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あー、よく寝た!!
ベッドはちょっと堅かったけど!
まぁ素泊まり銀貨1枚ならしょうがないかな。
ひとまず、残りのパンとスープで朝食を済ませよう。
冷めても美味いな、このスープ。何なんだろう?
朝食とトイレを済ませて、聞きたい事あるから受付に。
ジュリアンさんの息子がいた。
「おはよう。えっと、名前、教えてもらえるかな?」
「おはようございます!あ、ボクはモックです!」
「モック君か、教えてくれてありがとう」
「いえ、シンさん、でいいですか?」
「うん、いいよ。
ちょっと教えて欲しい事があるんだけど、今時間は大丈夫?」
「はい!」
「顔を洗ったり、洗濯したり、えーっと」
多分風呂はないよな、この様子じゃあ。
「身体を拭いたりする時は、どうしたらいいかな?」
「あ!昨日お父さんが説明忘れてたんですね!すみません!
ここを真っ直ぐ行った所の扉から出ると、井戸があるので、そこを使って下さい!身体も拭けるように衝立もおいてあります」
「なるほど、井戸を使うんだね」
「布は銅貨1枚で用意しています、必要な時は言って下さい」
⋯⋯モック君は至って普通なのにジュリアンさんどうして⋯⋯いや、モック君も普通じゃないな!
この年齢でこれだけ丁寧な言葉が話せるとか凄くない!?
「ありがとう、後で使わせてもらうね」
一応知りたい事は知れたからトルネさんの店に行こう。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
「おはようございまーす」
「おぉ、早いな。おはよう」
朝も相変わらずのト○ネコ衣装。俺の買ったシャツは素材の色っぽかったけど。
染色技術はありそうだけど、高いのかな。
「スープ凄く美味しかったです!また今日も買ってもいいですか?」
「そりゃあ良かった!うちのカミさんも喜ぶよ」
トルネさん、結婚してるのかぁ!怖いもの見たさ、いや、ここは聞きたさか。聞いてみようか。
「奥さんは何て名前なんですか?」
「ん?カミさんはノノって名前だ。美人だそ、ハッハッハ」
フッフッフ。ギリセーフ!!
「じゃあ昨日のスープはノノさんが作ったんですか?」
「おう。ノノのスープは美味いからな!」
嫁バカしてるー。いやでも美味しかったからな、自慢するのも分かるよ。
「食事の買い物はまた後で、にするんですが、また教えて欲しい事が出て来たので教えて貰ってもいいですか?」
「ああ、いいぞ!」
時間と魔法!忘れずに!
「1日の時間と1年の長さと魔法について教えて下さい!!」
聞くところによると、1日の長さ、1年の長さは地球と同じだった。
ちなみに現在の時刻を聞くと、俺の持っている時計と一緒だった。よかった、時間の概念が同じで。
「次は魔法だな。シンも魔力があるから魔法は使えるだろうが、使った事はないのか?」
は?え?俺魔力あるの?
現代日本人に魔力て。えぇぇ。
いや、使えるなら使ってみたいけど。
落ち着けー、落ち着け俺!
「うちの村は、魔法は旅に出てから覚えろっていう掟がありまして⋯⋯」
これもまた厳しい言い訳。通じる?大丈夫?
「ハッハッハ!本当におかしな村から来たんだなぁ。何て村なんだ?」
遂にこの質問が来てしまった!弟よ、お前の案を使うぞ!
「いや~、村は村って名前だったんですよ。他に聞いた事はないですね」
「村は村って、ハッハッハ」
トルネさん笑いすぎ!!
「まぁよっぽど交流のない村だったんだろうな。じゃあ、魔力の使い方とか全く知らねぇ訳か」
「そうですね、全く何も知らないですね」
何とかなってるー!!トルネさん、いい人すぎでしょ。
「まずは自分の体内の魔力を感じるところから始めるんだ。身体の中をグルグル巡っているあったかい物があるんだが。これは人によって説明が違うからなぁ。感覚に頼ってしまう部分もあるんだ。どうだ?目を閉じて感じるか試してみろ」
目を閉じて。うーん、魔法とかない世界から来てるからな⋯⋯。
とりあえず体内の血管をイメージして⋯⋯。
あ、何かモゾモゾする。これが魔力かな?
そのまま続けて、モゾモゾする方に意識して流れるように⋯⋯
ゾワワワワワワ~っと全身に鳥肌が!!
「ひぃぃぃ、何ですか、コレ!!」
「おお、上手い事感じられたようだな。そのゾワッってやつが魔力だな。本当は小さい頃から慣らしていくから、シンのようにはならねぇんだが。まぁ意識する事を繰り返していたらそのうち慣れるさ。頑張れよ」
「コレ、慣れるんですかぁ?うわ、またゾワッとする」
「慣れる慣れる。安心しろ。そうだ、ジュリアンの宿にはモックがいるだろう?一緒に練習してみな。魔力に慣れたら生活魔法くらいは使えるようになるだろう」
俺も魔法が使えるようになるんだ。
ちょっと、いや、大分興味が湧いてきた!
「ほれ、飯はどれくらい買って行く?酒場には行かんのか?」
「えーっと、今日の昼と夜と、明日の朝の分が欲しいですね。酒場はまだ行く予定はないですね」
「そうか、だったらスープは保温の魔導具に入れてやるよ。明日返しに来いよ」
「いいんですか!ありがとうございます!」