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第239話 竜、改築を進める

「あーい♪」

「うぉふ♪」

「ぴよー♪」

「お、大きい山を作ったのう」


 ディランは休憩中、水を飲みながらリヒトの方に目を向ける。地面を掘り返していたが、もちろんそのまま砂場遊びに移行しており、ペット達と楽しそうに遊んでいた。

 それでもルミナスはきちんと石ころをディランが集めているところへ持って行く。


「わん!」

「うむ。助かるぞい。そろそろお昼じゃな、トワイトが帰ってくるかのう」


 ディランが空を仰ぎながら呟く。

 トーニャ達と会っているなら少しくらい遅くなるかもと思っていたのでリヒトのミルクは自分で用意しようと考える。


「あう!」

「うぉふ」

「む、どうした?」


 そんなことを考えているとリヒトがヤクトに乗ってぴゅーっとどこかへ駆けていく。


「アー?」

「おお、また獲ってきたのか」

「ア!」


 ディランが座っている横にグラソンがやってきて魚を置く。そのままグラソンもリヒトを追って駆けて行った。


「元気じゃのう、ダル」

「わほぉん……」


 近くに寝そべっているダルに話しかけると、視線を逸らして尻尾を振っていた。

 最近、あちこち行っていたのでまあいいかと苦笑する。


「ぴよ」

「ぴよぴー」

「リヒトは向こうへ行ったぞい。ワシのところへ来てもなんもないぞ」


 今度はソオンとレイタがやってきてディランの膝に乗って来た。

 指で頭を撫でながら自分のところに来ても出来ることが無いと告げるが、その指にすり寄っていた。


「ぴよ♪」

「物好きなひよこじゃ。リヒトが好きじゃろうに」

「ぴよー」


 ディランも好きだといわんばかりにレイタは肩に乗って首に頬ずりをしていた。

 いつもはリヒトとダル達と行動しているのであまりディランのところには来ない。

 たまにこういう風に大好きアピールをされると困ってしまうディランであった。


「アー!?」


 そこでリヒトを追ったグラソンが大きな声を上げながら全速力で戻って来た。

 

「なんじゃ?」


 ディランがひよこ達を手のひらに乗せてそちらを見ると、続けてリヒトとヤクトの声が聞こえて来た。


「あーい!」

「うぉふ!」


 そのリヒトの手には埴輪が握られており、ヤクトの頭には土偶が載せられていた。

 グラソンはサッとディランの後ろに隠れてやり過ごす。


「あーう?」

「グラソンはそれが怖いみたいじゃ。お主らだけで遊ぶのじゃ」

「あい」


 リヒトは少々残念そうに頷くと、砂場へ戻って山に埴輪を突き立てた。土偶もテーブルのような台に載せており、リヒトはご満悦だ。


「ドグウも良かったのう。グラソンも慣れじゃな」

「アー」


 もう少し待って欲しいといった感じで羽を振っていた。そこでディランはひよこ達を地面に降ろして立ち上がった。


「ぴよー?」

「そろそろリヒトのミルクを用意するかのう。ジェニファー達は飯を食うのか?」

「こけ!」


 虫をよく食べていたジェニファーとトコトだが、エサはそれはそれで食べると主張していた。

 では用意しようと思った瞬間、空が陰った。見上げるとトワイトがが戻って来たところだった。


「ただいま戻りました♪」

「お疲れさん」

「あーい♪」

「わん!」

「ぴよ!」


 トワイトが変身して地上に降り立つ。木材を受け取ったディランと交代でリヒトやペット達がトワイトへ群がった。


「どうじゃった?」

「レイカちゃんにゼクウさんのお店を教えてもらいました。そしたら無料で木を貰えたんですよ。そうそう、お野菜も売れました!」

「おお、それはありがたいわい」


 足に掴まって笑うリヒトを撫でながら、トワイトが状況を説明する。ディランは軽々と七本の木材を担ぎ、それを地面に寝かせながらいい収穫になったなと口にする。


「あ、それとこういうのも貰いましたよ」

「なんじゃい?」

「あー?」

「うぉふ?」

「アー?」


 そこでゼクウから貰った揺り椅子を取り出して地面に置く。新しい道具にみんなが興味津々で集まって来た。


「これは揺り椅子か。しかしドラゴンとは珍しいのう」

「これ、お父さんを参考にしたらしいですよ」

「なんと」

「あーい♪」

「こけ……!」

「ぴよー……!」


 トワイトが笑いながら説明をすると、リヒトが手持ち部分を揺らして遊び出す。

 するとジェニファーとひよこ達が反応し、座る部分に鎮座した。


「あらあら、ジェニファーが乗るの?」

「あー♪」

「こけ」


 ゆらゆらと揺れ出すと、椅子の部分にジェニファーと、足の部分に乗ったひよこ達がゆっくりとゆらゆらし始めた。


「あーう♪」

「こけー♪」

「まあ、これはこれでアリか」

「可愛いですしね♪」


 リヒトが揺らしているとトワイトが腰をかがめて可愛いと微笑む。しかし、そのあとすぐに変化が起きた。


「こけー……」

「ぴよー……」

「あーう?」

「あら、揺られて眠くなってきちゃったかしら?」

「あうー……」


 そのままジェニファーとひよこ達は目をつぶって眠り始めてしまった。

 リヒトもそれをみてウトウトし始めた。


「先にミルクを飲んでから寝ましょうね」

「あーう……」

「わほぉん」


 トワイトはリヒトを抱っこして背中を軽く叩いてあげていた。そこで庭の状況に目を向けた。


「……あなた、随分と広くしましたね?」

「うむ。海でバーベキューとやらをやったのが良くてな。これならやりやすかろう。あそこには砂場ができたから屋根をつけて濡れないようにしたいのじゃ。池はもう少し大きくして川と繋げてその通路は網を付けて大物が入れないようにしようかと」

「うふふ、リヒトが寝たらお手伝いしますね。それじゃお昼ご飯にしましょうか」


 ディランが庭を指さして興奮気味に語るのを見てトワイトはころころと笑う。

 そのままお昼を食べるため家へ戻り、ペット達も戻って行った。

 ちなみにジェニファーとひよこ達は運ばれている間も寝たままだったとさ。

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