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門番のトムさんに教えてもらった通りに、村の中程まで歩いていくと、店?たぶん、店らしき建物を発見。
初めて行く所とか、緊張するんだよなぁ。
「こんにちはー」
「はい、いらっしゃい」
気の良さそうな、恰幅のいいおっさんがいた。
服装は⋯⋯え?ト○ネコ?
いやいやいや、え?まじ?
「何か用かい?」
思わず見つめ過ぎてしまった。
「えーっとですね、村を出て旅をしなければならなくなったので、歩いていたらこの村に辿り着きまして。色々教えて貰いたいんです。門番のトムさんに聞いたら、こちらで聞けと言われまして」
「あぁ、そうかい。って言っても何を聞きたいんだ?」
「あ、お金の事ととか、この国の事とか、生活の一般常識的なのをお願いします。旅に出たら、知っている事だとしても、まずは一通り教えて貰え、という村の教えです」
「お、おぅ。まぁ分かった。一通りだな」
「はい、あ、俺の名前はシンと言います。よろしくお願いします」
「俺はトルネだ。アイン村唯一のこの店の店主だ。販売だけじゃなく、素材の買い取りもやってるぞ」
トルネさん⋯⋯お名前まであの有名な商人に似てるし!
いいのか、この世界!
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沢山の事を教えて貰ったが、覚えきれるだろうか⋯⋯。
「あの、俺、金を持っていないんですが、どうすればいいでしょうか?」
「お前さん、村でどうやって生活してたんだ?」
「俺のいた村では物々交換だったんで、買い物とかは、そのぅ金を使うって事がなかったんです」
厳しいか!この言い訳!
「また凄い所から来たもんだなぁ。まぁいい。金がないなら稼ぐしかないな。薬草になる草を採取したり、魔物を狩って来たり、だな。実入りがいいのは、魔物を狩る事だな。肉は食えるし、皮は防具とかの素材になるし、魔石を持っているやつもいる」
やっぱり魔物とかいるんだ。
でも戦えないからなぁ⋯⋯。
「後は、まぁギルドに登録して、ダンジョンに潜るとか、依頼をこなす、だな。まぁこんな小さな村じゃあギルドなんてもんはない!アッハッハッハ」
いや、トルネさん、笑うとこですか!そこ!
「だが、シン!お前さん、運がいいよ。アイン村はギルドはないが、3ヶ月に1回出張ギルドが来るんだ。それで、その出張ギルドが来るのは何とか6日後だ。その出張ギルドで、ギルド登録も出来るぞ。旅を続けるなら登録しておいた方がいいだろう」
やったぁ!それは確かに運がいいかもしれない!
「そうなんですね!ではそうします!」
とはいえ、今現在ノーマネー。生活が出来ない!!
「トルネさん、今現在がお金ないんですが⋯⋯。あ、ここに来る途中に拾ったこれらは買い取り出来ますか?」
道中に適当に拾った草とか石を出してみる。
キレイな石は少しだけ出してみた。
「どれどれ。ってただの雑草じゃねぇか!ハハハ」
ですよねぇ。どれか1つくらい当たりがあってもよかろうに!!
「お!これは!」
当たりありました?!トルネさんの反応にちょっとワクワクしてしまう。
「ふむ、この草と、これらの石は買い取り出来るな。草の方は整腸作用のある薬湯の素材で、石はまぁ質は良くないが、これはクズ魔石だな。小さな村じゃあ、クズ魔石でもそれなりに価値はあるんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ。質のいい魔石は魔導具にしたり、魔法の補助にしたりするんだ。んで、クズ魔石は、属性によって、井戸の清浄化や畑の肥料代わりや、大事なのは村の魔物避けに使われるんだ。大きな村や街じゃあ、でかい魔石で魔物避けの魔導具が置いてあるんだが、小さい村じゃぁな」
「なるほど。クズ魔石でも使い道は沢山あるんですね」
そう言って残りのクズ魔石も全部出す事にした。
「おいおい、こんなにあったのか!これは助かるよ!」
最終的に、金貨15枚になった。質のいい魔石だと、1つで金貨50枚は優に超えるらしい。更に大きな魔石となると⋯⋯。
ひとまず、金は入った。次は⋯⋯服と宿かな。
「トルネさん、買い取りありがとうございます。後は服と靴と、泊まれる所を教えて下さい」
「分かった。今着ている服と靴はどうする?買い取るか?」
んー、どうしようか。
『日本の服は、布とか縫製?とかいいから、すぐにお金が必要じゃなければ、大きい街で買い取って貰うのがいいよ。』
ありがとう、脳内弟よ。参考になるよ。
「この服はまだ思い入れがありますので、残しておきます」
「そうか、売りたくなったらいつでも言ってくれ。
じゃあシンに合うサイズの服と靴は⋯⋯」
トムさんが着てたような簡素なベージュの生成りのシャツと深緑のズボンを持ってきてくれた。靴は布製で底に柔らかい木のような物が敷いてあった。
「宿はあるんだが、食事がないんだ。宿は1泊銀貨1枚だったかな。食いもんはここで買っていくか?一応宿の近くに酒場もあるぞ」
「そうですね、とりあえず今日はゆっくりしたいので買っていきます」
「じゃあ、パンと飲み物用意するよ。さっきのと合わせて金貨2枚だ」
ミッション達成!!!ホクホクしながら森田カバンに入れて店を出る。
「ありがとよ!また何か素材見つけたら持って来いよ!」
一緒に探しに行ったら買い取り価格増えたりしないだろうか、某ゲームのように⋯⋯