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Chapter3-1

「んー──終わったー!」

 私立星想学園2-Bの教室。HRの終了と同時に、咲希はそう声をあげていた。

「お疲れさま」

「ったく、大袈裟なヤツめ」

 遥歌と樹が声を掛けながら──そして、その後に続くように、湊斗が咲希の席へと集まる。すっかりお馴染みとなった四人組が集合となった。

 七月初頭。一週間に及ぶ学期末テストの最終日がこの日だった。

 いつもの顔ぶれで、いつもの様に帰路に着く。

「テストも終わったし、夏休みが楽しみだね〜」

「気早すぎだっての」

 咲希の言葉に、呆れたように返す樹。

 夏休みまでは、まだ二週間ほどある。確かに少し気が早いといえるだろう。

 しかし、テストも終わり、一学期中の大きなイベントは残っていない。咲希の興味が夏休みへといくのは無理からぬ事だろう。

「確かに。でも早くきてほしいよね」

 樹の言葉に頷きながらも、咲希をフォローするかの様に、湊斗は彼女に同意する。

「そういえば、皆は夏休みは何か予定あるの?」

 遥歌が、更に気の早い質問をする。普段なら、誰かが指摘しそうなものだが、既に夏休み気分な、咲希と湊斗は勿論、先ほど指摘をしていた樹さえも、指摘する事は無かった。むしろ、予定を考えている辺り、樹もまた、今から夏休みは楽しみなのだろう。

「――ウチはいつも通り何もなし・・・かな?」

 去年までの事を思い出しながら、そう答える樹。

 樹の両親は、共働きである。勿論、それは、樹が夏休みに入ったところで変わるわけではない。とはいえ、盆の時期ともなると、会社は休みになるようで、二人とも数日の休暇となる。

 この期間を利用して家族旅行でも――という案が出たことが無い訳ではない。だが、両親が普段多忙なのを知っている樹は、折角の休みに、わざわざ疲れに行く事も無いとこの申し出を断っているのだった。

 尤も、どこに行っても人の多そうな時期に旅行になど行きたくないという思惑もある為、素直に両親のことを考えてとも言い難いのだが・・・。

「ウチは母さんの実家に帰省するぐらいかな」

「今年も行くんだな」

「うん、毎年のことだしね」

 樹は去年に、湊斗を誘った時に、そうこのことを言われたのを思い出していた。

 一方湊斗は、嫌気や諦めといった様子はなく、むしろ嬉しそうにも見える。大抵の場合は、親戚の家や、両親の帰省となると、退屈という印象が強いが、どうやら湊斗には適用されないようだ。

「で、そういうお前らはどうなんだ?」

「私は、今年も遥歌のとこにお世話になる予定」

 樹の問いに、咲希が答える。

「楠木さんのウチにお泊り?」

 すかさず、湊斗が話しに乗ってくる。

「ううん。ウチ、毎年旅行に行ってるんだけど、その時に咲希も誘って一緒に行ってるの」

 遥歌は咲希と仲良くなって以来、家族との会話の中でも、咲希の名前を出す事が多かった。そして、それを見た遥歌の両親は、毎年行く夏の旅行に咲希を招待したのが始まりだった。それ以降、楠木家の夏の旅行には、毎年咲希を加えて行っているのであった。

 こうして、夏休みの話題で盛り上がっている内に、交差点へと差し掛かる。この四人が別れる場所がここだった。

「それじゃぁ、ここまでだな」

 そう言って、それぞれがそれぞれの言葉で挨拶を交わし、解散となる。これもいつもの光景だ。

 四人で盛り上がっていた時間は呆気なく終わりを迎え、一行はそのまま解散となった。


 樹が家に帰ると、そこには誰も居なかった。といっても、特別珍しい事ではない。職場で働く両親と、学生の樹では、どうしても学生である樹の帰宅時間の方が早くなる。しかも、今はテストの為、半日で学校が終わるのだから尚更だ。

