01
いつもと変わらない日常の端に必ずいるのは私の兄。ほんと、目立つ男なのだ。
私の親友はアイツが好き。兄妹である私に気を使ってか、私には隠しているみたいだけれど、廊下でぼうっとしていると思うと視線の先にはアイツ。
「おい、アキ~次のテストの山はってくれよ。」
「はは。なんだよ、一夜漬けすんの?」
「部活忙しくてさ。」
ほら、何でもない会話なのにじーっと見つめて。本当…恋する乙女って大変だな。
「…彼女。いないみたいよ?」
「え!?」
「お見通しですよ~、何年の付き合いだと思ってるの??」
彼女は頬を赤くして俯く。
―ズキ
私は胸が疼く。でも気にしてはいけない。私は、親友が大好きだ。笑っていてほしい…これは嘘偽りのない本心なのだ。
「好きなタイプは…多分髪が長くて女子力が高い子かな…」
この前電話で友達と話していたのを盗み聞きしたのだ。その時そんなことを言っていたと思う。
「そっか…あ、あのね。今度…秋弘くんに告白しようと思ってるの。」
「良いんじゃないかな?出来れば直接が良いよ。アイツいつだったかな、そんなこと言ってた。」
アイツは異性に告白されることが多い。そして彼女がいたことももちろん有る。彼女たちはアイツに直接告白しているのだ。(いつだったか彼女③が言っていた)
※もう彼女③とは別れている。
そして親友は数日後、アイツに告白した。
二人は付き合っている。
私は…
親友とうまく笑えているだろう。
二人が付き合い始めて数日。
私は不思議な夢を見た。
真っ白い空間に。
真っ白なドレスを着た女の子がいた。
「ここは…」
「あなたの夢の中よ。初めまして、私は運命課に所属する天使のルビ。」
「天使??運命課って…なに?」
「あまり長い時間はないから、手短に済ませるわ。まぁ、目覚めてしまえばここでの事は忘れてしまうでしょうしね。」
「???」
話についていけない私をよそに、ルビは話をどんどん進めてしまう。
「あなたは好きな人がいるわね?」
「…」
「その人と結ばれて欲しいのよ。」
「は?」
「それが私の仕事であり、一人前の天使になるテストなの。でもなかなかうまくいかないから、こっちでいろいろ手を加えてあげる。いい?素直になりなさい。そうすればうまくいくから。」
「ちょ、なに言ってるかわかんないんですけど」
ルビは話は終わったとばかりに私に背を向ける。話は全然理解が出来ない。
真っ白な世界は、真っ暗な世界に変わり、私は落下する。
どこに落ちているのか全く分からない。わからないままなすが儘に落ちて、気が付いたらふわりとどこかに落ちた。