用は済んだろ?礼なら別にいらん」
立ち去ろうとするラシルに声を掛けるソレル。だが、ラシルはあくまで素っ気無く答え、再度立ち去ろうとする。
その時だった。
「ギルド、私も入れて」
「はぁ!?」
「えっと・・・」
突然のソレルの言葉に2人は絶句する。
この全く予想外の提案にどう答えるべきか、考えてみるが一向に考えはまとまらない。そうしている間に、ハルカが上手く言ってくれるのではないかと期待してみるが、どうやらハルカも同じような状態なのだろう。彼女に期待するのも無理そうだ。
「なんでそうなる?」
そもそも、先ほど助けた礼をしたいということで呼び止められたはずだった。礼なら既に言ってもらっているし、物を貰うつもりもない。なにより、そんな大層なことをしたつもりも無い。
その礼とギルドとどう繋がるのか、ソレルの意図がいまいちわからなかった。更に言うなら、礼にすらなっていない。
「えっと、私まだ始めてまだそんなに間もないから、あげられるものもないし。だから一緒のギルドに入って、色々と手伝おうかな・・・なんて、だめ?」
「いや、『だめ?』って言われてもな・・・」
明らかに苦し紛れの言い訳と取れるソレルの言葉に、どうしたものかと悩むラシル。
彼女の言うことに、一応の筋は通っている。礼の仕方も色々だ。こんな形の礼の仕方もたしかにあるだろう。だが、ラシル本人にその必要性を感じていない上に、ギルドまで出てくるとなると、ラシルの一存では決められない。
「ギルドはマスターに聞かないとなんとも言えないよ。だから、紹介するぐらいなら出来るけど、それでもいいかな?」
「うん、十分」
ラシルが返答に困っていると、そこにハルカが提案する。ソレルも特に異存は無いようだ。
「ラシル君もそれでいいかな?」
「もう好きにしてくれ・・・」
こうして、新たなギルドメンバー候補を加えて、3人は空の円舞曲の溜まり場へと向かうのだった。
ソレル(以下ソ)「ファンタジアナイツなんでもQ&A−−!」
ソ「・・・ってあれ?だれもいない」
ソ「とうとう読者からの反響だけじゃなくて司会も消えたのね」
ソ「まぁ、いいや。早速質問」
ソ「こんk・・・」
ラシル(以下ラ)「人のコーナーを勝手に乗っ取るなーーー!」
(ソレルの後頭部をハリセンではたくラシル)
ソ「いったーーー。後ろからいきなり殴るなんて酷いじゃない」(泣
ラ「自業自得だ」
ラ「ただでさえ長いのに無駄に行数使いやがって」
ハルカ(以下ハ)「それじゃぁ。最初の質問です」
ソ「セリフまで取られてるし」(泣
ハ「今回は随分アップされるのに時間がかかってたけどなぜですか?」
ラ「なぜか書く時間があまりなかったそうだ」
ソ「大して忙しくもないのに?」
ラ「本人曰く、1日12時間になる罪を背負ったかもしれんらしい」
ソ「いや、そんな罪ないから」(汗
ハ「このネタどれぐらいの人に通じるんだろう?って、それよりもこのネタ使って大丈夫なのかな?」(汗
ラ「じゃぁ、次」
ハ「このゲームのクラスって元ネタってあるんですか?」
ラ「主にラング○ッサーを参考にしているらしい」
ソ「だからハイマスターなんてクラスも考えてたのね」
ラ「クラスの特性とかはちゃんと考えたらしいけどな」
ハ「でもラング○ッサーにないクラスも結構ありますよね」
ラ「その辺は他のゲームとかも参考に考えたらしい」
ソ「ようするにパクリの集合体ってわけね」
ラ「身も蓋もないこと言うな!」
(再びハリセンで一閃)
ラ「一応名前を参考にした程度だ」
ハ「じゃぁ、次行きますね。冒頭に出てくるキャラが誰だかまるわかりです・・・ってこれ質問じゃないような・・・」
ソ「私のことね。そう、私の正体は・・・」
ラ「言うな!」
(再びハリセン(以下略))
ラ「わざとに伏せてあるだけですよ〜。隠す気は一切ありません」
ハ「それでは今回はこの辺で」
ラ「次回もよろしく〜」