 部屋に荷物を置き、台所へと向かう。だが、昼食が用意されている訳ではない。尤も、この状況も樹が望んで出来た状況なのだが。

 樹自身、料理は嫌いでは無い。その為、昼に冷めてしまった料理を食べるなら、自分で作ると言っているのだった。尤も、そのレパートリーはかなり少ないのが本人の悩みの種にもなっているのだが。

 今も、冷蔵庫を眺めながら“なにを作るか”ではなく“何が作れるか”と思案中だ。

「こりゃ、夏休みまでにちょっとレシピ増やさないとな・・・」

 呆れたようにそう呟きながら、冷蔵庫の中身を物色していく。そうやら、本日のメニューは決まったらしい。

 これまで週に一回、テスト期間になってからはずっとやってきたおかげか、手際良く準備を進めていく。次々と調理をしていき、二十分も経った頃には昼食は完成していた。

 昼食を終え、自室のパソコンの前で過ごす。だが、ファンタジアナイツは起動していない。モニターに写っているのは、普段、樹がよく観覧しているウェブサイトだった。

 部屋に戻ってしばらく経ち、時間は昼の1時半といったところだろうか。樹が眺めていたウェブサイトも見終わり、大きく伸びをした時だった。突然、部屋のドアが開かれる。

 樹以外、誰も居ないはずの家でこんなことが起きれば驚きそうなものだが、そんな様子もなく、開かれたドアを一瞥する。

「よう、おつかれ」

 樹の予想通りの者が立っている事を確認すると、一言そう声を掛けるのだった。

「うん、お邪魔するよ」

 そう言って、この訪問者――橘 湊斗は部屋と入ってくる」

「玄関は鍵かけといていいんだよね?」

「ああ、おっけー」

 湊斗の様な、親しい友人が来る場合は、大抵はこの様な具合になるのだった。尤も、それは樹の指示によるものなのだが。

 日曜でも無い限り、この家に樹以外の者がいることはまずない。そんな状態で遠慮することはないということと、なにより、わざわざ玄関まで降りて行き、応対するのが面倒だという理由で、こうしている。

 湊斗も、初めこそ戸惑っていたものの、今となっては、この様に全く遠慮なく――更には、玄関の施錠までしてくるといった気遣いまで見て取れる程となっていた。

「で、掲示板だっけ?」

「うん」

 今回の湊斗の訪問は、突然というわけではない。遥歌と咲希の二人と別れた後、約束していたのだった。だからこそ、ファンタジアナイツを起動する事もなく、ウェブサイトを観覧していたのだった。

 湊斗の用件を確認すると、樹はブックマークから一つのサイトを選択する。そして、ファンタジアナイツを扱ったサイトが表示される。

 このサイトはファンタジアナイツの情報を扱う――所謂、攻略サイトだ。湊斗に勧められ、このサイトをブックマークしている樹だが、このサイトを利用することはほとんどない。

 情報量は豊富で、早くて正確――まさに優良な攻略サイトといえるだろう。だが、樹がこのサイトに訪れる事はあまり無い。

 優良サイト。そう言われて否定する者はまず居ないだろう。それは、あまり利用する事の無い樹も認めるところだ。情報量が豊富で、早くて正確。だが、それと同時にサイトそのものが見辛いという欠点も備えていた。その為、樹は別のサイトを利用することがほとんどで、このサイトを利用することは滅多にないのだった。

 逆に湊斗はこのサイトをよく利用している。やはり、新着の情報となると、ここに敵う所は無い。尤も、既出の情報なら樹と同様の理由から他サイトを利用しているが。

 しかし、湊斗にとって、このサイトの真価とは、情報ではない。彼にとって、このサイトの真価は掲示板にあると考えていた。

 サイトの構成はどうであれ、ファンタジアナイツの攻略サイトではまさに大手サイトといえるだろう。そして、それは訪問者が多いということでもある。

 人が多ければそれだけ、掲示板への書き込みも増える。そして、それは攻略には関係ない様な情報も集められるということを意味する。湊斗は、それを目的にこのサイトへとよく訪れるのだった。

