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Chapter4-3

 暗転した画面が切り替わる直前、まずはBGMが流れ出す、それまでのダンジョンとは別の、ボスモンスターとの専用戦闘BGMだ。それと同時にSEも混じって聞こえてくる。先に入った荊棘ソニアフォーレストのメンバーが戦闘をしているのだろう。

「それじゃ、私達も行こうか」

 エルナの一声で、全員が更に奥へと足を進める。

 細い通路を少し進むと、大きな部屋へと辿り着く。そして、その部屋の中央にそれは居た。

 十数人ものキャラクターが集まりながらも、決して見失う事はないその巨体。人の形をしていながらも、決して人とはいえない風姿。見た目の材質からはゴーレムというよりもロボットという単語がしっくりくる――この巨大なモンスターこそ、ここスノーフレークダンジョンで待ち構えるボスモンスター“ポセイドン”だ。

 ポセイドンはゆっくりと腕を振り上げると、そのままなぎ払う。周囲に群がっていた、前衛を勤めていたプレイヤーは全員がダメージを受ける事となる。

 尤も、それだけで攻撃が止むかというとそんなことはない。後方に控える回復要員のプレイヤー達が次々と前衛組の傷を癒していく、

「へぇ、ちゃんと統制取れてるんだねぇ」

 荊棘の森の戦闘の様子にエルナが感心する。

「相手の動きが遅いから何とかなる戦法だけどな。でも、人数的に、どっかが崩れると危ないかもな」

「のんびり眺めてないで、私達もいかないと」

 リシュリーの言葉で、全員が戦闘態勢に入る。

 まずは、エルナとアルタスが向かい、攻撃へと参加する。その一方で、ラシルはソレルと共に、相手の背後に回りそこから攻撃を仕掛ける。

「ソレルとハルカは喰らったら終わりだから絶対に当たるなよ。ハルカは近付かなきゃとりあえずは大丈夫だけど、ソレルは逃げるタイミングを間違えないように気をつけろ」

 いつも三人で狩をするときのように、ラシルが指示を出していく。だが、今回はそれだけでは終わらない。

「リシュリー姐さんは支援をしていってくれ。ウィシュナはマスターとアルタスの回復優先」

 普段、ギルドで狩りをする時などは、他のメンバーに指示を出すということはまずない。出したとしても、ハルカやソレルにだけだ。だが、今回は違った。

 普通に戦えば、あっさりとやられてしまいかねない。その為、こうして指揮を執っているのだった。

 このラシルの行動は事前に打ち合わせがあったものではなく、突然の行動だった。だが、空の円舞曲のメンバーの中で一番ボスモンスターとの戦闘に慣れている事は誰もが察していた。その為、特に混乱が起こることもなくこうして戦闘に臨んでいられるのだった。

「これは……長くなりそうだね」

 戦闘の状況を見ながらエルナが呟く。

 エルナ達、空の円舞曲のメンバーは勿論、荊棘の森のメンバーが攻撃した時のダメージも決して高いものではない。勿論、このボスモンスター、ポセイドンがそれほどまでに防御力が高いというのもあるのだろう。だが、それだけではない。トラデスやヨシノは他のメンバーに比べ随分と高いダメージを出していた。これだけでも、レベルや武器に差があることがわかる。

