プロローグ
そびえ立つビル。
にぎわう雑踏の中一人の少女がいた。その姿はそわそわと落ち着きなく、周りを見ているその頬は紅潮していた。
初々しくデートなのかと思えば、どうやら違うようでちょこちょこと場所を移動している。
そんな少女の肩にぽんと手が置かれた。
―――きたっ!!
「ねぇ彼女暇なの?」
「は、はぃ――…」
暇ですと続けるために、笑顔で勢い良く振り向いたが、言葉が最後まで紡がれる前に、体ごと笑顔も凍り付いた。
振り向いた先にいたのは整った顔。長いまつげにくっきり二重。唇は瑞々しく、男であれば貪りつきたくなるものだ。
「どうした?」伺うように傾けた頭からサラサラの髪が流れ、その人物はにっこりと微笑んだ。
これも男なら目がハートになっていたであろう程美しいく、可愛い。いや、女であろうと同じだろう。
が、少女にとっては違うらしい。
「なっなっなんでっ!あんたがここにいるのよぉ〜〜!」
蒼白になった少女の声が街に響いた。
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「あ?なんでって買い物だけど。まぁ山田がここに来れば面白いもんが見れるとは言ってたけど…」 トモちゃんっ!!何て事を言ってくれたんだ!と恨んでみたが、状況は改善されるわけもない。
とりあえずここは逃げるしかないと「あら、そうなの?じゃあまたね」と爽やかに立ち去ろうとすると肩を掴まれてしまった。
「まぁまぁ暇なんだろ?つき合えよ」
ビクリと肩を揺らした瞬間後ろから若い男が声を掛けてきた。
「ねぇ、彼女たち暇なの?暇なら一緒に遊ばない?」
頬を赤くした男たちは少女―エリカの隣にいる人物をチラチラと見ながら話してくる。
「だってさ、どうする?」
にやりと意地の悪い笑顔を浮かべながら聞いてくるそれを見てエリカは耐えきれず、やや涙を浮かべて叫んだ。
「いっ行くわけないでしょぉ!!」
だってさ、と声を掛けてきた男たちに言うと残念そうにその場を去っていく。
「おい、いいのか?ナンパ待ちだったんだろ?」
にやにやと、これまた意地の悪い笑みで言うものだからエリカはついにキレてしまった。
「う、うるさい!!なっ何で男のあんたがモテんのよぉ!!」
そう。この意地の悪い笑顔をしている人物は正真正銘の男だ。
「しょうがないだろ。綺麗なんだから」
にっこりと言われて言い返したいが、真実のため言い返せず歯噛みをするしかない。
「…しょうがないから可哀想なエリカに付き合ってやるよ。またケーキ食うんだろ?」
ため息をもらしながいうその姿にさらにイライラするが、この悔しさは甘い物を食べて紛らわさなくてはやっていられず「当たり前でしょう」と叫んだ。
悔やんでも仕方がないが、何でこんなことに…と過去に思いを馳せるエリカだった。
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