「貸して」

 そう言って、マウスを受け取ると、『掲示板』とかかれた文字をクリックする。そして、スレッドのタイトルが並んだページが表示される。

「えっと、確かこの辺に・・・」

 そう呟きながら、目的の書き込みを探す湊斗。

 大手サイトだけあり、書き込みの量もなかなかのものだ。目的の書き込みを発見したのが前日の夜――それも寝る前だというにも関わらず、随分と流されてしまった様だ。

 画面をスクロールさせていき、ついには1ページ目の最後まで来てしまう。ここまで来ても、まだ目的のスレッドは見つからない。前日に湊斗が発見した時点では、まだ上の方にタイトルがあったことからも、書き込みの多さが窺える。

「あ、あった!」

 2ページ目に移り、漸く目的の物を発見する。

 樹もタイトルを見てみる。そこには、『噂の問題児発見』というタイトルで書き込みがされていた。だが、そこからはなんのことかは全く想像がつかない。

「まぁ、見てみてよ」

 そう言って、湊斗がページを開く。

 段々とページが表示されていき、樹は最初の書き込みを早速読んでみる。

 始めこそ、全く関心のなかった樹だが、書き込みを見た瞬間、一気に関心が高まる。それもそのはずだ。そこには、自身が立ち上げたギルドの名が記されていたのだった。

 書き込みの内容はこうだ。樹達のギルドのメンバーの内の一人が、活動を自粛しているにも関わらず、ログインをしていた。既に活動を再開している可能性もある。ギルドのサイトでは活動再開の報告は確認されていない。この様な状態でゲームを再開する様なヤツらはさっさと引退すべき。

 と、まさに樹達に悪意しかない書き込みだった。そして、最後には証拠とばかりにスクリーンショットを載せていた。しかも、問題のプレイヤーの名前もしっかりと確認出切るようにしてだ。

 その後も数回に渡り、スクリーンショットのみの書き込みをしたところで、漸く、他の観覧車からの返信となっていた。

「なぁ、これってウチと関係ないだろ・・・」

 とりあえず、投稿者の書き込みだけを見て出た樹の感想だ。

「あ、やっぱわかった?」

「当たり前だっての」

 始めこそ、関心をもてた樹だったが、スクリーンショットを見た瞬間に、その関心は一気に消え失せてしまった。

 まずは名前。一見すると本人の様だが、最後に小さく『.(ドット)』の文字が付いていた。ファンタジアナイツでは、既に使われた名前は使用出来ない。これだけでも、最早別人だと言っている様なものだ。

 更には、ギルドにも所属していない。ギルドに所属していれば、所属するギルドの名前も表示されるのだが、このスクリーンショットにはそれがない。こんな状態で自身のギルドのメンバーだとどんなに言い張ったところで、何も知らない第三者からすれば信じろと言う方が無理な話だ。

 極めつけは見た目だ。

 髪型、髪の色、クラスと全て一緒にはなっている。だが、それだけだ。キャラクターのグラフィックに適用される一部のアイテムはまるっきり違う物となっている。これでは、知らない者しか騙せない。

 これだけの要素を揃えていて、知り合い――それも自身のギルドのメンバーの事で騙されろという方が無理な相談だ。

 勿論、湊斗もそれはわかっていた。実際、湊斗にとってこの書き込みの内容自体はさほど重要ではなかった。むしろ、重要なのはこの書き込みに対する返信の方だった。

「とりあえず、返信レスを読んでみてよ」

 湊斗に促され、返信の方を読み始める樹。始めこそ普通に読んでいたが、量の多さから、次第に斜め読みで一気に読みきってしまう。だが、それでも湊斗の意図を汲み取るには十分だった。