「長引くだけならいいけど……下手するとちょっとやばいかもな」

 どうやらラシルはなにか懸念があるようだ。だが、それを口に出さない以上、誰も知る由はない。

 一見すると危うそうな――それでいてどこか余裕もあるようにも見える戦闘は大きな変化が起こることもなく、淡々と続いていた。

 戦闘が始まって数分。そこで、ついに変化が起こる。

 これまで、周囲にいるプレイヤーを攻撃するだけだったポセイドンが、初めてそれ以外の動きを見せたのだ。何か力を溜めているような――その様に見える。

「――!やばい、逃げろ!」

 ポセイドンの行動が示す意味を理解したラシルは、咄嗟に指示を出す。

 それと同時に荊棘の森のメンバーも部屋の端へと散っていく。

「馬鹿、そっちは――!」

 ほとんどのプレイヤーが部屋の端へと逃げる中、一部のプレイヤーは通路の中へと逃げていく。

 その様子に気付いたヨシノが戻るように指示を出そうとするが、既に手遅れだと悟ると、それ以上言葉が続く事はなかった。

 間もなくして、ポセイドンがレーザーを放つ。

 レーザーは通路を完全に飲み込み、そこに逃げたプレイヤーはなす術もなくあっさりとやられてしまう。たった数人とはいえ、やられたプレイヤーは仲間の回復と魔法による攻撃――所謂、後衛職のプレイヤーがほとんどだ。たった数人とはいえ、些か大きな損害だ。

「マスター、どうします?」

 ゆっくりと考えている時間はない。

 咄嗟に判断出来ずに、ヨシノはトラデスへと判断を仰ぐ。

「今日のオレはただの付き添いだ。指揮官のお前が判断しろ」

 トラデスはこれを一蹴する。

 改めて考え込むヨシノ。

 助けるか、このまま戦闘を続けるか。

 冷静に、それでいて迅速に考えを纏めなければならない。だが、悠長に考えている暇はないという現状がどうしても焦りを生む。

「だれか、やられたやつらの復活を頼む」

 これが正しい選択かはわからない。だが、やられてしまった者達が戻ってくるまで待つよりは、多少のリスクを犯してでも、すぐに復活させたほうがいい――そう思っての判断だった。

(あっちは大変そうだな)

 慌しい様子の荊棘の森を視界の端に捉えながらそんなことを思うラシル。

(まぁ、大変なのはウチも一緒だけどな)

