祖父と最強蟻4ー独白ー
はい、君の意識に入らせてもらいました あー清春っていうんだね~よろしく…驚いたでしょ、君の頭の中の情報は全部僕に分かるからね
じゃあ何から説明しようかな…うん。僕がなんで喋れるかからかな
清春君は一応はアリ担当として色々調べてるようだね。まあ、大体合ってるよ。
「働きアリの法則」って知ってるよね。10匹くらい集めたら2匹は働かないってやつ。
今は働かないやつばっかり集めて【キングオブ働かないアリ】決めたりするみたいだけどね、だけどね【キングオブ働きアリ】を探した人たちも昔いたんだ。なんのためかわかる?
「戦争」だよ
何十年か前に第三次世界大戦というのがあったらしいね。そのときにどこかの国が働きアリを探す実験をして、選び抜かれたアリ達に薬品をたくさんぶちまけたらしいんだ。
で、突然変異で脳波と知能と毒が異常に発達してね。逃げちゃったんだ。
それが僕の先祖達。
もうその国はてんやわんやだったと思うよ。テレパシー持った、毒持ったアリが逃げちゃいましたなんて発表したら、暴動で済むかどうか。
でもね、僕の先祖は人間社会を破壊しなかった、なぜかというとね
終戦後にね見たんだよ、底辺から這い上がろうとする人間たちを。戦争でぼろぼろになって大切な人を失っても必死で食らいつく人間の姿をね。だから、先祖は思ったんだよ
「ここで僕たちが世界を支配したら人間のように争うことはないかもしれない。でもなにか天災に遭ったとき、大切な者を失った時に人間のように何度でも立ち上がる力はない。」とね。だから、彼等が能力を活用して、社会を破壊することは決して無かった。
でも、また、愚かな争い、人間の事しか考えないような行動。そんな行いを次、人間が犯したときに戦えるよう、先祖達はたくさんの子孫を残した。船に乗り、歩き、世界へ散った。でも、僕たちはテレパシーで繋がっているんだ。だからみんなの身に起きていることは全部わかる。
あと、先祖が思っていたこと、見たことは遺伝子の中にあるから、僕の記憶としても残っているんだ。
だから、ずっと前に起きていた出来事も、それこそ戦争の映像だって家族全員鮮明に覚えてる…
まあ、だから、僕たちは喋れるし、テレパシーも出せる。
…あー僕がなんで君にこんなことを教えたかわかる?
君ならね、いつか僕の子孫と君達人間が起こすかもしれない戦いを止めれると思うんだ。
君は見たところ頭もそこまでよくないしスポーツもあまりだ。君の友達に劣等感も抱いているよね。
だから弱者の気持ちがわかるんだ。
普通のアリは人間からしたら「弱い」でしょ。
僕たちはこどもに殺されそうになったり、駆除されそうになっても、テレパシーで幻覚を見せてその間に逃げてる。だから大抵のことじゃ死なない。でも戦争はどうしょうもないんだ。これは普通のアリと変わらない。
弾が飛んでくるたび、数多くの家族が死ぬだろうね。【こころ】が繋がっているから、死ぬときの映像は克明に僕たちに刻まれる。いまは、まだそんなことにはなってないけど僕たちの多くがそんなことで死ぬようになったら、
僕らは人間たちを許さないよ。…
人間は忘れる生き物だということは残念だけど歴史が実証しているよね。
じゃなきゃ、戦争に「第三次」なんてつかないよ。
だから、君には忘れないでいてほしい。一部の者だけの利益のために、今まで数多くの人を失ったこと。そして数多くの生物を失ったこと。
もしかしたら、君一人では戦いを止めるのは無理かもね。だから出来る限りの人々、後世に伝えてほしい。「同じ生物どうし共存すべきじゃないか」。ってね。
話がすごく長くなったね。ごめん、じゃあ戻ろうか。