「なるほど、本題はこっちか・・・」

「正解」

 書き込みの返信は、明らかにおかしな点があることへの指摘ばかりだった――初めの内は。だが、この投稿者に賛同する書き込みが出てきた途端に、スレッドの雰囲気は一変する。

 同じく賛同する者、それを煽る者、それらに反論する者、無関心を装う者・・・。返信を見るまでは、ただのネタ投稿だと思っていただけに、これには驚きを隠せない樹だった。

 だが、樹が驚いたのは、それだけが原因ではない。様々な書き込みがあるにも関わらず、どれ一つとして樹達を擁護している様な書き込みはないのだった。

 反論をしている者達も『ただのネタでしかない書き込みに賛同している事』に対して反論しているだけで、決して樹達の味方をしている訳ではないのだ。

 樹達が休止をしてから、そろそろ5ヶ月が経とうとしていた。にも関わらず、自分達のギルドの名前が出るとこれほどの騒ぎとなることは、樹にとって――そして、湊斗にとっても意外だった。

「こりゃ、復帰はもうしばらくかかりそうだな・・・」

「だねぇ・・・」

 二人でそう溜息を吐くのだった。

「あ、そういえば!」

 少し暗くなった雰囲気を変えるためか、明るくそう言いながら、鞄の中を漁り始める。

「これ、確かやりたがってたよね?」

 そう言って取り出したのは、1本のRPGのソフトだった。1週間ほど前に発売されたばかりのソフトで、これまでのシリーズをプレイしてきた樹にとってずっと注目していたソフトでもあった。

 結局、購入は見送りとなったのだが、現在最も注目しているソフトの一つは間違いなくこれだと言えるだろう。

「お、やるやる!」

 先ほどの暗い空気はすっかり無くなり――いや、無くしたと言った方が正しいだろう。暗くなったところでどうしようもない。その事を理解している二人は、少し大袈裟なぐらいに明るく振舞うのだった。

 樹は、ゲーム機の準備をし、湊斗にコントローラーを渡す。

「ありがと・・・ってなんで僕が1P側なの?」

 コントローラーを受け取り、コードを辿って行くと、行き着いた先は1P側の接続端子だった。

 因みに樹は2P側のコントローラーを持っている。RPGとは言っても、戦闘だけなら複数人でプレイが可能となっている。その為、自身も参加するつもりなのだろう。

「オレ、データないし。橘のデータでやるんじゃねぇの?メモリーカード入ってたし」

 あっけらかんと答える樹。湊斗としては、新規のデータで始めるつもりだったので、少し困惑気味だった。

「いや、ネタバレとかあるし・・・」

「ああ、オレその辺はあんま気にしねぇから」

「そういえば、そういう性格だったよね・・・」

 苦笑しながら、しかし、どこか感心したような口調で答える湊斗。新規データは諦めて、素直に自身のデータをロードし、ゲームを始める事にした。

 一時間程が過ぎただろうか。着々とイベントをこなして行き、ゲームを進めていく二人。ボスモンスターを撃破し、一息ついたところで湊斗の手が止まる。

「やっぱり気になる」

「どうしたんだよ、いきなり」

 突然の言葉に、思わず聞き返す樹。なにか気にあるような場所でもあっただろうか?思い返してみるが、特に怪しい所はなかった――と、いうよりはそれらしい場所は湊斗が既に調べていた。なら、他になにかないだろうかと考え、あることに気付く。

