帰りの空港にて
朝の空港。リゾート地からシャトルバスに乗る。
空港には三十人くらいが並んでいた。
最初は普通の朝の雰囲気。コンピューターが使えないらしい。すべてが手作業らしく、並んでいる人たちの列がなかなか進まなかった。
おもしろかったのは後ろに並んでいたカナダ人のおばさん。
文句をすべて口にしていた。
「全く、普通ならこんな人数5分で済ませるはずなのに、いったい何をやっているの」
「もう20分も待ってる。驚きだわ。しかも列が進まないじゃない。ああ、のどが渇いた。ミネラルウオーター、売っている店もないし」
「ああ、30分経過。冗談じゃない。なにしてるのよ。トイレにも水が流れないってどういうこと。衛生的にもよくないったらありゃしない。考えられないわ」
「もう40分よ。信じられる? 40分も待って全然行かないの。ああ、これじゃあ、中で買い物をする時間なんてないじゃないの。何も買ってないのに」
「あらら、あの人たちはなにしてるの。私達の後ろに並ばないでなんであっちにいるの。冗談じゃないわ。係員はなにしてるの。なんか言いなさいよ」
「50分、一時間待ちね。信じられない。ねえ、あなた、あっちのカウンターへ行って聞いてみてよ。こっちの手伝いをしなさいって。こっちがこんなに待っているのに、あの人たちは何もしていないみたいじゃない。こっちを手伝うべき、そう思うでしょ」
まあ、こんな感じで実況中継でした。おもしろかった。時計を見ずに何分待っているのかわかったし、ヒマつぶしにちょうどよかった。
誰かがイライラしていると自分の心が冷静に保てることがわかった。文句を言ってくれたおばさんに感謝。
ちなみにおばさんたちは、ドミニカは二度目。初めは私達のような結婚式に呼ばれて来ていて、今回はおじさんと二人でのんびりと過ごしたらしい。シャトルバスも遅れたらしい。すべてをおばさんのつぶやきで知った。
私達の前にいたカップルも面白かった。男性はどう見ても60歳を過ぎている。女性は20代前半。お祖父ちゃんと一緒に二人っきりでリゾートに来ないだろうし、絶対にカップル。女性は一人でアイポッドを聞いて踊っていたし、男性はうろうろしていた。
二人はどんなことを話すのか。興味ある。英語ではなかったため、たまに話す会話の内容はわからなかった。