表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

執事シリーズ

ごめんあそばせ召しませ執事?(千文字小説)

作者: りったん

 有栖川ありすがわ亜梨沙ありさは大富豪の令嬢です。


 まだ十七歳ですが、お金持ちの上に美少女なので、通学しているインターナショナルハイスクールではモテモテです。


 しかし、亜梨沙は同級生のどれほどのイケメンの告白にも落ちませんし、耳も貸しません。


 討ち死にした男共は全校男子の過半数に達し、法案だったら可決成立しています。


 彼女の目には、同級生の男は「子供」にしか見えないのです。


 何故なら亜梨沙は、事もあろうに自分の邸で働いている執事に恋をしているからです。


 執事の名前は、英国人のトーマス・バトラー。世界執事協会所属の凄腕執事です。


 しかも、金髪きんぱつ碧眼へきがんで物腰は柔らかく、語学も堪能で、日本語も流暢に話します。


 亜梨沙が夢中になるのも頷けるのです。


 けれども、学校では女王様気取りで男共をあしらう亜梨沙ですから、トーマスに自分の気持ちを素直に打ち明ける事ができません。


 本当はトーマスの事が大好きで、いろいろ話が聞きたいのに、


「トム、喉が渇いたわ。本場イラン産の石榴ざくろのジュースを頂戴。今すぐ」


などと、無理難題を言ってしまいます。


 しかしトーマスは、そんな亜梨沙の裏腹な気持ちを知ってか知らずか、


「畏まりました、お嬢様」


と慇懃にお辞儀をすると、どこから入手したのか不思議なほどの早さで、程よく冷えた石榴のジュースを洒落た形のグラスにストローを付けて、亜梨沙の元に持って来ます。


「お待たせ致しました」


 庭先にしつらえたパラソルの下のテーブルで待つ亜梨沙の前に、実に優雅な動きで現れるトーマス。


(ああん、素敵)


 心の中では、今すぐにでもトーマスの胸に飛び込みたいと思う亜梨沙ですが、


「本当よ。待ちくたびれたわ」


と言ってしまいます。


「申し訳ございません、お嬢様」


 トーマスは深々と頭を下げて亜梨沙に詫びました。


 そんなトーマスの姿を目の当たりにすると亜梨沙の心は罪悪感にさいなまれます。


(こんな事ばかりしていたら、嫌われてしまう)


 そして、思い切って立ち去るトーマスを呼び止めます。


「トム」


「はい、お嬢様」


 トーマスは華麗なステップを踏んだかのようにクルッと向き直ります。


「おなかいたわ。何か美味しいお菓子を頂戴。今すぐに」


 トーマスの顔を見るとそんな事しか言えない亜梨沙です。


「畏まりました、お嬢様」


 トーマスは優雅にお辞儀をします。


 またそれにウットリする亜梨沙です。


 


 つづく……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] お嬢様。 ツンデレですねぇ……。 でも美しい執事が自分のために動いてくれているのを見ると、いじめたくなってしまう心理もなんとなくうなずけるのです。
2011/07/16 13:41 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