――掲示板。

 明るく振舞い、ゲームで気を紛らわせたところで、やはり気になるのではないだろうか?そんな考えに辿り着く。

 正直、樹自身も気にならないといえば嘘になる。周囲の反応をあまり気にする事のない樹がそうなのだ。湊斗が気にしていても不思議ではない。

「神代、やっぱりネタバレ気になるから交代!」

「・・・へ?」

 想像していた事と、全く違う言葉が出てきた為、湊斗の言っている言葉の意味が理解できずに間抜けな返事を返してしまう。

「神代が気にしなくても僕が気になるから交代して」

「あ、ああ。って一人でやってるのもな〜・・・」

「すぐ仲間は増えるし気にしなくていいよ」

「・・・そうか?それなら」

 心配は杞憂だったせいか、どっと疲れが押し寄せる。そのせいか、断るのも面倒だったにで、湊斗の提案を受け入れ、コントローラーを交換する。

「そういえばさ・・・」

「ん?」

 ゲーム序盤のイベントを眺めながら、湊斗が口を開く。

「あの書き込みどうしよう?」

「ん〜・・・とりあえず放置でいいんじゃないか?」

 少し考え、そう答える。

「こっちになんかあれば対応ってぐらいでいいだろ?」

「・・・それもそうだね」

 樹の提案に、少し考えた末同意する。二人とも、大々的に動きたい訳でもなければ騒ぎを大きくしたい訳でもない。その為、二人にとってはこの程度の対応で丁度いいぐらいなのだった。

「それじゃぁ、他の皆にも伝えとくね」

「ああ、頼む」

 この短いやり取りでこの問題は解決となった。

 その後、この話題は出る事無くそのままゲームを進めていくこととなった。気付けば、樹の両親が帰ってくる様な時間になり、湊斗をそのまま――半ば強制的に――夕食に招待し、その後帰路へと着くのだった。


「神代、そっち行ったよ!」

 インカムから声が聞こえる。声の主はクラスメイトの綾瀬咲希だ。

 ぼーっと考え事をしていた樹はその声で我に変える。そして、モニターを見ると、自身の操るキャラクター『ラシル』が敵の攻撃に晒されようとしているところだった。

 咄嗟に回避行動を取ろうとするが間に合わない。攻撃を2発受けることとなり、ラシルのHPはごっそりと削られる。かろうじて生きている。まさにそんな状態だ。

 一旦距離を取り、ある程度回復させると、今度はモンスターへと攻撃を開始する。普通に戦えば、苦戦するような事は無い。それを証明するかのように敵を圧倒する。そして、モンスターを倒し、小さく溜息をつくのだった。

「神代君、大丈夫?」

 同じく、クラスメイトの楠木遥歌の声が聞こえてくる。

 咲希の操るキャラクター『ソレル』が空の円舞曲ワルツに入団してからは、よくこの三人でパーティーを組んでいるのだった。

 因みに、普段は互いにハンドルネームで呼び合っているのだが、樹の調子がおかしい為、わざと苗字で呼びかけていた。

「さっきからずっとそんな調子じゃない」

「ああ・・・わりぃ」

 二人に、歯切れ悪く返事をする樹。

 湊斗が帰った後、いつもの様にファンタジアナイツにログインしていた。そして、やはりいつもの様に、遥歌と咲希の二人とダンジョンに来ているのだが、今ひとつ集中出来ないでいた。

 先ほどのように、ぼーっとしている事も多く、戦闘もそれほど積極的に参加している訳ではない。周囲からしてみれば何かあったとしか思えないだろう。

「・・・わりぃ、今日はもうやめとくわ」

 樹はそう言うと、街に戻る事も無くそのままログアウトする。そのままパソコンの電源も切ってしまい、ベッドへと倒れこむ。

 考えるのは、昼間の掲示板のこと。

 あの書き込みや、そこでの盛り上がりに関してはそれほど気にしてはいない。むしろ、気になっているのはギルドの復帰の時期だ。

 今のギルドに不満がある訳ではない。むしろ楽しい。だが、それでもやはり、ギルドの活動再開を願わずにはいられない。

 夏休みまで、あと二週間ほど。時期的にも、期間的に復帰にはちょうどいいのではないかと考えていた。だが、今回の騒動を見る限りでは、もう少し様子見をした方がいい様にも思えた。