 先ほどのレーザーでの攻撃からポセイドンの動きは随分と変わっていた。

 全体的な動きが早くなり、攻撃の種類も随分と増えた。これまではなんとかなっていた空の円舞曲のメンバーも、今ではまともに戦う事すら厳しくなっていた。

「ソレル、戻れ!」

「え?」

 一瞬、攻撃が止まる。その隙を見て、攻め込むソレルだったが、それをラシルは慌てて静止する。

 だが、次の瞬間には、地面をなぎ払うかのように放たれたレーザーがソレルを直撃していた。勿論、これを耐えられるはずもなく、ソレルはやられてしまう。

 更に追い討ちを掛けるかのように、ポセイドンは上空へとレーザーを打ち上げる。一瞬の間を置いて、部屋中に次々とレーザーが降り注ぐ。

「いきなり激しくなるな」

「HPが半分になると凶暴化するからな」

「こんな中であと半分か。嫌になるな」

 ギリギリの状況の中で会話する、ラシルとアルタス。

 レーザーの振ってくる位置は完全なランダムだ。なので、少しも気が抜けない。こうして会話をしているのも危ないぐらいだ。

「きゃっ」

 悲鳴というにはあまりにも短い、そんな声が聞こえた。

 ラシルは、画面内を見回してみるが、特に変わった様子はない。他の仲間からの報告も特にないため、状況が今ひとつ掴めない。

 今ラシルにわかることといえば、先ほどの声はハルカのものだったというぐらいのものだ。

「ハルカ、どうかしたか?」

「ごめん、やられちゃった」

 これで漸く、何があったのかラシルにも理解出来た。

 確かに良く見てみると、パーティーメンバーの残りのHPを示すゲージの内、ハルカののものを示すそれが真っ黒――即ちHPがゼロであることを示していた。

 恐らく、避け損なって被弾してしまったのだろう。

 ハルカ――それに先ほどやられてしまったソレルはレベルがまだまだ低い。

 強力なモンスター――それもボスモンスターとなれば、攻撃を耐えろというほうが無茶というものだ。

 レベルが低いというだけならラシルも該当するが、ラシルは装備品が充実している事に加え、クラスは、他の二人とは違い特殊クラスだ。

 特殊クラスともなれば、クラス特有のステータスのプラス修正に加え、SPゲージを最大まで溜める事により、更にステータスをアップさせることが出来る。

 ここに来るまでに、特にスキルも使わず回復や支援が全てリシュリーやウィシュナに任せてきた。それでいて、ラシル自身は攻撃には積極的に参加していた。

 ここに辿り着くまでの五階層に加え、ポセイドンとの戦闘と、相手に攻撃をする事でSPが蓄積されていくファンタゾアナイツにおいて、これだけの戦闘の機会があればSPを最大まで貯める事など造作も無い――いや、むしろ溜まっていて然るべきというべきだろう。

 更に言うならば、ラシルはただレベルが低いというだけではない。

既に二度の転生をしており――内一度は大きな効果があるものではないが――パラメータだけならばハルカとソレル――この二人を大きく上回っている、

この状態のラシルならば、一度ぐらいは耐えられる可能性はあるが、それはコンピュータがはじき出すダメージ幅の最低に近い値を引けば――即ち運次第なのだ。

 同レベル帯の――それも装備品もなければ転生の経験も無いハルカとソレルに対して耐えろという方がいかに無理難題かが窺える。

「待ってて、すぐに回復するから」

 こんな状況のせいか、空の円舞曲のメンバーの中に攻撃を仕掛けようとするものはだれもいなかった。

 その為、支援を担当しているリシュリーとウィシュナはそれぞれのパートナーを回復する必要がなくなり、多少の余裕が出来ていた。

 幸いなことに、ハルカの周辺は偶然にもポセイドンが放ったレーザーが降ってくることはほとんどない。すぐさま駆け寄り蘇生魔法の詠唱に入る。

「リシュリー姐さん、今詠唱したら――」

 そんな様子を見たラシルが静止しようとするが、既に詠唱を開始したリシュリーを止める事など出来るはずもなかった。

「え……?」

 詠唱を開始したその時、リシュリーにレーザーが降り注いだ。

 次の瞬間、その場にあったのは、HPがゼロになりやられてしまったリシュリーの姿だった。

「これランダムだけど、魔法の詠唱には確実に反応するんだよ」

 突然のことで、理解が追いつかないリシュリーにラシルが説明する。

 現時ア部屋中に降り注ぐレーザーは完全なランダムだ。但し、たった一つの例外を除けばという条件下での話だ。

 実はこの攻撃、魔法の詠唱には反応するという性質を持っている。

 つまりは、魔法の詠唱を開始すると、そのプレイヤーには確実にレーザーが降り注ぐのだ。

 このポセイドンというモンスターがファンタジアナイツに実装されたのは、昨日今日という話ではない。攻略サイトを見れば確実にこの情報は載っている。

 事前にこの情報を仕入れておけば、この様なミスをすることはないのだが、そうでない者に対してはランダム故に出来る偏りを利用した――所謂引っ掛けの様なものとなっていた。

 間もなくして、漸くポセイドンの攻撃が停止する。

 リシュリー以降、だれかがやられる事はなかったが、被害はなかなかに大きい。

(これは……ちと、体制を立て直したほうがいいか?)

 ラシルはちらりと荊棘の森側を見てみる。

 こちら側は大きな被害もなく――というよりは、多少の被害が出てもうまく立ち回りながら、被害を最小限に留めている。

(とりあえずは――あっちに任せるとしますかね)

