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第221話 竜、顔見せと変身をする

「俺がロイヤード国王のギリアムだ」

「よろしく頼むわい」

「お願いしますね」

「よろしくな若いの」

「……ロクロー爺さんも便宜上爺さんだと言っているが、俺の親父くらいの見た目だよなあ」


 ディラン達は早速ロクロー達を連れて城へと戻った。ギリアムは長生きしているドラゴン達を見てやっぱり若いなと苦笑していた。


「あー……」

「リヒト君、どうしたの?」


 そしてリヒトは珍しくトワイトから離れようとせず、ハニワを手にしてぐずっていた。ギルファが尋ねるとトワイトは土偶をリヒトに見せないように差し出した。


「うふふ、少しこれが怖かったみたいなの」

「わあ!? ……ハニワに似ているけど、確かにちょっと怖いね……」

「うぉふ……」

「ヤクトも苦手みたいね」

「わほぉん」

「あら、ダル?」


 そこでダルが土偶をひょいと咥えてディランの下へと歩いていく。そしてディランの下げているカバンへ入れた。


「こけー!?」

「わほぉん……」


 いつもジェニファーを入れているカバンなので彼女がびっくりして鳴いた。

 しかしダルは『ほかに方法が無かった』とでもいうかのように頭を下げて声を出していた。


「ドグウはまた保管場所を考えるかのう。さて、話の続きじゃがひとまず各国にこの三人が行くことになる。ロイヤード国はロクローがおるから他はええじゃろ」

「まあな。別に国自体は広いから受け入れられるぞ」

「おいおい頼むわい。わしは行かなくてもええか?」


 ディランが憤るジェニファーを抱えてから話を戻し、ロイヤード国はロクローを残すので残りのフラウやボルカノ、コウを連れて行くと話す。

 ギリアムはロクローやディランみたいな性格の者なら、もう二、三人くらいはいけると提案していた。

 ギルファが懐いているのもあるが、昔話などを聞くのが結構面白いと感じていたからだ。

 ロクローはその時は頼むと言い、自分は顔見せしなくてもいいかと尋ねた。


「大丈夫じゃ。手間をかけたのう」

「なあに、年寄りのためじゃ。若い者には負けんぞ! うわっはっはっは!」

「それではまた来るわい」

「っと、その前にひとついいか?」


 そろそろ飛び立つかといったところでギリアムがストップをかけた。一同が首を傾げていると、ギリアムが続ける。


「……一回だけ、全員のドラゴン姿を見せてくれないか?」

「え?」


 ギリアムはどうしてもと言い、別に構わないとドラゴン達が笑っていた。

 そこで一人ずつ変身をしていき、フラウは若草色をした小柄なドラゴンになる。


「色がいいわねー」


 これはカーラが感嘆していた。同じ女性だからもあるかもしれない。

 次にフロストドラゴンのコウが変身を遂げた。白に近い青をした鱗が輝き、少し背中が丸まっている。頭の後ろに生えている二本の角が存在感を増していた。翼もあるため空を


「あ、ひんやりしているね」

「フロストドラゴン族はいつでも冷気を吐けるのじゃ」


 そしてフレイムドラゴンのボルカノの番となる。

 ロクローと同じく翼が無いため飛べないが、太い脚に鋭い爪が雄々しい。

 鱗は一枚一枚が大きくごつごつしていて簡単には斬れないだろうとわかる。頭には一本の角が伸びていて、炎がちらついている。


「おお! これこれ! ドラゴンって言ったらこういうごついやつだよな!」

「そうか? 俺はでかいトカゲと言われることもあったがの」

「いや、かっこいいよボルカノ爺さん。ロクロー爺さんもいいけど、迫力がすげえ」

「ええい、わしとて強いんじゃぞ」

「あー♪」


 ロクローが口を尖らせて悔しがる中、リヒトはいろいろなドラゴンを見て機嫌が直っていた。

 ボルカノを見て手を振るのをフラウが不思議がっていた。


「赤ん坊なのに怖がらないのね。ドグウは怖がったのに」

「この子、気配とかに敏感みたいなのよ。ボルカノさんは優しいからそれが分かっているのかも? ドグウって無機質にじっとこっちを見ているから怖いのかもね」

「あー、なにを考えているか分からないから?」

「わんわん!」

「ぴよー!」

「おお、元気だなお前たちも」


 ルミナスとレイタは太い脚へ体当たりしてじゃれていた。もちろんびくともしないのだが、それはそれで楽しそうである。


「ふう、サンキューだったな。かなり楽しかった」

「お安い御用ですけどね!」

「人間も色々な姿をしているけど、やっぱりドラゴンさんは個性があって凄いや」

「ふぉふぉ、昔は攻撃ばかりされていたがこうやってキラキラした目を向けて尊敬されると嬉しいわい」


 騎士たちも拍手をしており、ほんわかした雰囲気が場に流れていた。

 そして最後にディランが変身をする。


「あーい♪」

「やっぱりお父さんの姿が一番好きなのね」


 ひときわ大きな声をあげたリヒトを見て、カーラがほほ笑んでいた。


「ではクリニヒト王国へ行くとしよう。みな、乗るのじゃ」

「相変わらずでかいのう」

「地上なら負けんぞ」

「はいはい、詰まっているから早く乗って」

「わほぉん」

「お、おう」


 フラウが手を叩いてボルカノとコウの会話を中断し、ダル達がすり抜けて寝そべっていた。


「またな!」

「またギンタ達に会いに来てねー!」

「うむ。ブルグによろしく伝えておいてくれ」

「わかったわ!」


 ディランはそのまま舞い上がり、一直線にクリニヒト王国はモルゲンロートのところへ向かった。

 もちろん妨害などあるはずもなく、あっという間に到着する。


「戻ったぞ」

「ディラン殿、ご苦労でした。彼らがドラゴンの?」

「ええ。お茶のみ友達です♪」

「あい!」

「ほほう、では一つ頼みたいことがある」

「む、なんじゃ?」

「ドラゴンに変身してもらえないだろうか?」

「むう、またか……そういうものなのか……?」

「え?」


 ギリアムと同じことを言うとディラン達が苦笑し、再び変身をするドラゴン達であった。

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