 樹や湊斗だけならば、それほど気にする様なことでもない。だが、友人達を巻き込むとなるならそうはいかない。

 ファンタジアナイツでの自分の居場所。楽しい――楽しかった場所。ただそれを取り戻そうとしているだけなのだが、こうも上手く行かないと最早溜息しか出なかった。

 もどかしさはあるが、焦りは無い。こればかりは時間が解決するのを待つしかない。樹は勿論、湊斗も、そして――他のギルドのメンバー達もわかっているのだろう。だからこそ、誰も何も言ってこないのだ。

「考えてもしょうがないのは分かってるんだけどな・・・」

 一人、そう呟く。そして、そのまま目を瞑る。

 何も考えないようにしようとすればするほど、様々な事が頭の中が駆け回る。それでもなお、頭の中を空っぽにしようとする。そうする内に、いつしか樹は眠りに付くのだった。


エルナ(以下エ)「今回も随分遅くなったね〜。丸一ヶ月近く経ってるよ」

ハルカ(以下ハ)「またトラブってたみたいですよ」

エ「新年会のしすぎとかじゃなくて?」

ハ「新年会はやってないみたいですよ。えっと、資料によるとですね・・・考えてた話はあったけど、これを1話目に持って来ると確実に4話まで引っ張れない内容だったみたいですね」

エ「へぇ〜。それで?」

ハ「なので、新しく考えてたみたいなのですが全然思いつかなくてこんなに遅くなったみたいですよ」

エ「だからページ数も少ないのか」

ラシル(以下ラ)「いつまで言い訳してんだ!?」

ハ「あ、ラシル君。どこ行ってたんですか?」

ラ「どこもなにも『今日はラシル君がゲストだから舞台袖で待っててね』って紙があったからずっと待ってたんだよ」

エ「あ、それ私が適当に書いたヤツだ。まさか信じるとは思って無かったよ」

ラ「ちょっ!犯人アンタか。ってかこの文章をマスターが書いたと思うと・・・・キモっ!」

エ「キモイゆーな!」

ハ「ははは・・・(苦笑)ところでマスターはなぜここに?」

エ「あ、そうそう。なぜか私の所に新企画の計画書が届いたから届けに来たんだった」

ラ「で、新企画って?」

エ「キャラ紹介みたいだね」

ハ「そういえば、してませんでしたね。ページもないですし」

ラ「丁度いいし早速やるか」

ハ「ページを作ってそっちでって気はないんですね」(汗

エ「今やると中途半端な所にリンク出来るから却下」

ハ「編集で入れ替えていけば問題ない気が・・・」

ラ「めんどいからパス」

エ「ってなわけでキャラ紹介第1弾は主人公のラシルで」

ラ「オレか。なんか自分で言うのも恥ずいし二人に任せるわ」

エ「元々は、とあるギルドのマスターをしていたんだったね」

ハ「今は休止中でセカンドキャラクターを使ってるんだったよね」

エ「性格はかなりの面倒くさがり屋で、二言目には面倒って出てるぐらいの筋金入り」

ラ「いや、そうでもない気が・・・」

ハ「でも、面倒見はいいですよ」

エ「あと、昔に師匠ともいうべきプレイヤーが居て、高いプレイヤースキルはその人の教えのおかげみたいだね」

ハ「リアルでは、極々普通の17歳の少年です。因みに私の同級生です」

エ「リアルでの性格はどうなんだい?」

ハ「ネットそのままですよ」

ラ「まぁ、特別ロールしてるわけでも無いしな」

エ「じゃぁ、大体こんな感じだね」

ハ「わかったようなわかりにくいような・・・」(汗

ラ「ちゃんとしたのは全部書き上がった後にでも作者に書かせるしかないな」

エ「そんな訳で今回はこの辺で」

三人「また次回もよろしく〜」

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