 元々、空の円舞曲の面々の戦闘能力はそれほど高くはない――この戦闘に関しては、だが――反面、荊棘の森側は十分な戦力が揃っている。

 自分達が戦線から離脱したところで問題はない。ラシルは瞬時にそう判断する。

「一旦、体制を立て直そう。全員集まってくれ」

 そう指示を出しながら、まずはリシュリーを復活させる。

「ハルカは私が回復するよ」

 丁度戻ってきたウィシュナが、そのまま魔法の詠唱を開始する。

 これで残るはソレル一人となった。だが――

「これどうやって近付くよ……?」

 溜息混じりにラシルが呟く。

 ソレルがやられた位置はポセイドンに近い場所だ。

 蘇生の魔法は対象者と近付かなければならないため、危険に晒される事になる。

 戦闘開始時の様に、相手の動きが遅くこちらにも余裕のあるときならまだしも、HPが半分を切り動きが素早く、多彩になった今では蘇生させるのはかなり厳しい。

「アイテムならいけるんじゃねぇの?」

「使ったほうも使われたほうもちょっと間動けなくなるからな。タイミングが難しいのはかわらないよ」

 魔法が無理ならアイテムで――アルタスのこの発想は至極当然ともいえるが、ラシルはそれをあっさりと否定する。

 一度攻撃されるとそれまでという状態が、事態を難しくしているのだった。

「オレかマスターなら多少は耐えられるし、後ろから回復してもらうってのは?」

「それも無理。ソレルの方がどうにもならん」

 両者が動けないということは、どちらも攻撃を受ける可能性があるということだ。

 誰が行くかというのは余り問題ではない。タイミングを見誤れば、やられてしまうのは救助対象のソレル自身だ。そういった意味では誰が行っても変わりはない。

「ソレル、もうそのままでいいか?」

「出来れば回復してほしいかな……」

 普段なら激しいツッコミが返ってきそうものだが、この様な状況のせいか、返答は随分と謙虚なものだ。

「よし、とりあえず戦闘再開しよう。ソレルは隙を見て回復ってことで」

 この場に居る以上、ポセイドンの相手を荊棘の森だけに任せるわけにはいかない。ただ待つだけよりは戦闘に参加した方がいいだろう。

 ラシルは瞬時に考えを纏め、指示を出す。

 ラシルの指示を合図に、再び全員が戦闘体制に入る。

「ったく、アイツら……。サボってないで戦闘しろっての」

 ヨシノは、自身のギルドのメンバーに指示を出す一方で、空の円舞曲の様子を視界の端に捉えながら呟く。

「なんだかんだ言いながらもアイツらを頼りにしてるんだな」

「そ、そんなことないですよ」

 からかうトラデスの言葉をヨシノは慌てて否定する。

「なら愚痴るのはなしだ。さっさと倒しちまうぞ」

 口調こそ、それまでの明るいものだったが、雰囲気は全く違うものになっていた。

 そんなトラデスにヨシノは「はい!」と力強く返すと自身も戦闘へと戻っていった。それと同時に空の円舞曲のメンバーも再び戦闘を開始するのだった。


 クロッカス――そう呼ばれる王国の首都ライラック。

 この街には様々な建物がある。NPCの運営するショップから、クエスト用のNPCが設置されているもの、ただNPCの話が聞けるだけものと、その有り方は様々だ。

 そんないくつもの建物の中でも特に異彩を放つのが中央部の一角にある建物だろう。

 二つの階層で構成されたこの建物はただ広いだけの――それだけの建物だ。

 ショップでもなければ、NPCもいない。勿論、クエストで訪れることもない。

 今後のバージョンアップで使う事になるのか、それとも開発陣の遊び心でつくっただけなのか……。プレイヤーにそれを知る由はないが、この場を必要とする者達は確かに居る。

 ギルド『空の円舞曲』

 この場所こそ、このギルドの拠点となっていた。

 初めてのボスモンスターとの戦闘を終え、メンバー達はこの場所へと戻っていた。

「いや〜、酷かったねぇ」

 セリフの内容とは反対に明るい声で、それも笑いながら戦闘を振り返るエルナ。

 彼女の言葉からも察せる様に、戦闘の結果は惨敗だった。

 体制を建て直し、戦闘を再開した後しばらくは問題なく戦えていた。だが、それも一つのミスで簡単に覆されることになる。

 僅かな隙を見計らい、エルナがソレルの回復に行ったのだった。

 結果から言えば、この行動は失敗に終わる。ソレルが復活出来る事無く――それどころかエルナまでやられてしまうという結果となったのだ。

 だが、それだけでは終わらなかった。

 この様子を見ていたアルタスがそのまま回復に向かったのだった。勿論、不用意にこの様な行動をして成功するはずもなくアルタスもその場で倒れる。

 その後、この三人を回復することは出来ず、一人、また一人と倒れて行き、戦闘が終わった頃にはラシル一人が残っている状態だった。

 また、ボスモンスターとの戦闘では、撃破時にその場に居た全てのプレイヤー――勿論やられてしまったプレイヤーは除外される――がアイテムを取得できるのだが、ラシルが取得したアイテムは、何の変哲も無い売却用のアイテムだった。

 エルナが酷かったというのも十分頷ける内容だ。

「オレ達じゃあんなもんだろ」

 疲れた様子のラシルが口を開く。

 彼のいう様に、空の円舞曲のメンバーのレベルや装備を考えると妥当な結果かあるいは――ラシルが最後まで生き残った事が奇跡的と言っても過言ではない。

「それでもやっぱ悔しいし……よし、あと一週間徹底的にレベル上げしてリベンジしよう」

 エルナの新たな提案にその場に居た全員が悲鳴を上げるのだった。


 森の中に存在する村アルメリア。その一画に彼らの姿は合った。ギルド『荊棘の森』マスタートラデス。同ギルドのメンバーヨシノ。

 ポセイドンとの戦闘の後、この場所に戻ってきた彼らは、ミーティングも兼ねた反省会を開き、それが今終わったところだった。

 この場は既に解散となっているのだが、二人は未だこうしてこの場に残っているのだった。

「意外と苦戦しましたね。あの程度のボスに時間も掛かったし」

「ウチの新人ばっかだったしな。連携も噛み合わないだろうし――そもそも半分ぐらいはボス戦初めてだったろ?無理もないさ」

 先のボスモンスターとの戦闘を振り返る。

 三大ギルド――そう呼ばれるには勿論、人数の規模だけが原因ではない。ファンタジアナイツのジャンルがRPGである以上相応の強さも求められる。

 大勢のプレイヤーを率い、高い戦闘力も持ち合わせる。だからこそ、他のプレイヤーは尊敬と畏怖を込めて彼らをこう呼ぶのだ――三大ギルドと。

 そんな三大ギルドの一角を担う荊棘の森としては、今回の戦闘は決して褒められたものではないだろう。それを示すかのようにヨシノの言葉にもそれが表れている。

 尤も、トラデスにとってはそうでもないらしかった。

 彼の様子からは先の戦闘の事を気にしている様子は全く感じられない。いや、気にしても仕方がないというのを理解しているのだろう。

 今回問題となっていたのは、どれも経験が浅い事から来るものだ。こればかりは時間を掛けるしかない。それがわかっているからこそ、特別慌てる事もないのだろう。

「それよりも、お前はあのギルドどうみる?」

「そうですね……」

 あのギルド――つまりは空の円舞曲のことだ。

 ヨシノはしばらく考え込む。

「特になんとも……ごく平凡なギルドだとしか。あと、ボス狩りに来るには早すぎですね」

 これがヨシノの感想だった。

 この答えにトラデスは不満を漏らすわけでもなく――逆に同意するわけでもなくただ押し黙る。

「それがどうかしたんですか?」

 トラデスの真意を読み取る事が出来ず問い掛けるヨシノ。だが、すぐに返答が返ってくることはない。

「ラシルがあのままあそこに居るならウチに来てくれないかと思ってな」

 しばらく沈黙が続き、ようやくトラデスが口を開いたと思えば、彼の口から出てきた言葉は、ヨシノにとって意外なものだった。

 平凡なギルドの一メンバーでしかない者を迎えたいというのだ。それもマスターであるトラデス自らが。

「たしか、最後まで無事だった二刀流のマジックナイトですよね?そんなに凄いプレイヤーには見えませんでしたが……?」

 動揺を隠しながら、思い出してみる。

 ヨシノ自身も戦闘に指揮と慌しく動いていたためそれほどはっきりと見ていた訳ではないが、特に目立った動きはなかったはずだ。

「多分アイツ、一度もダメージを受けてないぞ」

 そんなバカな?

 トラデスの言葉に反論しそうになるが言葉が出ない。

 通常のモンスター相手ならまだしも相手はボスモンスターだ。そんな事はありえない。どれほどプレイヤースキルを高めようとも奇跡でも起きなければ――いや、たとえ奇跡が起きようとも無理なのではないか?

 そんな考えが頭をよぎる。

「オレもちゃんと見てた訳じゃないからなんとも言えないけどな。でもアイツのプレイヤースキルがズバ抜けて高いのは確かだ」

 トラデスがそう言うのなら、ラシルの腕前は確かなものなのだろう。

 だが、何度思い返してもやはりトラデスの言う様なプレイヤーとは思えなかった。

「まぁ、次に会った時にでも良く見てみればいいさ」

 腑に落ちない。そんな様子を察したのだろう。

 トラデスは最後にそう言うと、その場を後にした。それを追うようにヨシノも付いて行くのだった。


ラシル(以下ラ)「お待たせしました〜、4−3話完成です」

ハルカ(以下ハ)「毎度ながら時間かかってますねぇ」

ラ「作者ももっと早くに書き上げるつもりだったんだけどな、意外と進まなかったみたいでな」

ハ「小説意外に時間食いすぎてるのも問題ですよね……」(汗

ラ「今回はストーリー動画作成用に色々と調べてたのもあるみたいだけど……」

ハ「そっちもついに動き始めたんですね」

ラ「ちょっとだけな。それよりも。ストーリー動画を二つ視聴開始して(一つは途中で見れなくなって止まってるけど)前に見たストーリー動画(約50話)を見直したり」

ハ「だめだこいつ、はやくなんとかしないと……」

ラ「更にゲーム面では、とと○の2、PSP版イー○クリア、最近はPS3版T○Vお体験版とムービーを見たらすごくやりたくなったから360版を再開したとか……」

ハ「遅い原因、完璧にそれですね」

ラ「マジで自重しろ」

ハ「そろそろキャラ紹介にいきましょうか」

ラ「今回はアルタスだな」

ハ「アルタス君は明るい……ギルドのムードメーカー的な存在ですね」

ラ「ただ能天気なだけだけどな」

ハ「クラスは騎士系の中位クラスのロードで、よくウィシュナちゃんと組んでます」

ラ「戦闘スタイルは猪突猛進バカとでもいうか……とにかく突っ込んで力押しで攻めて行くって感じだな」

ハ「ウィシュナちゃんがいないと厳しそうですね」

ラ「まぁ本人は楽しんでるみたいだしいいと思うけどな」

ハ「今回の紹介はこれぐらいですね」

ラ「そういえば、今回本編振り返ってないな」

ハ「そうですね。でも終始戦闘だったし振り返るほどのものもなかった気が……」

ラ「……だな。あ、でも一応補足が一つ」

ハ「なんですか?」

ラ「今回出てきたボスの名前がポセイドン(海の神様)なのになんで機械っぽいゴーレムなんだ?って感じだろ?」

ハ「ああ、言われてみれば確かに」

ラ「実は名前と外見のイメージなんかは某ゲームの特殊なモンスターそのままパk……もとい参考にしたからなんだ」

ハ「……」(汗

ラ「パクッテナイヨホントダヨ」

ハ「え、えーと……それではまた次回〜」


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